第四章 プロローグ
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――何も見えない暗闇の中で、誰かの声だけが鮮明に聞こえてくる。
この状況に覚えがない訳じゃねぇってのは、まぁ変に狼狽えなくて助かるんだが……はたしてそいつが良いことなのか悪いことなのかは疑問だねホント。
さて……。
「キャハハ! でもさぁめっずらしーじゃん! ここにこうやって全員がそろってるなんてさ!」
一人。
「いやよく言うよ、自分だって全然顔出さないくせにさぁ……。まったく、少しは真面目なボクを見習ってほしいもんだね」
二人。
「はっ!! アーデム、テメーがマジメだぁ!? 言っとくけど聞いてるかんな! テメーがテキトーなヤツ選んで遊んでたって話もよぉ!?」
三人……と。
どうせ今回も目を覚ませば全てを忘れちまうんだろうが、せめて人数だけでも覚えて帰れないもんかと、声を頼りに悪あがきをしてみる。
「…………とはいえ、俺達があまりここへ顔を出さんのは確かだからな」
「そうよぉ? そっち派としては上手くいってるみたいだけど……それでも、おねぇさんが消えちゃうかもしれないって時にまで顔を見せてくれなかったのはひどいわぁ」
四人、五人……今のはマジューリカさんだな。
「あぁ、あの時はすみませんでしたマジューリカ。エンフォーレリアでの計画、ワタシとしても事の次第を後からうかがったものでして」
「キシシ……! たとえ先に知っていたところで、キサマらが自分の企てをほっぽりだしてまで駆けつけるとは思えんがな」
「はぅぅ……そ、そんなことありませんよぅ……! ……あのあの、それでイヴェルトさん、お話っていうのは……?」
六人、七人、八人、そして――。
「……あぁ、そうだな。すでに知っているとは思うが『一人の男』が我々にとって無視できない存在となっている。……いや、なりつつあると言うべきかな? そこで――」
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「あー……。まーたなんか変な夢でも見てた気がするな……」
そんな言葉を呟きながら目を覚ます。
つっても、夢の内容まで覚えてるワケじゃねぇんだが……。
ま、もし見てたのがとんでもない悪夢だってんなら、このまま忘れていた方がありがたいってもんだがね。
寝起きの気だるさを引きずりながら、ベッドの上で体を起こして壁の時計を確認すると……五時半過ぎか。
このまま起きるにも二度寝するにも、なんともこう絶妙に微妙な時間だな……。
「ふぁ~あ……ま、しゃーない。苦ーいコーヒーにでも、頭を叩き起こすのを手伝ってもらうとするかねぇ」
どうせ今日は土曜日だ。
トリア達も朝飯食ったらすぐこっちに来るだろうし、ハクも昼ごろには学校から帰ってくるはずだ。
確か……冷蔵庫に鋼豚があったな。
とりあえず午前中はそいつの仕込みをするとして……あとは、あの訓練もしとかねえとなぁ。
「……っと、そういやコイツも届いたんだっけか。リィンねぇちゃんにはあとで礼を言っとかねぇと」
昨日届いた小包を片手でポンと持ち上げながら、キッチンへ向かって足を進める。
「しかしまぁなんだ、あれから一週間……マッフィーノが起こしたあの事件から、もう一週間になるのか――」
結局随分と遅くなってしまって申し訳ないです……。
またちまちま投稿していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!




