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沙音華との朝

 そしてそれから沙音華にアフリカ大陸から順番にいろんな地誌の用語を耳元で流されたところまでは覚えている。


 でもそんなことされたら当然寝るし、あと前提として沙音華も地理に興味あんまないのを忘れていた。


 結果として、目覚めたらベットの隣に沙音華がいた。


 うん……今日普通の平日だし、一限からかはわかんないけど沙音華大学あるんじゃないかな。僕も予備校あるし。


 というわけで僕は沙音華を起こした。


「……うんーっ。あっ。私まで寝ちゃってたのか!」


「そう。ごめん」


「え、いやいや、うわー、そっかなんか寝ながら狭いとは思ってたんだよね〜いつ寝たかは覚えてないなあ。たいせとほぼ同時かも」


「まあ……そうなのかもな」


「たいせ今から予備校?」


「そう。あと三十分で出ないと」


「私今日四限だけでそのあとサークルだから余裕あるな〜」


「余裕ありすぎだろ」


「でもまあ普通に大学の図書館でも行きますかね」


「まあこんな汚い部屋にいてもしょうがないし、その方がいいと思う」


「じゃあたいせと一緒に出ようかな」


「はいー。たまには自分でちゃんとした朝ごはん作るか。沙音華に昨日はお世話になったし」


 「ちゃんとした」朝ごはんを作るのは久しぶりだ。今日は元気がある。沙音華の読み聞かせが効いた可能性があるな。


 言ったらキモがられそうだけど、沙音華の声が割と好きなんだよな。


 ちなみに一番嫌いなのは予備校のリスニングの声。マジで聞きすぎて嫌いになった。


 ちゃんとした朝ごはんと言っても、パンを焼いてとスクランブルエッグとサラダを作っておしまい。


 でも沙音華も美味しそうに食べてくれた。


「おいしいー」

 

 そして食べ終わって沙音華と歯を磨いていると、沙音華と暮らしているみたいだ。


 まあ……それもいいのかな。なんて考えちゃってな。いやでも現状を引き伸ばせば、沙音華は順調に人生を歩んで就職して、僕はニートだわ。


「たいせどうしたの?なんか歯に詰まってる?」


「いや」


 無意識にやばそうな顔をしていたようだ。


 まあ実際やばいので仕方がない。




 


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