人が減ってきた
「……で、山上先生に相談したんだよ」
「へー。でなんか解決に向かった?」
沙音華は僕の話を聞きながら後ろでお菓子を食べている。
「いや、山上先生ほんとてきとうでさ、とりあえずミスらない程度に急いで解こうぜとか言ってよし頑張れでおしまいみたいな」
「あー。でも、まあそれはそうだよね。たいせ頑張れ〜」
「……はい」
沙音華はお菓子を両手に持って応援ポーズに見える何かの動きをした。
「そういや沙音華は夏休みいつまでなんだ?」
「九月の終盤までありますー! 夏期授業も少しあるけど」
「うらやましいなあ」
「まあたいせも来年はそうなるよ」
「んー。ならないとまずいな」
僕は勉強に戻る。
いやー。なんかだんだん近づいてきたんだけど入試が。
やばいやばい。
とか言ってるとまた次の演習が来るのでもうそれは話さないことにする。
それよりも話したいのは、最近少し人が減ってきたことだ。
おそらく自分が必要のないと思った教科の授業を切ってる人や、演習の問題と解答だけもらって授業には出ない人とかがいる。
なんと今日は僕の隣と前後が誰もいない。
「なんか人減っちゃったね〜」
斜め後ろの奈乃さんがそう言ってきた。
「だな。実際どっちの方が効率いいんだろう」
「授業によるのかな〜って思うけど、私は今のところ体調悪くなっちゃった時以外は全部出てるよ」
「僕も全部出てるな」
まあ人それぞれのやり方で頑張ってるんだろう。
ていうか周りに人がいないから僕と奈乃さんだけ離れ小島状態になってるじゃん。
「なんかめっちゃ席空いてんじゃん。ここの方が見やすいし俺こっち座ろうかな」
と思ってたのに榎咲がきた。
せっかく奈乃さんと二人だと思ってたのに僕の隣座ってきたしなおい。
実際ここの席は見やすいんだけどね。さて、授業の準備を……
「あ、筆箱ない」
僕はカバンの中をよく探した。
けどない。
うわー、忘れ物かよ。
「ほい、シャーペンと消しゴム一つずつ貸してあげるぞ」
「お、ありがとう」
榎咲優しいわ。隣に来てよかった。
いや待って。榎咲が隣に来なければ奈乃さんが貸してくれたんじゃ?
可愛い女の子が使ってるシャーペンと消しゴム使いたかったなあ……。
とか思ってしまったが最後、脳内に沙音華が現れて、
「超キモいたいせー!」
とめっちゃ言って来るので、僕は榎咲に感謝して、今日は榎咲のシャーペンの消しゴムで勉強することしにした。




