第二ラウンド
続きです。
「どうするラヴィ、逃げる・・・・・・?」
「そうしたいところだけど・・・・・・いやぁ、私には厳しいね・・・・・・。そしてコーラルも・・・・・・たぶん私置いてけないでしょ?」
「そりゃもちろん!」
「誇らしげにしてるんじゃないよ、おバカ・・・・・・」
相手がどういう存在なのか、見誤ったわけではない。
分かってるよ、あの魔物はどうしようもなく強い。
けど、もう勝つしかないのだ。
手負いのラヴィは、もう逃げられない。
ちょっと余裕ぶってるっていうか強がってるけど、本当は立っているだけでやっとなはずだ。
だから、わたしの身の丈に合わない強がりもまだ継続だ。
「誇らしいに決まってるじゃん。わたし、あんま自慢できるとこないけど、仲間は絶対見捨てないよ」
どうにもならないかもしれない。
足りないものだらけだ。
わたしの刃はあの魔物に届かないかもしれない。
でも・・・・・・。
そんなこと言ってもしょうがない、結局。
わたし一人生き延びるつもりもないし、やっぱりわたし自身が死ぬのも嫌。
今だって全身痛いし、死ぬほどのダメージになったらこれより痛いだろう。
いくらカッコつけても痛いは痛いし、嫌は嫌。
死ぬ覚悟なんかできないし、死にたくない。
今、ラヴィと二人で生き抜くためなら、どんな分の悪い綱渡りでも成功させてみせる。
鱗粉に侵された皮膚が赤く腫れ始め、水ぶくれのようになって組織液を滲ませる。
はたから見ればほとんど外傷のようだ。
いや、毒由来なだけで外傷には違いないのかもだけど。
頬に出来たそれから垂れた薄い血のような液を手の甲で拭って、短剣の先端を魔物に向ける。
魔物は既に六本の脚でバタバタとこちらに走り出していた。
その接近につれ、鱗粉の濃さが、赤色が強くなっていく。
その赤を貫くように、わたしも魔物に向かって駆け出した。
続きます。




