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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第三章

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生まれ変わり続け

グロリアが手を上げてエリアスに質問した。「エリアス様、なぜ私が選ばれたのでしょう?兄や妹ではなくなぜこのグロリアが」グロリアは精霊が当主を決めたと思っていた。けれど意図的に決められたことが恐ろしく感じた。

「ミラネス王家は人間の持っている欲を見ることができる。グロリアは欲が少ない、カルロスも、ダフネも。だから王家にとってもってこいの人材なんだよ。素直で欲がなく、コントロールしやすい。そして私の魔力と相性が良い」三人は愕然とした。コントロールしやすさで選ばれていたなんて。

 「ちなみにクララはわからないんだ。精霊の主人になっているから。見ることができない」クララは王家の能力が怖くなった。「それで仮に私が王になるとカルロス、グロリア,ダフネ,クララは公爵家の魔法石に魔力を入れ、地下で戦って得た魔法石を私に渡すだろ?あれはみんなの命なんだ。私はそれを意図して消すことができる。」エリアスは言った。まさか命まで握られているとは。

 「だけど私たちはそれを知らないで生きてきたという事ですね、何千年も王家にコントロールされていた事実」ダフネは愕然とした。今まで信じてきたものはなんだったんだろうと。


「ミラネス王家はミラネス王家の問題があり、公爵家には公爵家の問題がある。だけど全ての元凶は神がそれを作ったことに問題があるのだ。そして神と対等の立場であった精霊を配下に置きその真の力を封じ込めこの忌まわしい宿命に加担させている。精霊にかかっている呪縛も解かねばならない。誰もが聖霊の祝福が受けられる世の中にしなくてはならないんだ」


 全員黙ってしまった。精霊も呪縛にかかっている。全てが衝撃的だった。なぜこんなことになったのか、この国の成り立ちに深く関係あるのだと思うが、まだわからないことが多いとエリアスは言った。

 

 クララは自分がいつからイフリートの主人になっていたのだろうと疑問に思った。それに王家はタピアの当主を選べなかったという事はタピアをどう思っていたのだろう。「あの、」クララは手を上げてエリアスを見つめた。「クララ、どうした?」エリアスが優しい瞳を向けクララを見つめた。クララはそんなエリアスをみて急に意識をしてしまった。「あの、、タピア家の後継者をミラネス王家は選べなかったと仰いましたが、それは放っておいて良かったのでしょうか?」クララは自分の顔が赤くなったと分かり途中から手元を見つめながらエリアスに聞いた。「クララ、王家が当主を選べなくても魔法石が選んでくれる。ただ、それが王家にとってコントロールしやすいのかしずらいのかはわからない。クララの場合は魔法石が選んだと考えても良いのだよ」エリアスは顔を赤くして俯くクララを見て目を細めた。


「なぜエリアス様はこの秘密をはなしてくださったのですか?言わない方がミラネス王家にとって得ではありませんか?」ダフネが聞いた。「ダフネの言う通りだ。言わなければ私は意のままの皆をコントロールして皇帝に君臨できる。だけど、そんなことをしてまで君臨しなければならないのかと、思うんだ。それに、クララを除いて、なぜ私たちは同い年なんだと不思議に思わないか?」


 皆顔を見合わせ、次第に笑顔が消えて行くのを感じた。得体の知れない力でコントロールされている事を実感として感じた瞬間だった。「まさか、、そこまで、、」カルロスは思い当たることがある。カルロスの兄と姉はカルロスと十歳違う。でも、王家が後継者を選ぶと言う意味は生まれる前からという意味なのか?カルロスは体が震えてきた。生まれる前から決められていた事。


「カルロス、お前はここに来るのは本当に初めてか?」


エリアスがゆっくりした口調で聞いた。クララはその言葉を聞き、エリアス様と私だけじゃなく,カルロス、グロリア,ダフネも同じように生まれ変わっているのだとわかった。その事実は衝撃的で、もしかしてこの帝国が出来てから何度も何度もこのサイクルを繰り返しているのではないかと思った瞬間、恐怖で体が小刻みに震えるのがわかった。クララは他の三人をみると同じように震え、放心状態だった。


「私たちは二千年前に一度一緒になっている、そしてクララとは五百年前に一緒になっている。それぞれ同じ公爵家の中で生まれ変わって同じ人生を歩んでいるんだ。頭では私の言葉を否定しても、魂はわかっているはずだ。私たちの魂は自由になることは、無いのだ」

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