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「……なんでしょうか、今のは」


 フェリン神父が呟くのを背中で聞きながら、シルフィは礼拝堂を飛び出した。

 大きな樫造りの扉を蹴破るようにして通りへ出ると、そこにはダンテの姿があった。


「何があった」


「さぁな」


 きつい口調で尋ねたシルフィに、彼は欠伸を漏らしながら答えた。

 そこへもう一度、誰かの大きな声。悲鳴だけではなく、今度は怒号も混じっている。


「正門か」


 声のした方角を見たシルフィの奥歯が、ぎりと音をたてる。

 すぐさま、礼拝堂へと取って返す。


「し、シルフィさん?」


 神父におろおろとした声を掛けられたが無視して、部屋へ急ぐ。

 素早く着替えて、胸当てを着けると、空っぽの鞘を腰に吊った。

 再び、彼女が礼拝堂に戻るとラクトの姿もあった。この騒ぎで目を覚ましたのだろう。

 不安そうな顔でフェリン神父の腰にしがみついている。


「神父様、人々をこの礼拝堂へ集めてください」


「は、はい」


 シルフィの指示に、フェリンは戸惑いながらも頷いた。


「姉ちゃん……もしかして」


 神父の影から、ラクトが慄いたように訊いた。

 外から聞こえてくる喧噪は先ほどよりも大きくなっている。

 たとえ子供でも、何が起きているのかなど考えるまでもない。


「大丈夫だ。だが、教会からは出るな。神父様の傍にいるんだ」


 ラクト少年を安心させるように頷いてから、シルフィは外へ出た。


「行くぞ」


 そこで待っていたらしいダンテに命じるように言う。


「行くったって、お前。それで? 丸腰じゃねぇか」


 彼は呆れたように、正門へ向かおうとするシルフィの腰にある空っぽの鞘を指さした。


「武器はその辺で手に入れる」


 突っぱねるように答えて、シルフィは駆けだした。


「おーい。待てよー、そのままじゃ死ぬぞー」


 その背中にダンテの気の抜けた声が掛かるが、彼女は立ち止まらなかった。


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