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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第三章

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「カルロス、グロリア、ダフネ、クララ」セリオが口を開いた。四人は小刻みに震えながらセリオを見た。「これは宿命だ。お前達は生まれる前からこのナバス帝国を、ミラネス王家を支えるために選ばれた駒、何度も何度もこの何千年も同じことを繰り返しているんだ。エリアス様もお前たちと立場は違うが同じなんだ。この宿命を壊さない限り永遠に続く。この先も」


「お、俺、、まだよくわからないけど、でも、、さっきエリアス様にここに来たのは初めてかと言われた時、ハッキリわかったんだ、、ここを知っていると。、、俺、、怖いよ、自分が決めたこと何一つ無いなんて、、嘘だろ、、と思うけど、魂は知っているんだ,,このままじゃダメだって、、」カルロスは震えながら、でもしっかりと一人ひとりを見て言った。


「私は、怖いから、、決められた人生で良いと思ったけど、、そう思うのに体が震えて拒否をするの。このままじゃ逃げられないって,楽になりたいなら変えなきゃいけないって」ダフネも震えながら言った。「私もダフネと一緒、楽になりたいなら楽になれるように苦労しなきゃいけないって、決められた宿命なんて生きたくない!」グロリアも震えながらでもはっきりと言った。


 クララはエリアスのことを考えていた。今の話は全て公爵家側の話だ。エリアスが背負っているものの話は出てきていない。ミラネス王家の背負う宿命は公爵家よりも過酷だとクララにはわかっていた。十四歳からあの神殿の地下の音のない世界で一人戦い続け、最後には大切な記憶を奪われる王家の王の苦しみは計り知れない。クララはそう思った時涙が溢れ出ていた。そんなクララを見てカルロスが言った……「クララは泣くほど怖かったのか?」エリアスも心配な表情でクララを見ている。クララは涙をハンカチで拭いながら言った。「怖くないと言えば嘘です、、今のお話で、、私だけ違う宿命があるように、、感じました。それには、、理由があるのだと思います、、私は、、この宿命に流されたくない、エリアス様の犠牲の上で成り立つこの仕組みが,みんなの人生を生まれる前から決めてしまうこの宿命に逆らいたい。その為になら人生を、命をかけて進みたいと思います」クララは一人一人を見つめはっきりと言った。


 エリアスはクララの言葉に胸が熱くなった。クララは、フランシスカは王の苦しみを知っている。エリアスはクララがいるから前に進めるのだと強く思った。彼女さえ生きていてくれたら。

「クララ、ありがとう」エリアスは胸に手を当てクララに感謝をした。クララはその姿を見て涙が止まらなくなった。エリアスの苦しみが手に取るようにわかった。ごめんなさい,自分のことばかり言って。自分だけが辛いんじゃない。ごめんなさい、ごめんなさい。泣き止まないクララを見てエリアスはクララの所に行った。クララは泣きながらエリアスを見つめ小さな声で「エリアス様、、ごめんなさい」と謝った。エリアスはクララを抱きしめた。カルロス,グロリア、ダフネは驚いたがエリアスが言った。「私たちは五百年前辛い別れをしたんだ。その記憶を思い出して私達は行ったり来たりしているんだ。」エリアスがクララを優しく抱きしめながら言った。「五百年前って、、エリアス様がルカス王、、まさかクララはフランシスカ・タピア」カルロスが言った。エリアスは静かに頷いた。


「エリアス様,少し休憩しましょう」セリオが声をかけた。エリアスはクララを抱きしめたまま頷きカルロス達はクララとエリアスを二人きりにさせてあげようとセリオと共に静かに図書室を出た。


「クララ、嫌なら離れるよ」エリアスはクララから少し離れ、クララの顔を見つめ言った。その表情は優しさと,悲しみが入り混じったような表情でその憂いにあるエリアスの顔はクララの気持ちを動かすのに十分な動機になった。「エリアス様、、自分勝手な事ばかり言って、、ごめんなさい」クララはハンカチで涙を拭いながらエリアスを見つめた。エリアスはクララの美しい青い瞳から溢れる涙を指で拭いクララに言った。「クララ、私はクララが生きていてくれるだけで十分なんだ。それ以上クララに望むことは出来ないと思っている」エリアスはクララに言った。クララはその言葉を聞いてエリアスの手を掴んだ。「エリアス様、私は、、」クララが勇気を出して自分の気持ちを話そうとした時、ドアの向こうでセルゲイがエリアスを呼んだ。「エリアス様、アンドレア姫様から手紙を預かって参りました」クララはその言葉を聞き、エリアスの手を離した。私、、今更何を言おうとしたの?

「セルゲイ!なぜ今そんなどうでも良い事でクララの話を中断させたのだ!」エリアスは折角クララが何かを話そうとしてくれたのにそれを中断させたセルゲイに怒りを覚えた。「申し訳ありません!!」セルゲイはドアの向こうでエリアスに謝っている。クララはエリアスに言った。「エリアス様、大丈夫です、怒らないで下さい」クララは先ほどの言葉を飲み込んだ。エリアスはクララを見て「クララ、私に何を伝えようとしたんだ?」と聞いたが、そのタイミングでカルロス達も戻ってきた。エリアスはため息を吐きクララを見つめ、「クララの思っている事、私は知りたい、いつでも待っている」そう言って自分の席に戻って行った。

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