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12月になった

12月になると、冬って感じになるし冬季講習が始まる。


 予備校帰りに、インフルエンザの予防注射を僕は打ちに行った。


 インフルエンザにかかって本番受けられなかったりすると大変だし。


 今日は激しい運動しちゃダメですよって言われたけど、どうせ浪人生なのでそんなのやってませんよーだと心の中で言いながら帰ると、沙音華がいた。


「おかえりたいせ、注射頑張った? 泣かなかった?」


「なんだその煽りは」


「まあまあ、とにかくおつかれ〜私ももう少したったらここに来るのはやめるから。インフルとかうつしたら大変だし」


「おお、ありがと」


 なんか来なくなることに対してありがとってちょっと寂しいな。


 そんなことをふと思いながら、沙音華を見ると、沙音華と目があった。


「ん? どうした?」


「特になにも」


「あ、あれだな、あれでしょ。私に彼氏ができたか気にしてんでしょ。クリスマスも近づいてきてるもんねー」


「違うけど。最近成績しか気にしてないけど」


「まあ教えといてあげるとデートのお誘いは断ってるんで」


「話が一方的に進むなあ。ていうかなんで断ったし。あんまりタイプの人ではなかった?」


「まぁねー。私のタイプの人勉強で忙しいし」


「え、まさか……」


 沙音華の部活の後輩のことじゃ……そうだなたぶん。あの人いい人そうだったもんな〜。


「その人の進路希望は?」


「私とおんなじ大学受けると思う」


「まじ……」


 うわー。まあ沙音華に彼氏ができるのは喜ばしいことだが、僕が落ちて、沙音華と疎遠になって、その後輩と沙音華が僕の行きたかった大学で楽しそうにしてるっていう状況は……僕がひたすらダサい。




 気合いいれないとな。


「お、勉強始めた。いいモチベ」


 沙音華のおかげでな、と心の中でつぶやいて、僕は冬季講習の予習を始めた。




 次の日から始まる冬季講習。夏期講習と同じく、恐怖の現役生がいる。


 夏よりは静かになった気がしなくもないJKたちから少し離れたところに僕は席を取った。


 すると、


「あ、沙音華先輩の幼馴染の方じゃないですか」


 なんというタイミングでしょう。沙音華の後輩が現れた。

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