エリアスにときめき
「クララありがとう、この剣は私にとって大きな助けになる剣だ。それをクララが私に持ってくるとは運命としか思えない。ありがとう私のフランシスカ」エリアスはそう言って剣を鞘に入れた。魔法も消え元の草原に戻った中、クララが持っているフランシスカの薔薇は消えなかった。クララは先程エリアスが言った言葉「私のフランシスカ」という言葉の意味がわからなかったが、心の奥底から湧き上がるような喜びを感じた。その理由はわからない。それに……クララはそっと自分の唇に触れた。エリアス様は私にキスを……エリアスとのキスを思い出し一気に体温が上がった。クララは赤く染まる顔を隠すため薔薇の花を額にそっと当て平常心を取り戻そうとしていた。エリアスは恥ずかしさに頬を染めるクララの様子を優しい眼差しで見つめている。クララが顔を上げるとエリアスが微笑み手を差し出した。「クララ、戻ろうか」その微笑みは愛を感じるほど甘く優しく見えた。また顔が赤くなるのを止められない。クララはエリアスから目線を外し「はい」と返事をし差し出された手に手を乗せた。エリアスはクララの手をぎゅっと握り二人は皆のところに戻った。セリオはエリアスを見てため息を吐き言った。「エリアス様、突然始まりと終わりの魔法を使うとは。あの規模でも死ぬかと思いましたよ!勘弁して下さい」「フフ、セリオすまない。クララが隣にいてくれたからそれでも良いと思ったけど、やらねばならぬ事があるから我慢したよ」そう言ってセリオの肩を叩いた。エリアスはクララの方を向きその手にそっとキスをした。「クララ、また」エリアスはクララの手を離し城の方に歩いて行った。すぐに近衛兵が現れエリアスは近衛兵が連れてきた馬に飛び乗りミスティルテインを持って城に戻って行った。クララは終始ときめきが止まらず去ってゆくエリアスをずっと見つめていた。
クララはエリアスを見送りセリオの顔を見た。セリオは優しくクララに微笑み手に握られた薔薇を見て「エリアス様は本当に独占欲の強い方だ。」と言ってクララの頭をポンポンと撫で、「今日はここまで!」と言った。四人は整列しセリオに挨拶をし、城に向かって歩き出した。
「エリアス様ってクララを大切にしてるよね。」グロリアが言った。「考えてみたら最初からクララに対して特別な感情があったように、今なら思えるな」カルロスも言った。「私には何もわからないけど、優しくして下さるのは……幸せで嬉しい」クララは薔薇を見つめながら言った。「でもさ、あのアディーレ姫、エリアス様に振られたのに御執心らしくて、クララ今晩のパーティ気をつけてね。あの日のこと見られているから」ダフネが言った。「?パーティ?」クララは驚いた。今日パーティがあるの?!「クララ、帰って来たばかりで参加するかわからなかったから保留になってたけど行くでしょ?」グロリアが言った。「え?どうしよう、何も準備が……」戸惑うクララにセリオが言った。「クララ、心配はいらない。きっとクララのためのドレスは部屋に帰るとあると思うぞ」セリオはニヤリと笑った。クララはその後部屋に戻りセリオが言った意味がわかった。エリアスからドレスが贈られていた。「エリアス様」クララはまた胸がときめいた。そのドレスは薄い水色,チュールで作った長袖のドレスで肩から袖に向かってフワッとした弛みがあり手首は絞られている。胸元は少しスクエアーになってウエストラインは高く胸下からはチュールを幾重にも重ねたデザインで妖精のような透明感と柔らかい雰囲気がある可愛らしいドレスだ。「エリアス様。」エリアス様はいつも私が困っていると手を差し伸べて下さる。本当に大好きです。クララはドレスを抱きしめながら先ほどのキスを思い出して幸せに浸った。カルメラは早速クララの準備を始めた。髪は下ろしドレスと同じようなフワッとしたカールをつけ、一緒に届いた水色のリボンだけをつけ装飾品はつけなかった。それがクララの金色の髪に青い瞳をより一層際立たせた。靴も美しいレースとシルクのヒールで足元は見えない丈のドレスだがその美しさは誰かに見せたいと思うほどだった。「可愛くて、嬉しいわ」クララはカルメラにいうとカルメラが言った。「エリアス様がこのクララ様を見たら、もう他の姫や令嬢には見向きしないでしょうね」クララは微笑みながら言った。「そんなことはないわ、でもこのドレスは私を美しく見せてくれる、エリアス様は本当にすごい方」準備が整った二人は会場に向かった。カルロスは婚約者と出席し,グロリアとダフネも恋人と出席する。クララは一人だ。




