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守護塔で引き籠ります!  作者: のな
ハーレム編
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74話 不穏の影近づく

「ふ~んだ、兄しゃまなんて呼んでやらんのでしゅよ~だ」


 2日目、早朝から男達と堂々と男湯に浸かり、沈まないようにアルディスに背中を預けて抱っこされている私はむすぅとした表情でディアスを睨んで拗ねていた。


 頭はね、ちゃんと理解しているのよ。大人ですから。

 

 しかし! 

 

 あの姉様をこの男が仕留めたかと思うと腹立たしくもあり、しかしこのお尻(?)が義兄になるかと思うと嬉しくもあり。


「複雑でしゅ」


 はふぅと息を吐いてくるりと向きを変え、アルディスの胸にピタリと張り付いた。


「確かに複雑だね。あの人嫌いのディアスが我等の妹とも呼べるノーラをねぇ」


 ヘイムダールもうんうんと頷きながら答える。


 ディアスと言えば、照れもせず慌てもせず、平然としているのだからよけいに腹が立つのだ。

 どうせなら真っ赤になってくれたりすれば楽しいのに…。


 私ははふぅと悩ましい息を再び吐くと、ストレス解消にアルディスの首筋にちゅうううっと吸い付いた。

 

「シャナ!?」


 アルディスは驚きと羞恥でわずかに頬を染め、首を押さえる。


 そうそう、こういうのがないとなんだか納得いかない訳なのよ。


 アルディスの首にしがみ付き、お尻をフリフリ振る。


 残念ながら生尻じゃあありませんよ。

 本日はメイドさんが水着のような生地で急遽かぼちゃパンツとチューブトップを作ってくださいました!

 色は小悪魔ブラックだ。


 メイドさん達曰く


「どうか彼等のその姿を目に焼きつけて、私達にも教えてくださいませ」


ということで、その時がっちり手を組みあい、メイドさん公認で男湯に突撃して現在に至るのだ。

 

 2日目の今日、男達の腰にはがっちりとタオルが巻かれてしまっているが、私が見たものをしっかと記録し、必ずや魔法の映像化をして皆様に見せる所存であります。

 うむうむと頷いた後、再びディアスをちらと見てはぁと溜息を吐いた。


「シャナ、ひょっとして」


 シェールが近づき、目を白黒させるアルディスから私をひょいと持ち上げる。

 ぷらんぷらんと持ち上げられた私は、じぃっと見つめられるので、むふっと微笑み、腰をくねらせた。


「悩殺ダンスでしゅっ」


 ぷらんぷらんさせられたままでは威力は半減だが、私にはこの小悪魔衣装がある!


 ふにふに腰を揺らすと、ブランコのような現象で体が大きく横に揺れてしまった…。

 これでは微妙だわ。


「シャナ…本当は寂しいんだろう?」


「何を言うのでしゅかっ、シェールのくしぇに生意気なっ」


 べしべし腕を叩くが、シェールは意に介せず、そのまま私をすっぽりと抱きしめた。


「や、でしゅ~。敵の情けは受けないのでしゅ!」


「シャナ、俺がいる」


 な、なんて甘いセリフを耳元で囁くのだこの男は! 

 そんな押せ押せにーちゃんにいつ進化した!?


 珍しく私は言葉を失い、きゅうきゅうと抱きしめられるままにしばらくの間身を任せると、そろそろと腕をシェールの首に回し、くすんと鼻を鳴らした。


 姉様が嫁入りするかと思うとセンチメンタルにもなろうというものだ。


「先を越されましたね」


 ノルディークがそんなことをぼそりと背後で呟き、私の頭を撫でると、長い髪を指先でどけて(うなじ)に口づけた。


「うひょうっ」


 首の後ろは弱点だっ! センチメンタルぶっ飛んだ!

 

 シェールはその様子を見て眉根を寄せると、数日前に一度付けたキスマークにかぶせるようにキスマークを新たに付け直す。


「ふひゃんっ」


「シャナが元に戻ったらたくさん慰めてやろう」


 アルディスも負けじとシェールとは反対の首筋にキスマークを付け、現在私は寂しさよりも至福でメロメロ大セールだ!


 元に戻ったら慰めるって、どんな慰めですかー!?


「…ぐふふふ」

 

 むふぅっと鼻息も自然荒くなる。

 

 ドキドキしながらぐふぐふ言っていると、シェールの腕からグイッと強引に引き離された私は、次には獅子…じゃなくて、ハーンと見つめあっていた。


「欲しけりゃくれてやる。身も、心もな」


 悩殺台詞が来たよ! どこで覚えてくるんだそんなセリフは!

 乙女ゲームの男達のようだよハーン!


「ふが~!」


 もう限界です!

 全員で私を殺しにかかっているようなものです!

 

 ミイラ取りがミイラ!


 私はハーンに深く口付けられ、負けぬ~!と頑張ったが、子供の体では無理でした。




「すごいいかがわしい光景だね。他の客がいなくて良かったよ」


 ヘイムダールがのんびりお湯につかりながら、じたばたと暴れつつも濃厚なキスシーンを繰り広げる私を見やり告げると、隣で湯につかる兄様が深々とため息をついた。


「私も別の意味で複雑です」

 

 そして、全ての元凶であるディアスは、無言を貫きつつ頭の中は姉様のことでいっぱいだったという…。




 ・・・・・・それにしても


 皆、子供の私に容赦なさすぎじゃあないかい?


 結局、私は朝から鼻血を流してのぼせたのだった。


___________________



「何で私を巻き込むんですかね…」


「情報を握っていたからだ」


「…そうですね」


 シャナが朝から鼻血を流してぐふぅ~と至福の声を漏らしている頃、温泉の町の入り口には、栗色の髪に蒼い瞳のぐったりとした様子の青年騎士と、黒髪に真紅の瞳のルアールの王族の男。それから、瞳の色が薄紫の、雰囲気が男とよく似た美女と、そして…


「こんな臭いところに来ているなんて、これだから田舎者は嫌ですわっ」


 硫黄の臭いに顔をしかめたのは、赤毛の毛先がくるりとばねの様にまかれた勝気そうな少女。


「己の教養の低さを露呈するような発言は控えなさい」


「う…はい、申し訳ありませんわお兄さま」


 最後に入り口に立ったのは、赤毛に紺色の瞳をしたノーグの王族だった・・・・。


 




 

シャナ  「アルしゃん」


アルディス「何?」


シャナ  「約束は守ってもらいましゅからね」


アルディス「何の?」


シャナ  「大人に戻ったらちゃんとエロってもらいましゅ!」


ヘイン  「エロる…」


アルディス「あ、あれは…!」


ハーン  「あんまり焦らすなら俺が先にしてやるぞ」


アルディス「う…」


どうするアルディス!!?

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