ゲーム対決
「たいせ動き鈍い!」
「沙音華がパワフルすぎるんだよなー。円盤が見えないんだけど」
僕と沙音華はエアホッケーで対決中。
で、現在圧倒的スコアで負けている。
これは沙音華が張り切ってやってるってのと、僕が体力を使いすぎないようにしているせいなんだけど、僕だってそんなに弱気でやってるわけじゃない。
ここから流れが変わることを願う……!
僕が願ったと同時に対戦は後半に入った。
するとあれだ。小さな円盤が横からわらわらわらと登場する。
ここからはひたすら適当に打ちまくるだけだ! わからんけどとにかく僕はそうするしか作戦が思いつかない!
そしてここで今まであまり腕を動かさなかった僕は、沙音華よりも動きが速いからどんどん追いつけるってわけ……。
あれ?
沙音華がパワフルなまんまだ。
いつの間にか体力が向上したようだ。
いや、これはもしかして浪人生の僕が気づかないうちに体力と反射神経が衰退したのか……?
そんなことないよな最近散歩してたしなー。
僕は少し焦りながらひたすら沙音華から飛んでくるのを打ち返す。小さい円盤が自分のところにぽこんぽこん入る。
「やったあっしょー!」
「……だめだ、点差が開いてる」
「たいせだめだなあ。腕鍛えないと怒涛のマーク式試験の時に腕疲れちゃうよ」
「そこまで衰えてはないよ」
「ふーん。ま、最近私が鍛えてるからかな〜」
沙音華はご機嫌な様子でエアホッケーから離れて、レーシングゲームの方に行った。
これは体力関係ない。しかも僕が高校の時に結構上手くなったやつだし勝てる。
「よし、これやろう」
「いいよー」
百円玉を入れてカートを選んでレース開始。
ふふふ。早速独走状態だ……。
「あー、全然だめだ、これは負けそう」
沙音華が早くも僕のうまさを認めて、結局そのまんま大差で僕がゴールした。
「そうやって圧倒的に勝てるので勝負して嬉しいの? あれだよ、得意な分野の問題ばっかりやって全部解けて満足してる浪人生みたいだよ」
「な、なんだよそれ」
微妙に当てはまってそうなんですが。
「ま、いいの。これで一勝一敗なので、次はあれ!」
なんだあのバスケのシュートゲーム。また疲れそうなのじゃんかよ。
しかも人が少ないので待つこともない。
うん、こんな感じだと、疲れないようにすることに疲れるな。




