第25話 会っときたいヤツがいるもんでね?
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「――よっと……とりあえずまずはこんなもんか。んで……何の話をしてたんだっけか?」
「だからぁ、今度はオークションでもフリゲイトが邪魔してくるんじゃないかってこと!」
小屋づくりに一段落をつけた俺の言葉に、頬を膨らませながら答えるトリア。
そうむくれてくれるなって、話を聞いてなかったのは悪かったからよ……。
「実際にそのフリゲイト? って人達のせいでオルハリコンは換金できなかったんすよね? はいスコーンと紅茶っす、皆さんも一息入れましょう?」
「あ、わーい!」
「きゃうー!」
「ま、あくまでも『黒いフードの男が関わってる』ってだけの情報だがな。あむ……うん、うまい」
「そういえば……こないだのデシレさん達にもフリゲイトさんが関わってるんでしたよね? あれにも何か意味があったんでしょうか? …………ハクはおじさまとたくさんくっつけて幸せでしたけど……ふふ……!」
……ん? またぽそっと小さくなにか言ったか?
たまにこういうことあるよなハクは、まぁあんまり追及はせんけども。
「ふむ、考えられるのは……例えばイルヴィスを牢へと繋ぎ止め、オルハリコンの採取やオークションへの参加を防ごうとしていた……といったところか?」
「にゃふふふ……! さらに言えばそれに加えてー、『不落の難題』ともなにか関係してるか、それともまったく関係が無いかのどちらかってカンジかなー?」
「いやそりゃそうだろ……」
○×問題で『答えは○か×です!』って言ってるようなもんじゃねぇか。
「ちっちっち、わかってませぬなーオジサンは」
はふぅ~とわざとらしくため息をつきながら、やれやれと首をふるエテリナ。
「いーい? ここで肝心なのは、もしあれがまったく『不落の難題』と関係が無かったとしても……『今のウチらにはそれを知る術がない』ってところなんですなー?」
「……! なるほどな、そういうことか……」
「え、え? なになに、どういうこと?」
「ほれ、レクイエムシープの時を覚えてるか? あれも実際には『夢幻の箱庭』とは全く関係なかったが……それっぽい情報を断片的に流すことで、本物の存在をうやむやにしようとしてただろ?」
「んでんでー、そうなるとオジサンにわざわざえっちぃ感じのスキルを仕掛けてきたのも……」
「そうか『色欲』……! 『七大魔王』の出現条件に何か関係して……!」
「……る、のかもしれないし、してないのかもしれない……んにゃー、わっかんないんだよねぇ……?」
腕を組みながら、渋い顔で首をかしげるエテリナ。
「そうやって『注意を向けさせること』が目的なのかもしれないし、あえて露骨に仕掛けることで『逆に注意をそらすこと』が目的なのかもしれない……ううん、そこからさらに裏をかいて実はってことも……」
「うえぇ!? ちょ、そんなの言ってたらきりがないじゃん!?」
「そう、きりがないのだよトリニャー……。でも『無視するか』『そうしないか』を決めなきゃいけないってのは避けられぬ道なもので……うにゃむむむ……!」
確かにそうだな……。
エテリナでなけりゃ気付くことすらなかったかもしれん。
……いや逆か?
エテリナがそこに気付いてこうなっちまうよう、あえて仕掛けてきているとしたら……。
いやまてまて、流石にそれが効果的とは思えん。……思えんが、しかしだからこそ実はってことも……っていかんいかん、俺まで思考の渦に陥ってどうする。
ここはひとまず話題を変えて……。
「そういやメイドさんはどうだ? こっちでは何か変わったようなことは無かったか?」
「いえ、今のところは。まぁでも話し相手には困らないっすよ、ハレちゃんもいるし……不躾な記者も、また最近増えてきたっすからね?」
「きゃうきゃーう!」
「あー……悪いねホント」
ミヤビの方でも騒動も落ち着いてきたせいか、ヴァルハーレを討伐したのが俺たちだって情報も流れ始めたみたいだからなぁ。
「あとはまぁ、いきなりハレちゃんが消えちゃうのはやっぱりちょっとびっくりするっすね。あ、特に何とかしてほしいってわけじゃないんすけど」
「ジンドラクラックでもハレちゃんには助けてもらもらったんですよ! ねーハレちゃん?」
「きゃーう!」
「にゃふふ! オジサンの……便宜上『召喚術』とでも呼んじゃおうか? あれも七大魔王の力を借りてるだけあって、ランクS+のロープドインキュバスをけん制できる程には強力なんだけど……」
『召喚術』か。
わるくないな、うん。
「い、一度力を使うとちょっとの間、は、ハレはおねむさんになっちゃうからな……。つ、使いどころは考えないと……」
「だなぁ。この先も左目にマナを流してやってれば、そのへんもう少し変わってきたりもすんのかね? ……なーハレどうなんだー?」
「きゃうー? きゃうきゃう、きゃー……きゃう!」
……うーんだめだ全然わからん。
意思の疎通はできるようなんだが、言葉が通じないってのはどうにも……。
「ロープドインキュバスといえばさ、ハクのえっと……『ドラグエール』だっけ? デルフォレストでも見せてもらったけどアレもすごかったね! メキメキーって変わってギューンて敵を追いかけて……」
「えへへ……!」
相変わらずの語彙力よ。
元々ハクの装備は、亜人用の中でも『先祖返り』専用のモンをを選んでいる。
ボウガンや胸当てなんかも、先祖返りで変化した手や体つきに合わせて若干形状を変えてくれるっつう便利な代物だ。
といっても、あんな風に装備品まで巻き込んで先祖返りを起こしたなんて話は聞いたことねぇけどな俺は。
あれもまた、ハクが頑張ってきた証ってヤツだね。
……少しずつ、俺たちも戦力を増してきている。
あとは――。
「あ! そいうえばいつごろ向かうつもりなの? えっと……」
「クインクリフ連合王国ですよトリアさん。今度のオークションはその首都の……えっと、ロンディベルで開催されるんでしたよね?」
「あぁそうだな。とりあえずこの後、俺はハクと一緒にアカリんとこの……」
「ワーフルどのだな? ヘイト管理スキルについていろいろと聞かせてもらえるよう、話はしてあるぞ」
「助かるよクヨウ。んで、ロンディベルにはそっちが一段落着いてから、ひとまず俺一人で向かおうと思う」
俺一人なら一番グレードの低い格安プランでも問題ねぇし、向こうについたらゲートを使えば一人分の料金で済むからな。
「そ、そういえば……い、今さらだけどそういうのっていいのかな……? こ、国境とか……」
「まぁ世の中にゃ海を泳いで国から国へと横断するバケモンみたいな奴もいるらしいからなぁ……。それが許されるなら問題ないだろ」
確か……『逆境の勇者』だったか?
殿サマと同じで、フーの言う『勇者検定を介さず実力で勇者になった現存する五人』の一人らしいが……。
「にゃふふ! じっさいウチら冒険者はギルドで入国報告さえちゃんとしておけば、その辺を問われることは少ないってカンジだしねー? 節約節約~」
「うんうん、いくら大金が入ったとはいえお金は大事……節制できるところは節制して、普段からコツコツ貯蓄しておくことが重要っすからね!」
「あー、おっちゃんそういうの苦手そうだよねぇ?」
「お前には言われたかねーよ……。つか、おっさん独り身生活に関しちゃベテランよ? 金のやりくりにゃ一日の長があるってもんだぜ」
「何を言っているイルヴィス、あのオーヴァナイフも衝動買いだったことはしっかりと聞いているのだからな」
「そ、それに……し、知ってるぞおっちゃん……。棚の中、こっそりまた新しいお酒が増えてることも……」
「う……ち、違うんだってあれは……! あれはそう、ガングリッドの快気祝いに用意して……それをちょっとだけ、ほんのちょこーっとだけ味見しただけだから……それぐらいなら良いだろ? 普段は量も減らしてるし、な? な?」
「む……ま、まぁそういうことなら……」
「あー! もー相変わらずクヨウはおっちゃんに甘いんだからー」
「ち、ちが……! そういうことではなく、私はただ……!」
「ふふ、相変わらず賑やかっすねぇ。……あ、そうっす、ナイフといえば……ご主人様、クヨウ様のご実家からお電話があったっすよ? 近いうちに顔を出してほしいそうで……」
「お、ひょっとしてあれか? オーヴァナイフの修復が……」
「いえ、アタシもそう聞いてみたんすがそっちはもう少しかかるそうっすね」
そいつは残念だ、しかしそうなると……。
「クレはすがお持ち帰りしていった、あの柱の欠片についてのお話ってところかなー?」
「その通りっすエテリナ様。なんでも一度、直接柱自体を調べてみたいとかで……」
「そんならオークションが始まる前に一度、ミヅハミにも顔を出しておくか」
こういう時にすっと顔を出せるんだから、ゲート様様ってもんだぜホント。
「となりゃあミヅハミには明日の昼ぐらいにでも向かうとして……一度こっちに帰ってきてからロンディベル行きの飛行船に乗るとなると、到着は明後日の朝ぐらいになるだろうな」
「ちょ、ちょっと早い気もするけど、遅いよりはよっぽどいいと思う……。い、一度帰ってきたあとはそのまま向かうのかおっちゃん……?」
「あーいや、その前にもうちょっとだけ準備をしていこうとは思ってるんだよ」
「えと、準備……ですか?」
「あぁ、ちょっとばかり……会っときたいヤツがいるもんでね?」




