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256話 アジト③

 トマコに戻り、俺のアイテムボックスの整理を続ける。付き合ってくれるみんなに申し訳なく思う。

 次の千歳イベントは雑貨が中心だそうだ。


 ダンジョンB2のショップのセボンとマツチヨの商品は出せる。

 あちらの世界で10年間……といっても10年ぴったりではない、実際には9年ちょいか、毎日…でもない、行かない日もあった。



「じゃあさ、概ね9年として、300日かける9で2700日分か」


「うん?」


「店内商品の全部買いが2700回分。つまりセボンが2700店舗あると言う事ですね」


「そう、そうなんだよ、どうりでこないだ貰った酒と煙草の数が多かったのか納得だな」


「それで?」



 俺はミレさんが何の話をしたいのかがわからなかった。



「だからさ、商品名で検索するよりさ、セボン1店舗分で検索出来ないかな。それでイベント当日に何店舗分かを出すとか、さ」


「なるほど、それは在庫がわかりやすいですね」



 ああ、そう言う事か。俺は直ぐに検索をかけてみた。

『セボン1店舗分の商品』



「あ、出た。検索出来るぞ」


「あ、香、ここに出してはダメですよ?」


「イベント前に現地に出すのか。でも並べるの大変そうだな」


「コンビニバイト経験者とか雇いますか?」


「それいいな」


「あと、冷蔵もの、冷凍ものは別検索できますか?」



 キヨカに言われて試したら出来た。冷凍、冷蔵物は当日に出すそうだ。

 その後に何店舗分を出店するかなどが話し合われて、その日の会議は終了した。





 うちからは、うち……と言うか俺たち仲間内では『異世界セボン』と言う店を出す事に決まった。あ、マッツ、スタガとは別にだ。

 イベント内の場所も確保した。3ヶ所で3日間出店する。


 手持ちが2700として、とりあえず9減ってもまだまだ今後のイベントで出せるな。

 無くなるまでに他の何かを考えよう。


 そんな事を考えながらアイテムボックスをくいくいとしていく。

 本当にゲームアイテムのスクロール系は残り少ないな。


 テレポートスクロールなんてあと僅かしかない。

 俺やマルクはウィズだからそこまで必要としていないが、他の仲間には必要だ。数枚ずつは渡しているが追加で渡せる程は残っていない。


 帰還スクロールは元からたいして持っていないが、これは最寄りの駅に飛んでしまうので使い勝手がイマイチだ。

 電車が動いてない今、結局駅から徒歩になる。と言うか駅自体も無くなっている場合が多い。


 ブランクスクロールはまだ多少は残してある。この先何の魔法が必要になるか、それによって詰めるべき魔法が変わるので、ブランクのまま持っている。


 ゴンちゃんはゲーム内で『スクロール屋』をやっていたが、もっぱらNPCや魔物から入手不可のブランクスクや解析スクなんかを作って売ってたな。


 それは異世界の王都のゴンザエモンでも同様だった。

 異世界の女神像でテレポートスクロールは入手出来たので、ゴンちゃんはそれ以外としてブランクスクを作っていた。と言っても、ブランクスクに魔法を詰められるウィズが少なかったので、俺に卸す事が殆どだと言ってたな。


 ゴンちゃんもあっちではそれほど真剣にゴンザエモンを営業してはいなかったんだよなぁ。

 あっちへ異世界転移したゲーム仲間は、皆、テレポートリングを持ってたからスクロール屋としての需要はあまりなかったみたいだ。



 そんで今持ってる中で余ってるスクロールといったらあとは、アジト帰還スクくらいだよな。

 アジト帰還スクロール、ゲームだと血盟主がアジトを購入すると使用可能になる、アジトへ瞬時に帰還するスクロールだ。


 アジト帰還スクロールはゲーム内ではNPCからの購入になる。狩りをしててもどの街に居ても、それを使って自分の血盟アジトへ戻ると。

 どこかへ飛ぶ時はリングを使うが、戻る時はアジトスクと使い分けが自然と出来ていたな。


 そして、今、俺の、いやタウさんやミレさんもだと思うが、アイテムボックスにアジト帰還スクは結構ある。ゲームでは当たり前のように使っていたから常に大量に準備していた。


 しかし、リアルの今、肝心のアジトがない。

 しいて言うなら拠点がアジトっぽいが、そこをアジトと決めても『アジト登録』する場所がない。


 苫小牧市役所……、閉まってるよな。開いていても何課に行けばいいんだ?住民課か?


 テレポートスクが無くても、アジトへ戻れるスクロールがあるだけで安心感が違う。誘拐されても瞬時にアジトへ帰還出来るからだ。

 そのうち苫小牧市役所に相談に行ってみるかなぁ。




「父さん、神様にお願いしてみる?」



 俺の独り言を聞いていたマルクが何故かワクワクした表情になってた。



「んん?」


「だって、困った時こそ神頼みなの。椿の神社へ行こう? しょーがじょーずだから!」


「そうだな。ダメ元でお願いしてみるか。(生姜上手???)」



 マルクを連れて椿大神社へ飛んだ。

 鳥居を潜りスタスタと歩くマルクを見失わないように後を追った。


 そしてふたりで手を合わせる。毎日の無事のお礼を言う。それからもうひとつ。


『トマコ拠点をアジト認定お願いします』



 うんともすんとも言わない。

 そうだよな。

 わかってたさ。ちょっとお願いしてみただけだ。




『香!何をしたんですかっ!』

『カオさん、今どこですっ!』



 ビックリした、春ちゃんとキヨカが突然念話で怒鳴ってきた。俺なんかやっちまった?

 あ……おいてったから怒ってる???



『とにかく今どこに居るか教えてください』

『カオさん、どこですか』


『あのね、今、椿の神社でお参りしてる お父さんを怒らないで、僕が行こうって言ったの』


『違うぞ。決めたのは俺だ、怒るなら……』



 そこまで言った時にはもう目の前にキヨカが飛んで来ていた。リングの無い春ちゃんからすぐ戻るように念話が来たので、とりあえず来たばかりのキヨカを連れて3人で戻った。





 待ち構えていた春ちゃんがこちらが聞くより先に話し始めた。


 なんと、リアルステータスにアジトが表示されたアナウンスがあったそうだ。

 慌ててステータスを開くと、なるほど、血盟の欄が開いており、そこにアジト名が記載されていた。


アジト:苫小牧拠点


 ほぉおえ?



『ちょっ、カオさん! 何かしたんすか』

『うちのアジトここかぁ』

『凄いですね! アジト認定!』



 カセ達も気がついたようで念話が飛んできた。と、直後に本部へ駆け込んできた。


 キヨカがタウさんに知らせたので、その後、タウさん、ゆうご、ミレさん、カンさん、ゴンちゃん、アネが飛んできた。





「まさか、アジト登録が出来るとは!」


「椿大神社ですね! 直ぐに行きましょう!」


「今、拠点としている所がアジトになるの? うちは札幌アジトかぁ」


「皆さん落ち着いてください、早まらないで。現在の拠点をアジトとするか、よく考えてください」


「タウさん、考えてって言っても選べないんじゃないか? 血盟の拠点がある場所に…………ん?」


「そうなんです。血盟の拠点、拠点は複数ありますがそこを血盟の拠点と決定付けているのは、何、でしょうか」


「ゲームは血盟主がアジトを購入するから、そこがアジト以外の何ものでもないな……けど、リアルは?」


「ええ。道内に拠点は複数あり、そこを適当に割り振っただけ。茨城の洞窟拠点には複数の血盟が存在します。何故、どうやって、アジト認定されたのか。カオるん、椿大神社で何が起こったのか詳細に説明していただけますか?」



 なんか大事になってしまった。皆の慌てぶりに驚いたせいで俺も何がなんだか記憶喪失に……。



「カオるん、記憶を失ってる場合じゃないぞ? ほら、キリキリ話せ」


「ミ、ミレさん、苦し……」


「だめぇ!父さんの首を絞めたらダメなの!」



 マルクが俺とミレさんの間に割って入った、勿論、身体ごとだ。



「ごほっ、あー、ええと?」


「香、落ち着いて、大丈夫です。ゆっくりで大丈夫」


「うん、あぁ………そうだ! スクロールの在庫が少ないのにアジト帰還スクロールは余ってて、アジトが無いから使い道が無いって話をしたんだ」


「そうなの。それで市役所がお休みで、アジトの手続きが出来ないから椿の神社にお願いに行ったの、ねっ?」


「そうそう、それでこないだのとこのブックマークに飛んで、手を合わせたら春ちゃんからいきなり念話が来て」


「ステータスがいきなり開いたんです。アジトが認定されましたとのアナウンスもありました」


「おう、俺もあった」

「俺も。ビックリっす。ステータスは勝手に開くし何事かって、いや、きっとカオさんがなんかしたんだろうって」



 ステータスが勝手に開いたんだ?俺のステータスって開いていたか?



「アナウンス……気がつかなかったな」


「あったよ? パンパンってした後に、神様の声?がした」


「カオるんはアジト申請した本人だからわざわざのアナウンスは無かったのかもしれません。カオるん、その願い事のところを詳細に」



「えっ、あぁ? なんだったかな……確か…『トマコ拠点をアジト認定お願いします』だったかな」


「なるほど。アジト認定したい場所の名称をこちら側から告げたのですね。これは色々検証が必要ですね」


「そうですね。それにしてもカオさん、お手柄ですよ! 僕らもアジトスクならかなり持っている。これが使えるなら仲間に十分に手渡せます。アジト帰還が可能なんですよ!」



 ゆうごが嬉しそうだった。いや、ゆうごだけでなくタウさんもカンさんも、他の皆もだ。



「あ、待って待って、確かにアジト使いたくてお願いに行ったけど、まさか本当にアジト認定が成功すると思わないし、アジトスクも試してない。いきなり呼び出されたからな」


「では検証の第一歩。まずはカオるんにアジト帰還スクを使っていただきましょう」


「第二段階として、苫小牧拠点のリアステ持ち、それから第三段階として苫小牧のリアステ無しでも使用出来るかの検証、それから苫小牧で生活しているハケンの砂漠以外のリアステ持ちでも検証をお願いします」



 うわぁ、ゆうごに立て続けに言われた。ええと、誰と誰だっけか?



「大丈夫ですよ、こちらで検証メンバーは抜粋しました」



 春ちゃんとキヨカで既に話が通っていたらしく、カセ達が誰かを呼びに部屋を出て行った。

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