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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第三章

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取り戻す記憶


エリアスは一通りの接待が終わりすぐにクララを探した。先ほど目があった時クララは泣きそうな顔をしていた。一体何があった?どこにいったのか、エリアスはすぐに探すようセルゲイに指示をした。本当なら捜索魔法で探したいが今日は魔法が使えないように制約がかかっている。他国の王などをパーティで呼ぶときはお互いに魔法は使わないとルールにあるのだ。万が一の事を想定しているからだ。だからクララを探すには地道に居場所を見つけるしかない。何故こうなるのだ。エリアスはクララの泣き顔を思い出し居ても立っても居られなくなった。パーティが終わってもクララは見つからない。部屋にも戻っていない。カルロス達もクララが居ないことに気が付き探している。だが見つからない。エリアスは最悪のことを考えていた。誰かがクララを連れ去ったのか?!万が一そうだったら私はその者を殺してしまうだろう。許すことはない。


 イラつくエリアスをなだめセリオは一瞬だけ城にかかっている制約魔法を強制解除した。エリアスも瞬時に捜索魔法でクララを探した。「見つかった!図書室だ!」エリアスはすぐに図書室に向かった。図書室に入るとクララの姿は見えない、「クララ?クララ?」エリアスは本棚のある方に移動し、倒れているクララを見つけた。「クララ!!」エリアスはクララの上の落ちた本を退かし気を失っているクララを抱き上げた。本で頭をぶつけたのか?クララの瞳から涙が流れた。そして信じられない一言を聞いた。

 「ルカス、様」まさかクララは思い出したのか?エリアスは震えるほど怖くなった。思い出してしまったら、嫌われてしまう。

けれどクララを部屋に連れていかなければ。エリアスは部屋を移動しようとクララを抱き南の塔にある部屋に向かった。途中カルロス達に会い意識の無いクララを心配そうに見つめる三人に「心配いらない」と声をかけ部屋に急いだ。


 エリアスは徐に怖くなった。クララがあの記憶を取り戻したら、フランシスカを忘れたルカスを許してくれるだろうか?一人でルカスの子供を産み、愛した事を忘れ違う人と結婚したルカスをどう思っていたんだ?それにルカスも絶対に触れたくないこと、皇女を助ける為敵国カンタン帝国のラミロ王の側室になり、いいや、なるしか方法がなく。―考えたくない。フランシスカを追い詰めて、結果として死の選択しかさせなかったルカスを、フランシスカが許してくれる理由など一つもないんだ。クララがそれを思い出したら、私はもう二度とあの笑顔を見ることが出来ないかもしれない。


 エリアスはクララの部屋に入った。カルメラはクララが戻ってくるかもしれないと部屋でずっと待っていた。「クララ様!」カルメラはすぐにベットの準備をしエリアスがクララをベットに寝かした。


う、ん、ここは?

 気がつくとパーティ会場に戻っていた。私、何をしているんだろう?手元を見つめていたが少し顔を上げ周りをみた。ああ、ルカス様がティール王国のクリスタ姫と踊っている。あの日から彼は私を忘れてしまった。言い換えれば彼の中で一番大切で命をかけて惜しくない唯一の人間だった私は、彼の記憶から居なくなった。彼を支える帝国の公爵家当主フランシスカ・タピア、ただそれだけ。フランシスカは立ち上がり会場を出た。そのまま邸宅に帰ろうと思ったがあまりにも早い時間、パーティが始まって15分足らず。階段を降り北の塔の図書室に入った。ここはあの頃と変わらず静かでどこか暖かみを感じる部屋。フランシスカは本棚にある一冊の本を見つめた。刺繍の本。ルカス様が黒龍に挑む時渡した刺繍のハンカチ。ナバス帝国の紋章四つの公爵家の紋章に聖剣ダーインスレイフ、別名忘却の魔剣。もう一つの聖剣ミスティルテインはタピア公爵家にある。ダーインスレイフを使いルカス様は私を忘れた。初めて会ったあの日、一瞬で恋に落ち運命という言葉を知った。だけど運命は宿命とは違う。宿命には勝てない。フランシスカは泣き崩れた。どんなに泣いてもルカス様はもう私を愛することはない。愛されたからこそもう二度と愛されない。こんな思い二度としたくない。もし生まれ変わることができたら二度とこんな恋はしない。こんな人生思い出したくない。絶対に。


 

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