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読み聞かせ

11月とは、センター試験までのカウントダウンにみんな注目したりし始める時期である。


 まあ僕は二回目なんでそんなことで変に焦ったりしないけどね! しないよしない。


「はいじゃー先週の演習返すぞー」


 今週も今週とて演習返し。


 そしてまあまあいいと精神安定。


 本番は一発試験な訳だけど、まあそれまでのテストでいいと精神が救われるもんなのである。


 まあまあそれしか精神が安定する要因がないというのも悲しい。


 高三の時は最後の行事だの打ち上げだの色々あったけど、うちの予備校の最近の行事といえば、冬季講習の申し込みくらいか。


 冬季講習は少なめにした。


 一講座あたりの値段が割と高いのと、過去問演習や自分にあった弱点補強の勉強に時間を割きたいからである。


 


 演習がまあまあだったので精神が安定して帰宅すると、すぐに沙音華がやって来た。


「たいせーおっつっかっれー」


「うい」


 沙音華はそれだけ言うとあとは静かになった。後ろでスマホをいじったり、なんかグラフを描いたりしている。


 僕は勉強をし続ける。


 そしてしばらくするとなぜか問題文を読むのに時間がかかるようになった。


 寝落ちの前現象である。


 そしてしばらくすると頭がだんだんと下に行き、それがおさえられなくなってきた。


「たいせ、仮眠とったら? どーせその様子だと昨日無計画に過去問演習始めて三時くらいになったでしょ、昨日っていうか今日の三時ね」


「……ん、ん。うん。よくわかるな」


 過去問演習を夜に始めるはいいが、過去問演習って解くのにも時間がかかるけど自己採点と直しにも時間がかかる。


 それをみこさずに始めると、むずい問題とかで解説読んでも詰まればもう朝の方が近くなる。


「今日は寝たら?」


「いや……頭働かないなら働かないなりに地理でもやるかなあ」


「地理? 地理なんてたいせ暗記嫌いだしさらに寝ちゃうよ!」


「そうだなあ……もう寝るか今日は」


 その方が後々効率が良さそうだ。


「……あ、じゃあ私が寝る前の読み聞かせしてあげる」


「読み聞かせ?」


「そう、地理の用語の読み聞かせ! たいせはお昼寝前の幼稚園児みたいに寝てるだけ。意外と朝になったら覚えてるかもよ?」


 なるほど。もしかしたから効果があるかもしれない。お願いしよっかな。


 僕は沙音華にお願いしますと地理の参考前書を渡した。


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