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ブラックなお方

瑠璃ちゃんの話が終わった。

何気に何回か話しているせいもあってか、うまくまとまっていたような気がする。

やっぱり天野は驚いているようで、ピタリと固まったまま動かずに話を聞いていた。

そんな天野が口を開いた。


「ってことは、瑠璃ちゃんと武田って全然赤の他人ってこと?」

「まぁそうなるな」

「ってことは、こんなに可愛い子と一緒に住んでるってこと?」

「まぁ・・・そうなるな」

「・・・武田ってホントに女が好きなの?」

「なっ!」


その発想は無かった!!

まさか瑠璃ちゃん経由で俺の性癖を暴かれ・・・いや、まだ誤魔化せばなんとかなる。


「チガウヨ? ちゃんと女好きだよ?」

「ふーん。こんなに可愛い子と一緒に住んでるのに何もしないなんておかしいと思っただけ」


なんか・・・天野が黒い。

チラリと中村を見たが、俺と同じように天野の黒さに呆然としていた。


「はぁ・・・それにしても瑠璃ちゃん」

「はい」

「大変だったね。大変だったね・・・うぅ・・・」


そう言って天野は泣き出した。急に泣き出した天野に中村が慌てて近寄って行った。その中村に抱きつくようにして天野はワンワンと泣いた。

泣くのを我慢してたからちょっと黒かったってわけか?

難しいなぁ・・・


「グスン。瑠璃ちゃんは強いね」

「つよくない。私はまさちかさんと幸せになるってやくそくしたからがんばるの」

「幸せにかぁ。私も幸せになれるかなぁ」

「私でも幸せになれるんだから、恭子ちゃんも幸せになれるよ」

「私の幸せは、武田と結婚することだよ?」


なにっ!?


「私は恭子ちゃんなら、その・・・いいかな」


なにぃっ!?

俺が関わらないうちに既成事実が出来上がろうとしている!

これはマズイ!


「ちょっと待った!」

「・・・チッ」

「待て待て。今舌打ちしたろ」

「もうちょっとで瑠璃ちゃんの承諾をもらって、そこから色々と発展できたのに」

「ブラック天野さんだな」

「それよりも武田は、私に何か言うことあるんじゃない?」


俺としては言うことはないと思うんだが、謝ってほしいということなんだろう。


「隠してて悪かったな。ごめん」

「そっちじゃなくて」

「え? どっち?」

「連絡先教えてくれてなかったこと」

「え?」


え? そっち? そっちのほうが重要なの?


「別に武田が教えたくないって言うなら教えてくれなくてもいいけどさ。私、思ってる以上に重くないよ?」

「体重的に?」

「違いますー。この美しいスタイルで太ってたら大問題だよ。どんだけ着痩せしてるのさ」


確かに。天野も中村も結構細い。細すぎって訳じゃなくて、それなりに細い。でも俺としてはもうちょっとポッチャリしててもいいかな。そのほうが健康的で好きだ。


「束縛したりしつこくしたりしないってこと。恋愛的に重くないってこと」

「その恋愛に重点を置いて話すのやめてくんない?」

「無理ですー」

「デスヨネー」

「ほら。早く言って」

「連絡先を教えてなくてすみませんでした」

「よろしい」


けっこうあっさりだった。

泣き止んだ直後の顔で笑顔を作る天野。

その笑顔につられてか、隣の中村と瑠璃ちゃんも笑顔になった。もちろん俺も小さく笑った。

こういうところが天野の魅力なのだろう。この魅力に中村も引き寄せられて、仲良くしているんだろう。


「ってことで、アドレス教えて?」

「はいはい。ちゃんと電話番号も教えてやるよ」

「やったー! じゃあ瑠璃ちゃんのも教えてー」


天野の言葉に首を傾げる瑠璃ちゃん。

そりゃそうだ。瑠璃ちゃんがケータイなんて持ってるはずないじゃん。まだ早いさ。


「あれ? 瑠璃ちゃん持ってないの?」

「なにを?」

「ケータイ」

「けいたい?」

「瑠璃ちゃんぐらいの子だったらみんな持ってるんじゃないの?」

「そういえばヒロトくんももってた」

「マジで? 小学生から持ってていいの?」

「持ってちゃダメっていう法律は無いし、いいんじゃない?」

「俺が小学生のころはそんなことなかったのに・・・」

「もしかしてポケベル世代だったんでしょ?」

「そこまで前の世代じゃないです」


俺が小さい頃は外で遊ぶのが普通で、連絡なんかは家の固定電話にかけてた。

あーそっか。俺んとこは固定電話ないから、瑠璃ちゃんは連絡とりづらいのか。


「瑠璃ちゃんにもケータイ持たせたほうがいいか」

「そうだよ。今から帰るよーとかの連絡してあげたら、瑠璃ちゃんも安心するだろうし。ねー」


コクコクと頷く瑠璃ちゃん。


「じゃあ今度の休みにでも買いに行くか」

「うんっ!」


大変元気な返事でした。

今度ケータイを買いに行くとして・・・


「そういえば瑠璃ちゃん」

「はい」

「2人に相談ってなんだったの?」

「わっ! バカ!」

「そ、それは・・・」

「ん?」


俺が聞くと、何故か天野と中村が俺と瑠璃ちゃんの間に割り込んできた。

そして2人の隙間から瑠璃ちゃんを見てみると、何故か赤面。

俺、なんか変なこと聞いた?


「ちょっと来い」


中村と天野に腕を引かれて玄関まで来ると、すごい声を小さくしてこう言われた。


「来たんだよ」

「誰が?」

「誰じゃなくて、その・・・」

「?」

「「女の子の日」」


あー・・・

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


最近ネタを挟みにくくて仕方ないです。

変な悩みだw


次回もお楽しみに!

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