セアという魔族──④
【新作】
新作を投稿しました! 題して、
『〇ッチギャルのお相手は、幼馴染の俺のようです』
です!
よろしくお願いします!
「──なんのことですか?」
一瞬だけ、間が開いてしまった。
それが理由なのか、それとも俺の嘘が下手なのか、はたまた全てを知っているのか……。
サーシャさんはくすくす笑って、俺から離れた。
「魔族は人類共通の敵。それはわかってるよね?」
「もちろんです。俺だって、もう何度も魔族と戦っていますから」
「普通、人生で魔族と何度も戦うようなことはないんだけど……まあいいや」
くるくる、まるでダンスするかのように踊るサーシャさん。
けど……隙がない。無駄なことみたいなのに、一切の無駄のない動きだ。
これだけで、サーシャさんの底知れない力を感じる。
「魔族は殺さなきゃいけない。今は力の弱い奴だろうと、女の子だろうと、絶対に人類に仇なす敵になる」
「確かにそうかもしれませんけど……」
セアを殺すのは簡単だ。力は弱く、油断も隙も大きい。
昨日から今日にかけて、殺すだけなら何度でもチャンスはあった。
けどそれをしなかったのは、セアにしか獄門のレトの居場所がわからないから。
目の前の目的ではなく、そのさらに向こう……大きな目的のために、セアは殺させやしない。
怯えているセアが、目の端に映る。
俺は心音を意図的に操作して、平常を装った。
「そうとは限らないのでは? 人間にも善悪はある。動物だって、迫害する方とされる方がいる。魔族を知らないのに、全てを悪と断定することはできないと思いますけど」
「そうかもしれないね。けど魔族という性質上、善と悪の比率は絶対的にかたよる。そう思わないかねぃ?」
それは……確かに、そうかもしれない。
魔族の残虐性や狡猾さは、悪という言葉では包みきれない。
絶対悪。それが魔族だ。
けど、絶対にそれが正しいとは言えない。
人間だから善。魔族だから悪。
それは、今この世界に多く繁栄している人間が作った概念だ。
そこに縛られちゃいけない。……と、思うのはエゴだろうか。
「……だとしても、利用価値はあるなら……俺はあなたを止めます。例え戦うことになっても」
直後、空気が張り詰めた。
サーシャさんからは、殺意や闘気の一切を感じない。
ただ微笑んで、そこにいるだけ。
なのに……この緊張感はなんなのだろうか。
これが、アサシンギルドのギルドマスター……今まで戦ってきた誰より異質で、怖いと思う。
「……そっか。それが、コハクくんの考えなんだね」
「はい。……すみません」
「謝ることはないよ。人にはそれぞれ考えがあるから」
サーシャさんがパンッと手を叩くと、それだけで緊張感が霧散した。
いつものようにサーシャさんは、花のような笑みを浮かべる。
「わかった。もうコハクくんのことは邪魔しないよ」
「ほ、本当ですか?」
「うん。ギルドマスターの誇りにかけて。……その代わり、ちょっとだけ魔族の女の子とお話がしたいんだけど、いい?」
「そ……それは〜……」
いいのだろうか、それは。
サーシャさんのことだから、変なことはしないと思うけど……。
『ご主人様、大丈夫かと。サーシャ様からは、先程のような攻撃の意思は見られません』
スフィアがそう言うなら……。
俺は意を決して、フェンリルの背に乗っていたセアを下ろす。
と、サーシャさんは目を見開いた。
「……驚いた。本当に、小さい女の子だ」
「はい。名前はセアです」
セアは俺の脚にしがみついて、礼儀正しくサーシャさんに頭を下げた。
その拍子に、フードがめくれて小さい角が見える。
「なるほど、その子が……セアちゃん、でいいのかい?」
「ひゃっ……ひゃぃ……」
サーシャさんが近付くと、涙目で俺の後ろに隠れてしまった。
「安心して。ウチはもう、君に手を出したりしないから」
「ほ……ほんとう、ですか……?」
「うん。……けどイラついてはいるかな。これからずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとコハクくんと同じ部屋で寝るナンテネ……!」
「ひぇっ……!?」
なんで圧かけてるんですか、あんたは……。
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