112話 植物の活発化②
本格的に病院拠点造りが始まった。
タウさんとカンさんが病院拠点の作業へかかりきりになるため、彼らのチームメンバーは他のチームへ分散して組み込まれた。
元々地元近辺を回る予定だった『筑波の砂漠』の翔太と憲鷹は俺の『ハケン』と行動を共にする事に。
タウさんの『地球の砂漠』から美穂さんと美咲さんはアネの『オウケ』へ、有希恵さんはタウさんの手伝いに。
それからLAF社員のキングジムと高橋がミレさんとこの『タマ』に加わった。
剣王子とジョーゲンは地下シェルターでLAFのサーバーのモニターチェックだとか何とかだ。
うむ、サーバーが止まったらゲームが出来なくなるから重要な役目だな。
あれっ?LAFの桂木さんのゲームキャラ名は何だったか?あの人一応、『陸自の砂漠』に入ってるんだよな?
もしかして自衛隊と行動を共にしているのだろうか。…………頑張れ。
ミレさんの『埼玉の砂漠』は、埼玉から群馬方面へ。
アネの『王家の砂漠』は、神奈川から山梨方面へ。
そして俺カオの『ハケンの砂漠』は、茨城県内を。
今回の作戦は救助・救援を行いつつ、血盟員のスカウトもする予定だ。と言っても、ステータスも無い一般人をいきなりスカウトは出来ない。
なので、これは、と思う人を見つけたらまずは連絡先の交換だ。
とにかく動ける仲間を増やすのが目的だ。
組織から逸れている警察や消防、救急関係者、それから農林水産関係や建築土木系など、この災害時に頼れる人間を増やしたいとの事だった。
「こんな世界になると、俺のようなデスクワークの事務が1番役立たずだよな」
少し前の会議の時に俺がボソリと呟いたらタウさん、ミレさん、カンさんからツッコまれたっけ。
「ただのデスクワークに、あんなにスキルは生えませんよ」
「ただの事務なわけないだろ!『力仕事』ってスキルあったよな! 何だよ、力仕事って! デスクワークでどんな力仕事してんだよ! 机が削れるだろうがよ!」
「ハケンスキルが6つありましたよね、カオるん。僕なんかふたつですよ……」
…………えっ?派遣事務なんてあんなもんだよな?普通だよな?
うちのチームに翔太と憲鷹が加わった事で県内(茨城)を回りやすくなった。何しろふたりは子供とは言え地元民だ。俺より詳しい。
あ、あれ?そう言えば俺も茨城在住20年だった。なのに全然知らないとは!……ま、いっか。
「父さん父さん、またあそこ行こう? 大仏様のとこ。翔ちゃん達も登りたいって」
「おう、そうだな。ブックマークあるか?皆で写真撮っただろ?」
「ある」
「あります」
「ああ、でも大仏さまの胸のとこに飛ぶか。エリアテレポするから、着いたらそこをブックマークしとけ」
そう言って、出した馬車をしまい、4人を連れて一気に大仏の中へと飛んだ。
そこで5分ほど景色を堪能した。
やはり心が洗われるなぁ。
……あれ?緑が少し増えた?火山灰で酷い事になっていたから良い事なのかな。自然が戻ってくると良い。
そして螺旋階段で一階まで降りた。途中二階でマルク達はお守りを選んでいた。
俺は財布から最後の1枚の万札を取り出した。災害から現金を使う事が無かったが、やはり神がかっている場所での泥棒は心が痛む。
「お守りを買うならこれで払いなさい」
そう言って渡した。が、今後お金(日本円だが)はどうなるのだろう。そのうち銀行が復活する……のだろうか?
マルクと翔太と憲鷹は、その一万円で買えるだけのお守りを買ったようだ。拠点の知り合いにもあげたいからと言っていた。
その後、順調に救援・救助して行く。
必ず5人で同じ場所のブックマークも忘れずに行った。余り裕福でない避難所には連絡先のアドレスを置いて行く(俺以外)。
馬車に戻る度に勧誘したいメンバーが居たかどうかの話し合いをした。連絡先を渡しても勧誘する気にはならなかった。
それは、勧誘をしたくないと言う意味では無く、その人を勧誘するとその避難所が成り立たなくなるのでは、と思ったからだ。
どこの避難所も動ける人はギリギリの人数で賄っている感じだった。そんなとこから人を引っこ抜くのは、いくらうちの洞窟拠点にメンバーを増やしたくても心が痛んで出来ない。
「難しいですね」
「そうだなぁ。避難所よりも個人で居る人をターゲットにするかぁ」
「でも個人でいる人は、ネットに書き込みでもしない限り見つけるのは無理っぽいですよね」
憲鷹の言う事も最もだ。
「かと言ってネットで募集出したら逆に集まりすぎそう」
翔太の意見も納得である。
「難しいな」
「難しいですね」
「難しいね」
「救助・救助活動を早めに切り上げて、拠点で作戦会議をしませんか?上手くネットを使えないかな」
「そうだな。まずは救援・救助をとっととやっちまおう。あ、俺、知り合いを誘ってみようかな。茨城県内ではないんだけどいいかな」
「いいんじゃないですか?別に県内限定とは言われてませんし」
「あ、だったら俺もいいかな。一応県内の友人」
「僕も親戚とか声かけたい」
「キヨカは?神奈川の知り合いとか、あ、神奈川は王家が行ってるか」
「ええ、でも、良ければ私も誘いたい友人がいます」
「じゃあ、電光石火で救援救助を済まして作戦をたてよう」
「おおー!」
「はい!」
「うん!」
「ええ」
俺らは張り切って県内を網羅して行った。
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その頃ポツリと、ネットで書き込まれ始めた。
ある目撃談。
『木が歩いているのを見た』
『木に襲われた』
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俺らの洞窟拠点でも老人が襲われた。




