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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第三章

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真実の物語

翌日クララは図書室に行った。エリアスが四つの公爵家全員に大切な話があると呼び出したからだ。クララは制服の真紅のリボンを結び直し図書室の扉を開けた。まだ誰もきていなかったが、この図書室は有機的な暖かさがありまるで家に帰ってきた様な温かい雰囲気でクララを迎えてくれる。窓からは柔らかく暖かい光が入り少し薄暗い部屋の中に差し込む柔らかな光がすり減った心を癒してくれる。天井のファンは静かに周り穏やかなこの空気が部屋全体に行き渡り包み込まれる様な安心感がある。クララはこの部屋が大好きだ。徐に先日手に取ろうとした刺繍の本が置いてある本棚の前に立った。あの時と同じ場所にその本は置いてあった。


 今更、、エリアス様に刺繍のハンカチを作っても、渡せる訳がない。そう思うと苦しくて胸の中に重い鉛の様なものが溜まったような重苦しさを感じた。全て自分が選んだこと。

 もうあの地獄の様な喪失感を、誰にも言えず一人抱え生きるのは二度と経験したく無い。やはりこれで良いんだ。刺繍の本から視線を外し足下を見てフゥっと息を吐き窓の外にある大きな木を見つめていた。


「おはよう!クララ早いね」ダフネが来た。「あ,ダフネおはよう!」クララはダフネの方に歩いて行くと「クララ,ダフネおはよう!」グロリアも来た。「グロリアおはよう!」二人もグロリアに挨拶をした。「ね、ね、今日どんな話なんだろう、ちょっと緊張するよね。」グロリアは二人に話しかけた。「確かに公爵家のことだって聞いたけど,なんだろう」ダフネも言った。「クララは知らないの?何か知ってそうな気がするけど」グロリアがクララの方を見て聞いてきた。「私も知らないの、」三人は話しながら図書室の中央にある楕円形のテーブルに腰をかけた。楕円形の左右に二つずつ椅子があり上下には一つずつ椅子が用意されていた。グロリアとダフネは隣同士に座り、クララはダフネと向き合う場所に腰をかけた。「おはようございまーす」カルロスが来た。襟のリボンが縦結びになっている。「カルロス,リボンが縦になってる」クララは隣に腰掛けたカルロスのリボンを見てクスクス笑いながら「カルロス顎を上げてて直すから」と言って結び直してあげた。「へークララやっぱり女の子なんだな」カルロスが感慨深い言い方でクララに言った。「あ、皆、忘れてたけど私父と義理の母とレオンの首をとったの。タピア公爵家は私一人になっちゃった。」クララは三人に言った。「え?!セリオ様はクララは一週間休むと言ってたけどその時に?!」カルロスが驚いた。「クララ、、頑張ったね」グロリアは立ち上がりクララの所に行き抱きしめた。ダフネも何も言わずにクララの所に行きクララを抱きしめた。「ありがとう、」クララも二人を抱きしめた。「全員起立!」突然セリオが号令をかけた。グロリアとダフネは慌てて席に戻りクララも慌てて立ち上がり頭を下げた。いつも思う、セリオ様は存在を消すことが上手く知らないうちに部屋にいる。


 エリアスが入ってきた。真白な制服に白いリボン、縦結びになっていない。非の打ち所がない完璧さ。見惚れるほど麗しく凛々しく完璧な人。クララは何度見てもその都度エリアスに恋をする。でも今は叶うことのない夢だと思っている。


「おはよう、今日は皆に大切な話があってここに呼び出した」エリアスはそう言いながら皆に席を勧め全員座った。エリアスはセリオをみて頷き、一人一人を見つめながら話を始めた。

 「今日集まってもらったのは皆に真実の話をしたかったからだ。この話はナバス帝国,ミラネス王家、それぞれの公爵家の歪な関係を皆に知ってほしいと思ったからだ。」エリアスは一旦話を切り、一人一人の反応を見た。「歪な、、関係、、」クララは呟いた。感じることがあったからだ。エリアスはクララを見つめ言った。「そう、歪な関係。」


 「皆、ミラネス王家が公爵家に地位名誉財産を与え,その見返りを王家が求めないと思うか?」エリアスは四人を見つめ聞いた。「絶対的忠誠心」カルロスが答えエリアスは頷いた。「そうだ、絶対的なる忠誠心」


「皆、なぜ魔法が使える?公爵家の魔法はそれぞれ違う、炎、水、風,地の四つ。これは精霊に祝福をもらい使えるようになる。だけど公爵家で魔法が使えるのは一人しかいない。それ以外の人間はなぜ使えない?クララの義弟レオンは使えた。なぜだと思う?」クララは考えても見なかった。確かにそう言われるとなぜレオンは魔法が使えたのだろう、、。


「ミラネス王家は公爵家の当主以外の人間に魔法を使わせないように封じているのだ。なぜならみんなが魔法を使えたら謀反が起こる可能性があるから。だから各公爵家の精霊は全て王家が主人なんだ。王家が次期当主を選びそのものに祝福を与える。全て王家が決めている事だ。だけどクララはあろうことかイフリートの主人になっていた。だから王家はタピア家の後継者を選ぶことが出来なかった。魔法を制限できず、だからレオンも魔法が使えたのだ。ただセンスはなかったが」


  クララは驚いた。まさか王家が公爵家の次期当主を選んでいたとは。その基準はなんだろう?そしてなぜ私はイフリートの主人になったのだろう?

「クララは、、イフリートの主人なんですか?」カルロスは驚きながらエリアスに聞いた。「ああ、イフリートはクララを主人に選んだのだ。その理由はまだわからない」クララは黙っていた。


 

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