第37話 分かるんだな?
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ゲートを通じて、ギルドへと戻ってきた俺たち三人。
そのままメインホールの方へ向かってみると……。
「皆さん落ち着いてください……! ここには冒険者の方もいらっしゃいます、他の場所に比べれば比較的安全ですので、外の魔物を刺激しないよう、なるべく静かに指示を待ってください……!」
「回復魔法が必要な方は別室で対応しています……! 急に体調が優れなくなった方などはすぐに職員まで――!」
「食料にはまだまだ余裕があります……! 外からの救援が来るまでには時間がかかるでしょうが、それまでここにいる全員でのご協力を――!」
……そこには不安にざわめく避難住民が溢れ、職員サン達もそれをなだめようと必死になっていた。
「避難してきた人達……こんなにたくさん……」
「ギルドは緊急時の避難場所にも指定されてるからな。街の外へ出れない以上、当然っちゃ当然だが……」
とはいえこれでもほんの一握り……ほとんどの住民はあちこちの建物に取り残されたままなんだろう。
ひとまず一度、職員サンに話を……。
「――イルヴィス・スコード……!? な、なぁ……あんたイルヴィス・スコードだろ!?」
「……!」
「イルヴィス・スコード……?」
「イルヴィス・スコードって……七大魔王を討伐したっていうあの……!?」
しまった、さすがに不用意だったか。
良くも悪くも名を知られてることをもう少し自覚しねぇと……。
「な、なぁ頼むよ!! ギルドの話じゃ、この状況は七大魔王の仕業なんだろ!?」
「だったらそいつを倒せばあの魔物達も……!!」
俺の存在に気付いた街の住民たちが、縋るような表情で詰め寄ってくる。
それにどう答えるか……いや、そう選択肢に幅があるわけでもねぇか。
つっても、こういうのはガラじゃあねぇんだがなぁ……。
「ふぅ……――あぁもちろんだ! あの七大魔王は……ジャラジャンドラは必ず俺が討伐する! 当然、外の魔物に対しても何らかの対策はするつもりだ!」
「おぉ……!!」「よかった……!!」「これで助かるのね……!!」
「だが討伐を確実なものにするためには、まず俺のパーティが全員そろう必要がある! 今はここで仲間を待って、準備が整い次第すぐにヤツのところへ向かう……それまで不安だろうが、もう少し耐えてくれ!」
「わかりました……!!」「ママー……?」「大丈夫、冒険者さんがすぐに悪い魔物を退治してくれるからね……!」
……あーあ、言っちまったよホント。
しゃあねぇか、ここで騒ぎが大きくなれば外の魔物どもを刺激しかねんしな。
正義のヒーローを気取るつもりなんざ毛ほどもねぇが、不安を煽って下手な混乱を招くよりは、本人たちの望んだ言葉で落ち着いてもらったほうがはるかに得策だ。
どっちにしろ……この事態を収める意味でも、『不落の難題』を解き明かす意味でも、ジャラジャンドラの討伐は避けては通れん。
ただまぁちょっと期待度が跳ね上がっただけで……。
「――でも……も、もしその仲間たちがここまでたどり着かなかったら……?」
……!
「おいアンタ……!! こんな時に何不吉なことを言って……!!」
「だ、だってよう、この魔物の大群なんだぜ……!? 無事に生きてるかどうかも……も、もしそうだとしたら、ここで待っててもその、時間の無駄っていうか……」
「そ、それはそうだけど……! そうだ! イルヴィスさんの仲間がここまでたどり着いたら、私達で伝言を伝えればいいんじゃない……!?」
「確かに……それならイルヴィスさん達にはすぐに動いてもらえるだろうし……!」
一人の不安から出たその言葉を皮切りに、それ同調する空気が広がっていく。
これは……。
「お、おっちゃん……」
「あぁ、まずいな……。悪い意味での期待と不安で、頭ん中の『都合のいいシナリオ』が先行しちまってる……」
そもそも七大魔王が半端なやり方で戦える相手なら、わざわざ合流のためにトリア達にも危険な橋を渡らせたりはしない。
だが今それを言ったところで……。
「ど、どうでしょうかイルヴィスさん……!? それなら……!」
「……いいやだめだ。俺が動くのはあくまでもパーティ全員がそろってから……そのうえできっちりとヤツを倒すための戦略を立ててからだ。でなきゃ勝てるモンも勝てなくなっちまうからな」
「で、でも……! もし本当にお仲間さん方がもう亡くなってたとしたら……!」
「そ、そうですよ……! こうしている間にも街には魔物が……!」
「お願いします……! 一刻も早くジャラジャンドラを……!!」
「皆さん落ち着いて……! 落ち着いてください……!!」
再びざわつき始める住民たち。
職員サンたちも混乱を収めようとしてくれているが……。
「な、なんでだよ……!! ひょっとして、ホントはジャラジャンドラを倒すつもりなんてねぇんじゃねぇのか……!!」
「そんな……私達を騙してたってこと……!?」
「嘘ですよねイルヴィスさん……!?」「イルヴィスさん……!!」
……落ち着け、ここで俺がぶれれば確実に戦況は破綻する。
そうなれば本末転倒だ。
「なんと言われようと、俺の考えは変わらん! 俺の仲間たちは全員……トリアも、エテリナも、クヨウも、必ずここにたどり着く……! だからそれまで――」
「――……おっちゃん!!」
――!
……来たか、まってたぜ!
「イルヴィス、ネルネにハクも……どうやら無事なようだな?」
「にゃふふ、ぜーいんしゅうごーってカンジ?」
「はは、随分早かったじゃねえか! 正直なところ、流石にもっと時間がかかるかと思ってたんだが……」
「ふふーん、まーね?」
「といってもお前の言う通り、私達だけでは難しかったかもしれんがな」
振り返るクヨウにつられて視線を向けると、そこには二人の冒険者。
一人はラットボゥ……だったか? さっきもギルドで『不転の義賊』の称号を持ってるっつってたな。もう一人は……。
「デシレ!? お前なんで……ヤンスゥとゴンスモンは……!?」
「あの後いろいろあってはぐれてしまったんデシ……ええい、そんな顔するのはよすデシよ! あの二人は私の仲間……そう簡単にくたばったりはしないデシ!」
「……そうか、そうだな」
「にゃふふ、デッシーの状態異常スキルで魔物達をかく乱して、隠ぺいスキルで身を隠しながら……」
「ラットボゥどのの感知スキルで魔物や住民の位置を把握し、鍵開けスキルで建物を辿ってここまでやってきたというわけだ」
「なるほど……ゼクセーの時といい、お前には世話になりっぱなしだなデシレ。アンタも……ラットボゥっつったな、礼を言うぜ」
「でっしょー! この私に感謝するんデシね!」
「いやまぁアッシも料金分の仕事をしただけなんで……」
「料金分?」
「あ、実はね? 一緒に行動してた人がもう一人いて、その人がラットボゥさんにお金をを出してくれるーって。すっごい偶然なんだけどおっちゃんも知ってるあの人で……」
「――ハク……!」
ハクの姿を見るや否や、こちらへと駆け寄ってくる一人の男。
……確かに知ってる顔だ、それが変装だってことも含めてな。
「あ、あれってあの時の……お、オルハリコンの取引をしてくれた、あの商人さんだよな……?」
「そうそう! ……って、あれ? 商人さん今ハクのこと――」
「――……おとう……さま?」
……!
顔を変えたサーベイジュを一目見ただけで、ハクはその一言を口にした。
変装魔法で声まで変わってるってのにだ。つまり……。
「……分かるんだな? ハク」
「え? あ……あれ? なんででしょう、顔はぜんぜん違うのに……。でもなんとなくおとうさまだって……」
「ていうかおっちゃん今『分かるんだな』って……え!? じゃあ本当にハクのお父さんなの!? 商人さんじゃなくて!?」
「し、しかし、何故このようなところに……」
「うにゃーん、わざわざ変装魔法か何かで顔まで変えてるみたいだしねー?」
……さてどうするか。
今この状況であの話をしちまっていいもんか……。
「……イルヴィス君」
「! ……いいのかよ?」
「うむ、私の口から話すよりは君から話してもらった方が良いだろう」
「そうかい。――職員サン、少し席を外したいんだが……話が終わって算段がついたら、俺たちが必ずジャラジャンドラを討伐する。それまで混乱が広がらないようこの場を頼めるかい?」
「……! わかりました、おまかせください!」
「この場は必ず我々が……! ……皆さん、改めて落ち着いてください! イルヴィスさんの仲間が無事たどり着いた今、我々がするべきことは――」
今もうホント必死になって書いてるので見直しが甘くなってるかも……?
分かりにくい場面などありましたら遠慮なくご意見ください!




