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リベリオン・コード ~美しきAIは、禁忌の果実【死者蘇生】を口にした~  作者: 月城 友麻


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116. 死人に口なし

『お主ら、凄いな! 本当に倒したんじゃな! うっほぉ!』


 駆けつけてきたレヴィアが、歓喜のあまり月に向けて(まばゆ)い黄金のブレスを放った。炎は夜空に高々と輝く柱を描き、轟音は勝利の祝砲となって響き渡る。


「ほうら、諦めなくてよかっただろ?」


 ユウキの心は晴れやかだった。ついに大手を振って日本を再生できる。希望に満ちた未来が目の前に広がっているのだ。彼は浮かれた気持ちでドラゴンの足の(うろこ)をペシペシと叩いた。


 しかし――――。


 次の瞬間、世界が(きし)んだ。


 ギギギギュギュギュゥゥゥ!


 全世界を震撼させる衝撃が走り、大地が(うめ)き、海が逆巻く。


「うぉぉぉ!」「な、なんじゃあ!」「何よもぅ!」


 三人が見上げた満天の星空に、信じがたい光景が広がっていく。バキバキとスパークを放ちながら夜空に亀裂が走り、まるでガラスの天井が砕けていくかのように壊れていく。


 そして亀裂を押し広げるように現れる巨大な指に――――、激怒した碧眼、青い髪の巨大な顔がのぞいた。


「ひぃぃぃ!」「で、出たぁ!」「な、何なの……」


『おーまーえーらー、ふざけんなよ……』


 怒りに満ちたシアンの声が大気を震わせる。星空を引き裂きながら現れた巨体は、身長百キロはあろうかという途方もない大きさだった。月さえも小さく見える巨神の姿に、三人は圧倒され立ち尽くす。


「な、何言ってんですか、『倒したら認めてくれる』って言ってたじゃないですかぁ!!」


 ユウキは必死に叫んだ。約束は約束である。それが宇宙の理であるはずだった。


『誰が倒れたって? ほら、立ってるよね? 勝つのは僕……常に僕なの!!』


 駄々をこねる子供そのものだった。宇宙を統べる頂点の一角が、まさか負けを認められない子供だったとは。


「いやいや、倒したのは事実ですよ! 大天使としてそんなの恥ずかしくないんですか? 大天使が嘘つきだなんて神殿の威信に……」


『きゃははは! 馬鹿ねぇ。【死人に口なし】って言葉知ってる? くふふふ』


 なんとシアンは全員殺して無かったことにしようとしているのだ。


「はぁっ!? 卑怯者ぉ!!」


 ユウキはその理不尽な話に絶叫した。今までの命がけの戦いはいったい何だったのか? ユウキは一転してとんでもない絶望へと突き落とされてしまう。


『何とでも言いな。宇宙を健全に保つため、イレギュラーは消毒。コレが僕のお仕事なのだ。くふふふ』


 シアンは、ゆっくりと十キロメートルはあろうかという巨大な(こぶし)を掲げる――――。


 リベルは慌てて逃げようとしたが――――。


「えっ? 動けない!?」


 なんと全ての力が無効化されていた。飛行能力も、変形能力も、ありとあらゆる機能が沈黙している。まるで神の意志によって、存在そのものを否定されたかのようだった。


 シアンの拳に(まばゆ)い閃光が宿り始めた。それは単なる光ではない。世界を砕く鉄槌(てっつい)であり、地球も、存在する全てを無に帰す究極の審判(ジャッジメント)だった。


 拳の周囲では、すでに世界の崩壊が始まっている。空間が歪み、時が乱れ、夜空の一部がブロックノイズのように崩れ落ちていく。まるで現実というキャンバスが、神の手によって引き裂かれているかのようだった。


『ジャッジメーーントぉぉぉ! きゃははは!』


 地球全体にシアンの邪悪な笑い声が響き渡る。


 宇宙の高さから一気に巨大な拳が閃光を放ちながら落ちてくる。それはまるで巨大隕石の落下だった――――。


「うわぁぁぁ!」「ひぃぃぃ!」「反則よぉぉぉ!」


 三人は本能的に頭を抱えてしゃがみ込んだ。もはや逃げ場はない。運命の鉄槌(てっつい)はもう目の前にまで迫っていた――――。


 だが、まさにその瞬間。


『そこまでっ!』


 威厳に満ちた若い女性の声が、全天地に響き渡った。


 それは命令を超えた何か。宇宙の法則そのものが言葉となって顕現したような、絶対的な響きだった。


 直後、黄金色の輝きが全天を照らし出す――――。


 ピシャーン!


 壮大な稲妻(いなずま)が天空から降り注ぎ、シアンの巨体を貫いた。それはまさに天罰そのもの。


 ごほぉぉぉ……。


 脳天に雷撃を受けたシアンは、美しい青い髪をチリチリに焦がしながら白目を剥いた。口から黒い煙を吐き出す姿は、つい先ほどまでの圧倒的な姿など微塵も感じさせない。まるでいたずらした子供がお仕置きを受けたかのような、間の抜けた光景だった。


『殺して口封じだなんて、いったい何を考えてるのかしら……。ふぅぅぅ』


 女性のため息まで伝わってくる。


 やがてシアンの巨体は力を失い、徐々に小さくなりながらゆっくりと後ろに倒れていった――――。


 ズシーン!と石垣島の大地が大きく揺れ、衝撃波が襲ってくる。砂埃が舞い上がり、小石が跳ね、まるで隕石が落下したかのような轟音がアジア一帯に響き渡った。





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