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『その力……この気配……貴様は』


 己に向き直り、剣先を突きつけているシルフィに、妖魔がしゃあしゃあと警戒するような音をたてる。

 シルフィはそれに応じなかった。

 素早く踏み込んで、妖魔の頭を切り飛ばそうと剣を一閃させる。


『くっ……!』


 妖魔は焦ったように後ろへ飛んだ。

 しかし、人間が振るうことのできる剣速を遥かに超えた彼女の斬撃を完全に避けきることはできない。

 シルフィの剣は妖魔の頭部を覆っていた襤褸をわずかに切り飛ばした。剣風によって、その顔面が露わになる。

 襤褸の下から現れたのは、蟲、蟲、蟲。

 ありとあらゆる種類の、無数の蟲たちが寄り集まって人の形を成している。


『おのれ……』


 妖魔の顔面で、口のような形に折り重なっている蟲たちが翅を震わせて、憎悪の音をたてた。

 続いて、ぎぃぃいいという甲高く、長い音を発する。

 その音に呼び寄せられるように、辺りの影に潜んでいた呪骸たちがわらわらと姿を見せる。


『殺せ!!』


 ぎちり、と妖魔が命じ、呪骸たちが一斉にシルフィへ飛び掛かった。

 しかし、シルフィは顔色一つ変えなかった。暴風のような剣を振るい、蟲たちを瞬く間に殲滅してゆく。


『……小物では相手にならぬか』


 妖魔は悔しそうな音をたてると、先ほどよりも長い絶叫をあげた。

 ぎぃいいいいいいいという叫びが夜空に木霊する。


「む」


 何かの気配を察して、シルフィは小さく唸った。

 傍らの民家へと目を向ける。

 途端、その家が音をたてて崩壊した。立ち昇る粉塵の中から現れたのは、あの小山のようなハサミムカデの呪骸。

 シルフィの背後から悲鳴が聞こえた。

 見れば、イムザたちが連れてきた市民たちが恐怖の表情を浮かべながら、互いの身を抱きしめている。


「何をしている! 死にたいのか!? 早く教会まで走れ!!」


 彼らを守るように立っているイムザたち聖堂騎士に向けて、シルフィは怒鳴った。

 イムザはそれに何事かを言い返そうとしたようだが、巨大ハサミムカデが顎を振り回しながら暴れ出したため、やむなしというように唇を引き締めて、教会のある方へ向けて走っていった。

 その後ろ姿に、シルフィはほっと息を吐いた。途端、巨大ムカデの顎が襲いかかってくる。

 彼女はそれを剣で受けた。だが、受け止めきれず。結局、身体ごと吹き飛ばされてしまう。

 そのまま壁を砕きながら何軒も家を貫いて、衝撃何度目かの衝撃の後にようやく勢いが止まった。



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