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ルドルフvs朱鳥

 クソの……役にも立たない?


 ルドルフの言葉にピクリとこめかみが引きつる。


「ルドルフ、いい加減にしろ。他人の傷をえぐって楽しいのか。お前も騎士なら、そのような愚劣な振る舞いは控えるべきだろう」


 わたしとルドルフの間にオスカーさんが割って入る。

 わたしを背中に隠すようにして立つオスカーさんに、さらにショックを受けた。


 か、庇われてる……


 話せばわかるはずよ。

 く…首の痣はどこから話せば……地震が起きたところから?

 それともバックパックの準備のところから話した方がいい?

 それで、あの窓サッシ自殺未遂事件の全貌を話すの?

 あの間抜けな話を?


 ルドルフが聞いたら絶対馬鹿にする。


 勝手に頓珍漢なことばかり言って、散々馬鹿にされた挙げ句に赤っ恥をかけと?

絶対無理。


 あの窓サッシ事件はわたしだけの秘密にするつもりだったのに!!

 まさかこんな大勢の前で性奴隷として誤解を受けることになるなんて!

 誤解されたままは当然嫌だ。

 でもあのことは話したくないし、話せない!! 墓まで持って行くんだから!!


 悶々と葛藤しているとオスカーさんがわたしに向き直った。  


「ルドルフが失礼を働いた。わたしからも謝罪する。どうか許してほしい」


 申し訳なさそうに綺麗な顔を曇らせて、あたまを下げたオスカーさんに困惑する。

 本当は気にしてませんよといってあげたい。

 いってあげたかったけど……絶対許しません。

 勝手に奴隷扱いして慰み者っていったわね?


 そんでクソの役にも立たないって? クソなんかの役に立ってたまるかってゆーのよ!!


 オスカーさんごめんなさい。

 こんな誤解を解消しないまま生きていけるほどわたし人間できてないんです!


 だからわたしはオスカーさんの向こう側にいるルドルフにも聞こえるように大きな声でハッキリと口にした。


「誤解があるようですけど、わたしは奴隷じゃないし慰み者になったこともありません。そもそもわたしがいた国に奴隷制度はないです。この首の怪我は……突発的な事故でここに来る前にできたものです。服もそちらから見れば貧相なのかもしれませんけど、わたしの国では一般的な夏服ですから」


 オスカーさんの顔を立てて、極力冷静に話したつもりだ。声は……だいぶ低かったけども。そこにルドルフのバカにしたような笑い声が場に響き渡った。


「ふんっ笑わせる。事故だと? 何をどうしたら首の周りにそのような痣ができるのだ? 繋がれていなかったというなら、首吊りの処刑にでも合ったのではないか?」


 この言葉に思わず口元が引きつった。

 こ…この男、なんてことを……


「ルドルフ! 自重しろといっている!」


 オスカーさんがルドルフを振り返り、叱咤する。

 表情は厳しいものだったけど、ルドルフはあまり気にしていないようだった。

 ぎりぎりとわたしを睨んでくる。

 

「しょ、処刑ではありません……」


 実際、処刑のようなものだった。あの時のことを思い出すと頭がクラリとする。

だけど引いてなるものか。

 わたしはギッと唇を噛み締めて真っ向から対峙する。


「まあまあ! そこまでにしましょうよ。事故だっていってるんだし。俺たちが勝手に誤解していただけなんですよ。だから、そんなに責めなくてもいいじゃないですか」


 隣に立つ青年が険悪な雰囲気を打ち消すように明るい声で笑顔を振りまく。

 だけどそんな青年の言葉を鼻で笑い、ルドルフは更に言葉を続けた。


「ふんっ。では何が起きたか説明させればいいだろう。それで納得できねばそれまでだ」


 なんだってぇぇぇ!!

 プライバシーの侵害よ!!

 メンハラよ!!


 わたしは無言でオスカーさんの肩をつかんで横に押しのけると、真っ直ぐにルドルフの前まで進みでた。


 おい、待て! とオスカーさんが慌ててあとを追ってきたけど、もう我慢の限界だった。


「ルドルフ。あなた、本当に失礼で愚かで情けなくて器の小さいクソみたいな男ね。さっきから人のこと奴隷扱いして巫女に相応しくないですって? 誤解だっていっているのに耳を貸そうともしない。真実を見抜けないような人間が騎士ですって? そっちこそ笑わせないでくれるかしら。それにたとえわたしが奴隷だったとして、それがなんだというの?

 オスカーさんがいってたわよね、巫女は神々との交わりを以て繁栄をもたらす者だって。それなら巫女がどんな人間だろうと認めるのは神々であってあなたじゃない。あなたがそれを否定するのなら、あなたは神々より偉いっていっているのと同義よね。それほど偉いなら神々や恩恵などに頼らずに国を繁栄させてみたらどうなの? できもしないのに偉そうに批判ばかりしてるんじゃないわよ」


一度大きく吸った息を吐ききるまで、わたしは早口でいってのけた。

 あたりに静けさが戻っていた。ルドルフはただでさえ窪んだ目をひっこめて言葉を失い、

周りの騎士たちは口をあんぐりと開けて呆けている。


 そんな彼らを尻目にくるっと踵を返す。

 こういうのはいい逃げするが勝ちなのよ。



ご覧くださりありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] アスカつえぇ!! 捲し立てる言いっぱなしジャーマンスタイル!! カッケェ!
[良い点] やっぱりこれ面白いですね〜♬︎ 序盤の、許せ……!のシーンで勝手にポッとなってからオスカーを推しておりますっ!かっこいい(๑˃̵ᴗ˂̵)♡ 主人公の荒っぽい性格も最高ですね(気が合いそう…
[良い点] ははは!!ルドルフざまみーー!!! あひははははは!! オスカー!もっと擁護してもいいのよぉぉぉ? ハーレムの予感♪ [気になる点] ノンブレス罵詈はルドルフの精神をどれくらい破壊した…
2020/07/30 00:32 退会済み
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