173話 親の事情④
「もし行くなら和歌山前に、東京の叔母を訪ねてみたい。20年お互いに音信不通だったしずっとそこにいるかわからない。東京も、その、かなり沈んでいたから尚更だけど、出来たら……行ってみたい」
東京の叔母、20年前、いやもっと前か。その頃東京に居た叔母。
俺には訪ねたい身内……身内と言っていいのかわからないが、もしも訪ねるとしたら会ってみたい者が2人居た。
叔母と叔父。
どうやってそれを皆に話そうか。どこから語ればいいか。
「あの……場所を変えませんか? それとカオるんが嫌でなければゆうご君とアネさんも呼んで、その、色々と決めた方がいいのかな」
「そうですね。拠点本部へ行きましょうか」
バーベキューも概ね食べ尽くし皆で楽しんだ。そろそろお開きにしようと言い、ナラ家の人たちにお礼を言って皆を茨城へと連れて帰った。
茨城でゲーム予定のナラの姉と妹は明日迎えにくる約束をした。
クマの妻子を病院に送り届けた。
これから拠点本部での会議にクマ達も参加したいと言った。
「もしカオさんが西へ向かうなら俺らも運転手として参加します」
「西は車で移動出来る道は無いかも知れません。それでも参加されますか」
「カオさんが聞かれたくない話……なら、俺らも遠慮しますが」
「え、いや、別にそんな御大層な話じゃないぞ?」
と言うわけで、本部にはタウさん、カンさん、ミレさん、アネさん、ゆうご、それとうちの血盟からはマルク、キヨカ、カセ、ナラ、クマが参加した。
バーベキューに参加していなかったアネとゆうごには初耳になる話だ。
「アネさんとゆうご君には申し訳ない。実は先程、私が無理を言い愛知へ向かう事になりました。それで今後の計画が多少変更になります。それについてご意見があれば忌憚なくお話しいただければと思います」
「愛知へ?タウさんの実家ですか?」
「はい」
「別にいいんじゃない?」
「なるほど。ブックマークの関係でカオさんも一緒に行くと言う事ですね。だとすると北海道の拠点造りは延期…ですね」
「はい、申し訳ありませんがそうなります」
「俺とカンさんはLAFとサーバーの関係で、参加が遅れます」
「じゃあ僕とアネッサさんも西進行に参加ですね?」
「いえ、出来ればアネさんとゆうご君は北海道の自衛隊駐屯地の方々と地上の魔物植物の殲滅に当たってもらいたい」
「えっ、うっそ! それ楽しそー!」
「魔植殲滅……」
「殲滅までは結構ですが、自衛隊に手を貸していただきたい。カオるん、ブックマークは済んでいるのですよね?」
「ああ、終わってる」
「では、明日ここに居る全員でブックマークの共有をしてしまいましょう。ミレさん半日くらいは時間をいただけますか?」
「だいじょ…」
「今から行こうよ! ブックマークでしょ? カオるんがエリアテレポートで運んでくれた所をブクマするだけでしょ? 1時間もあれば終わるんじゃない? 暗くても夜中でも関係ないしー」
「そ、うですね。やってしまいましょうか」
「あ、あのぅ、カオさんの昔話……は?それをするための集まりだったのかと」
ナラが恐る恐ると言った感じで、盛り上がってるアネ達を止めた。
「カオるんの過去ぉー?興味ないしぃ」
「あ……僕も別に……」
アネとゆうごは特に聞きたい話ではないようだ。そうだよな、おっさんの昔話なんてな。
「そうですね。ミレさんはご存じなのですよね?」
ミレさんが小さく頷いた。
「カンさんはサーバーの作業中にミレさんに聞いてください。あ、カオるん、話していいのですよね?」
「あ、うん。別に大した話じゃないから」
「私達は西への移動中に聞かせていただきましょう」
あの、そんな大した話じゃないんだけど。マルクもキヨカも何を聞かされるのか不安げな顔になっちゃってるぞ?
何かオチを用意しないといけなくなるじゃないか。
「キヨ姉ぇ〜、カオるんの過去話、もしかしてどこかに隠し子とか愛人が居たりしてぇ。カオるんもしかしてバツイチだったり」
何それぇ、俺が初耳なんだけど。
「では今からブックマークにいきましょうか」
タウさんのひと声で、皆が俺の周りに集まった。いつもならブックマーク一覧を書き出した紙をくれるキヨカがポケっとしてる。
え、何処から回ればいい?番号順でいいか?てか1番どこだっけ?
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※カオの過去話は『俺得、番外編』の中の『カオの過去①〜③』にあります。
興味のある方は是非そちらをご覧ください。




