017 留学生が来る?
「あー、美味しかった〜」
氷彗さんと初めてご飯を食べ、心もお腹も大満足で部屋に戻ってきた。
「愛梨はたくさん食べるのね」
「育ち盛りですから」
「ふっ……胸はそうでもないようだけど」
「ガーン!」
氷彗さんも、雪溶けしてからたくさん話してくれるようになった。少し毒舌なところは相変わらずだけど、全体的に柔らかくなったのは言うまでもないと思う。
お互いベッドに座って、向かい合わせで話をする。
「その……ごめんなさいね。愛梨にはキツく当たりすぎたわ。愛梨だけじゃなく……今までの妹たちにもだけど」
「それに気がついたのは私に一撃もらったからですか?」
「……いいえ。愛梨が私のことを好きと、私の妹でありたいと言ってくれたからよ」
少し視線を逸らして頬を赤らめ、恥ずかしそうに答える氷彗さん。世間ではこれを「デレ」と言うのかもしれない。なら憧れのアレもいけちゃうかな?
「じゃ、じゃあこれからは氷彗お姉さまと呼んでも?」
「そ、それはむず痒いからやめて」
また顔を赤らめて、今度は拒否した氷彗さん。ちぇー、お姉さま呼びはダメか〜。まぁ薄寒いと言われた頃よりはマシになっているし、またいずれ、だね。
氷彗さんは一度咳払いをして、真面目な顔になった。
「これからの訓練は愛梨を成長させるために行うわ。そこの厳しさは変わらない。わかっているわね?」
「もちろんです! 魔法少女として成長することも私の目標ですから!」
エネミーを倒して倒して倒しまくって、誰かの助けになり続けるんだから!
氷彗さんとお話をしていたらもう寝る時間になってしまった。あれだけ居心地の悪かった部屋も、雪溶けと共に快適な空間になった。
「おやすみなさい、氷彗さん」
「えぇ。おやすみ、愛梨」
ちゃんと返事が来たことに安堵し、私は満足げに眠りについた。
翌朝、部屋のポストから紙を持って机に向かう氷彗さんを視界にとらえて目が覚めた。
「おはようございます氷彗さん。なんですか? その紙」
「おはよう。たまにだけど連絡が紙ベースで来ることがあるわ。特にクラス6の魔法少女だとね」
なるほど、情報漏洩防止のためかな? じゃあ私は見ちゃダメなのかな〜。気になるけど。
そんな私の心を読んだかのように、氷彗さんはふふっと笑って紙を渡してきた。
「これは大丈夫よ。むしろよく読んでおきなさい」
手渡された紙には大きな見出しで『魔法少女留学生のお知らせ』と書いてあった。
「留学生ですか……」
そんな制度があったとは魔法少女オタクの私でも知らなかった。
紙を読み進めていくとかなり衝撃的なことが書かれていた。
「えっ!? クラス6の魔法少女が来るんですか?」
「らしいわね。私も初めて顔を合わせるわ」
クラス6魔法少女は世界でも有数だ。有名どころだとアメリカ、ドイツ、イギリス、中国、ロシア、そしてルーマニアにいると言われている。
今回留学生としてくる子はルーマニアの子みたい。歳は20歳で、名前は『ブラッディ・カーマ』。
「この子は日本に来て何をするんですか?」
「日本は世界的にエネミーの出現数が多くて、その分魔法少女も比較的多い。学ぶものも多いんじゃないかしら。今週末の土曜日から2週間と少し、滞在するみたいよ」
まぁでもクラス6の魔法少女が来たところで、私には関係ない話かな〜。気になるのは美人かどうか。そこだけかも。
なんて思っていた私。これが間違いだと気がつくのはそんな遠い話ではありませんでした。




