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第33話 無さすぎるんだ

 FANBOX(https://azitukenori.fanbox.cc/)やってます!

 イルヴィスパーティのキャラ設定なんかも無料公開していますので、『応援してやるぞ!』って思ってくれる方がいらっしゃいましたらフォローだけでもしていただければ一層励みになります!

 ――『ジャラジャンドラに攻撃をしている奴らがいる』との一報に、一部の冒険者達は思惑はどうあれ、すぐさま卵の鎮座する中央広場へ駆けつけていた。


 避難誘導をガングリッドとシーレ達に任せ、俺たちも遅れてやって来たんだが……確かに先走って攻撃を仕掛けてる連中がいるな……!

 アイツらは……。


「手を休めるな! 沈黙を保っている今の内に少しでもダメージを与えるんだ! 俺たち『同盟(クラン)』の力を見せてやろう!」


 ……ディーン!!?

 それと『同盟(クラン)』とやらの連中が二十人ほどで……あいつエンデュケイトの時にあんな目にあってまだ懲りてねぇのかよ!!


 駆けつけた冒険者たち……称号持ちのガンガーやキルバ達もすでに戦闘態勢に入っている……! 手を止めて戻れっつっても素直に聞く耳は持たねぇか……!


「職員サン! この辺りの避難状況は!?」


「い、一応広場周辺は終わっています……! 続いて広場に近い区域から順番に誘導をしていたんですが、急にあの方たちがやってきて……!」


「うにゃにゃ……卵に動きがないと踏んじゃうやいなや、過激なアプローチをし始めたってところかなー?」


「まぁ大方そんなところだろうよ……おいディーン!!」


来た(・・)……! ……あぁイルヴィスさん! ヤツはまだ沈黙を続けています! この街をリーズシャリオの様にさせないためにも、今の内に俺たちで討伐してしまいましょう!」


「だからこそ迂闊に攻撃するべきじゃあねぇんだろうが! お前もエンデイュケイトの起こした惨状を目の当たりにしただろ!」


「あの時は確かに俺も未熟でした……ですが今は違います! イルヴィスさん達と俺たちの『同盟(クラン)』が手を組めば(・・・・・)、七大魔王だってきっと倒せるはずです!」


「……! お前まさか……馬鹿なこと言ってねぇで早く――!!」



 ――ビシリッ!!



「「――!!?」」


 なんだ……!?

 卵に亀裂……奴らの攻撃が効いた(・・・)のか……!? いや……!


「イルヴィス……! エンデュケイトもヴァルハーレも、こちらの接近や攻撃に反応して動きだしていた……! ならば……」


「あぁ恐らく……お目覚め(・・・・)ってワケだ……!!」


 ――亀裂からじわじわと組織液(・・・)の方なものが溢れ出す。

 それが徐々に勢いを増して膨れ上がり、ぐちぐちと耳障りな音を立てながらその姿(・・・)を形作っていく。


 数メートルはゆうにある巨体に、負けじと巨大な両腕の鎌。

 蝶のような羽とムカデのような尻尾を持ち、どこか女性的なシルエットがまたその異様さに拍車をかける。


 ……やがて現れたのは、巨大なバグ属の女王。

 コイツが……!




「――……シャアァァァアア……ッ!!!」


「コイツが……蟲后こごうジャラジャンドラ……!!」




「……お、おい動き出したぞ!?」


「み、みんな落ち着け! 十分に距離をとって攻撃を続けるんだ! 『レッサーフレイム』!!」


 その存在の異様さを目の当たりにして、辺りに広がるどよめきと焦り。

 それを見て見ぬふりをするように、ディーン達攻撃を続けていくが……。


 ジャラジャンドラはそれをものともせず、さもうっとうしいハエ(・・)でも払うような様子でゆっくりと動き出し……その巨大な鎌を無造作に振りあげた。

 そして――。


「まずい!! 全員離れろ!!!」



 ――ヒュッ……――ズガガガガガガァアアアンッッ!!!!!!!



 鎌から放たれた衝撃波によって地面は割け、周囲の建物が崩壊していく……!


 おいおい……たった一振りでこれかよ……!!

 付近の避難が済んでいて助かった、もしあれが一般人に直撃していたら……!

 ……いやまてよ、なにか――。


「――げほ、ごほっごほ……!! う、嘘だろ……!? これが……こんなのが『七大魔王』の……!!」


「おいなにビビってやがる! 要は当たらなけりゃいいだけの話だろうが!!」


「そ、そうだ! 現に今の攻撃でも死者は出ていない……! まだ戦えるぞ!」


 ……!? おいおいこれでも続けるつもりなのかよ……!?


 どうする……!?

 はっきり言って七大魔王は未知数(・・・)だ……!!


 またヴァルハーレみてぇに『広域的』で『致命的』な被害をもたらすようなヤツだとしたら……エテリナの『ショータイムウインドウ』が使えない今、その規模は計りしれんぞ……!!


「全員一度攻撃をやめろ! ここは俺達が食い止める……その間に住民の避難を優先して……!!」


「なにを言ってるんですかイルヴィスさん! ここで倒してしまえば被害もなにもないでしょう!! いえ……むしろ街のためにも、ここで討伐してしまうべきなんです!!」


「そこの小僧の言う通りだ!! 逃げ腰の口だけ野郎と違ってなかなかガガンと勇敢じゃねぇか!! なぁ!!」


 ……っ! コイツら状況が見えてねぇのかよ……!?


 あんな雑な一振りで周囲を薙ぎ払うヤツがこのまま歩きだしでもすれば……それどころか、もし敵意を持って攻撃を始めれば、それこそあっという間に街は壊滅するぞ……!


 いや……見るからに脳筋のガンガーとやらはともかく、ディーン達の同盟(クラン)分かってて(・・・・・)やってるように見える……!

 あいつ等の目的は恐らく……!


「おっちゃん! 町の人たちの避難はボク達がいくよ!」


「イルヴィスとネルネはここを頼む!」


「……! わかった、まかせる!」


 さてどう動く……!

 ここでブレイブスライムを使ったとして……もしまたヴァルハーレ戦のような事態になれば、俺たちは有効な攻撃手段を一つ失うことになる……!


 ……街の住民たちと違って、コイツらは覚悟の上でこの場に来ている。

 いや……事実はどうあれ、そうでなけりゃあならない。


 ジャラジャンドラが危険な存在だってことは分かっていたはずだ。

 それなら先走った連中は自業自得と割り切って、ブレイブスライムを温存しておいた方が賢明か……!?


 一国の首都ともなれば蘇生屋も手配しやすく、いざとなっても魔物(モンスター)相手なら教会復活も出来る……!

 だが……。


「そいつはどうにも格好良く(・・・・)はねぇわな……! ――ネルネ!! 『ブレイブスライム』で仕掛ける!!」


「……! い、いいのかおっちゃん……!? ま、またハレの時みたいに……」


「分かってる、だがこの状況が続けばそれはそれで確実に犠牲が出るからな……! もし何か起きた時は……そん時はまた、別の方法で切り抜けるさ」


「……ふふ、わかった、わ、わたしもその方がおっちゃんらしくていいと思う……! ――い、いくぞ……! 『アルファスライム』、『オメガスライム』……!」


 エテリナが作ったマジックアイテムから現れた二体の鎧に、ネルネがスライムを充填していく。

 そして……。



「『ミックス』……! ――『ブレイブスライムΑΩ』……!!」



「あれは……!! イルヴィス・スコードの……!?」


「でた、あの時の巨人……! これで(・・・)……!」


「――おおおおおおおっ!!!」


 まずは一撃、ブレイブスライムの拳を叩き込む。

 そのまま数回攻撃続けているとジャラジャンドラも負けじと応戦……するかと思いきや……。


「シャアアアアア……!!」


「……ぐぅっ!!?」


 ジャラジャンドラの一撃を受け止めるブレイブスライム。

 相変わらずデタラメな威力だが……なんだこの違和感(・・・)は……!?


 ヤツの俺たちに対する態度は相変わらず、敵意どころかうっとおしい邪魔者を追い払うって程度でしかねぇ……!

 まるで――。


「みんなイルヴィスさんに続けー! 俺たち全員(・・・・・)で七大魔王を討伐するんだ!!」


 ブレイブスライムの後ろから、ジャラジャンドラに向かって攻撃を再開するディーン達。


 こう言っちゃ悪いが連携もとれておらず、援護としては未熟……そいつをこっちで庇ってやるのにもいつか限界がくるか……。

 だったらその前に……!


「一気にカタをつける! ネルネ!!」


「わ、わかった……!! す、『スライミングセル』……臨界増殖……!!」


 感じた違和感を警戒し、多少力を温存しながら増殖したスライムにマナを注ぎ込む……!

 これが吉と出るかは賭けになっちまうが……!


「――『ギガンティック……マテリアァァッ!!』」


 ……………………

 …………

 ……



「――……シャ、ア……ァ……」


 体の一部を吹き飛ばされたジャラジャンドラが、ずしんと音を響かせてその場に倒れこむ。

 こいつは……。


「やった……やったぞー!!」

「俺たち皆で協力して『七大魔王』を倒したんだ!!」

「うおー!!」


「……」


「イルヴィスさんやりましたね! 俺たちで……俺たち皆の力(・・・・・・)で七大魔王を討伐したんです!! これも互いの協力があったからこそで……」


 ……やっぱりそれ(・・)が目的だったか。

 大方俺を利用して、『七大魔王』の討伐に貢献したっつう実績(・・)が欲しかったってところだろうが……。


「――いいや違う」


「…………え?」


 俺の言葉に、面喰ったような表情を見せるディーンたち。


「い、イルヴィスさん? 違うっていうのは……」

「ひょっとして……とどめを刺したからって手柄を独り占めしようって魂胆じゃ……!」

「ちょっと待ってくれよ、俺たちだって命懸けで戦って……」


「んなちいせぇこと言ってんじゃねぇよ。……無さすぎる(・・・・・)んだ」


「な、無さすぎる……? なにが……」


手ごたえが(・・・・・)だよ……! いや、確かにバケモンみたいに強かったのは確かだが、それでもせいぜい魔王級程度(・・)……」


「う、うん……ヴァ、ヴァルハーレやエンデュケイトに比べると……」


 対峙してきた俺たちだから分かる。

 ヤツらの……『七大魔王』の脅威。


 どういうことだ……?

 ジャラジランドラは他の七大魔王に比べて特別に弱かった……なんてことがありえんのか……?


 もちろんジャラジャンドラが七大魔王としての能力を発揮する前に討伐できた……なんて可能性がないワケじゃあ無い。

 だがどうにもそいつは楽観的過ぎるように思えてならない。


 つまり……。


「まだ……終わってねぇ(・・・・・・)のか……?」

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