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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第三章

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再びこの手に


エリアスはその姿を見て一瞬ここが何処なのかわからなくなった。「エリアス様、この剣を」クララはエリアスを見つめた。エリアスは悲しみを含んだ眼差しを向け「クララこの剣で私を斬れなんて言わないで」と言った。「え?私これで斬られるんですか?!」クララは目を丸くし驚いた顔をした。エリアスはクララを見て笑い出した。「フフフ」


 ……あの時とは違う。


「クララ、これはどうしたの?」エリアスはミスティルテインを手にクララに聞いた。「エリアス様、あの地下の空間にある泉、ご存じでしょうか?」クララは先程エアリスが悲しそうな表情を浮かべたことが気になった。いつも微笑んでいるエアリスのそんな顔ををみたことは無い。だが今は笑顔に戻っている。「ああ、わかる。水竜のいる泉」エリアスは遠い記憶を思い出し胸が痛んだ。クララはまた少し悲しそうな顔をしたエアリスが気になった。「この剣がそこにあると知り水竜から奪いました。この剣はエリアス様を助けてくれると聞いたので……」クララは少し不安になった。エアリス様はこの剣を欲しくなかったかもしれない。一方エリアスはまさかこの剣をクララが見つけ持ってくるとは考えもしなかった。「まさか水竜と戦ったのか?!」エリアスは片手に剣を持ちもう片手はクララの手を握った。「水竜と戦って泉、無くなっちゃいました。ごめんなさい。」クララはエリアスに手を握られ耳まで赤くなった。

 エリアス様驚いた顔している。やっぱりあの泉……エリアス様が好きだったから悲しかったのかもしれない。私とんでもないことにしちゃった。クララは不安になりエアリスを見つめた。

 

「あははははは!!!」エリアスは大笑いを始めた。クララは驚いた。こんなに楽しそうに笑うエリアス様、初めて見た。「クララ、君は、本当に……」エリアスはそのままクララを引き寄せ抱きしめた。クララは突然の抱擁に頭の中が真っ白になった。何がなんだかわからない。エアリス様は怒っていないの?「エリアス様?」と名前を呼んだ。エリアスはあの悲しいだけの思い出の泉をクララが無にしてしまった事を運命だと思った。クララは私の心を埋める唯一の人、過去も今も。


「ありがとうクララ、私はあの泉が大嫌いだったんだ。クララが壊してくれて嬉しい。」エリアスは出の中にいるクララの耳元にくちびるを近づけ言った。クララはエリアスのくちびるが耳にふれ体に電気が走ったような甘い衝撃を感じだ。「エ、エリアス様に喜んでいただけて、良かったです。」クララは安心と喜びと緊張で頭がクラクラした。「お!アツいですね!」カルロスの言葉に我に帰り慌ててエリアスから離れカルロスを睨んだ。エリアスはその様子を見て目を細め両手でミスティルテインを持ち鞘を抜いた。白い光が周りの景色を飲み込んでゆく。

「クララ、この剣の真の姿を見せよう」エリアスはクララの手を握り歩き出した。カルロス達はニヤニヤしクララを見ている。クララはもう一度カルロス達をジロリと睨みそエリアスと共に草原の真ん中に立った。

「クララ、今から魔法を使う。私の後ろにいて」クララは言われた通りエリアスの後ろに立った。

 エリアスは剣を天に向け「ルス」と呪文を唱えた。剣先から光が現れ溢れるほどの光が世界を輝かせた。何も見えないほどの強い光。あまりにその光りが強くクララは平衡感覚を失い倒れそうになった。エリアスがクララを抱きとめ「オスクロ」と唱えた。今度はその剣先に全ての光が吸い込まれ漆黒の闇になった。あまりに暗くクララは怖くなりエリアスのローブを握った。エリアスはクララが怖がっていると気がつきクララの手を握り「大丈夫だ、私がいる」そう言ってクララを抱きしめた。「クララ、この闇と先ほどの光り、神の力と悪魔の力、この剣は始まりの剣と終わりの剣、魔力を何倍にすることも出来る魔法の剣、そして愛する人を忘れない剣なんだ。」エリアスはそう言うと「フロール」と唱えその瞬間花が咲き乱れる世界に変わった。クララはさまざまな花を見つめ「とても綺麗……」と呟きエリアスを見た。エリアスは真白な花びらに縁だけ真紅の薔薇の花を一輪手に取りクララに渡した。「クララこの花の名前を知っている?」エリアスはクララに聞いた。「わかりませんが、とても美しい薔薇です。華やかででも上品で、情熱的なイメージもありますね」クララはそう言ってエリアスに微笑んだ。「クララ、この花の名はフランシスカ。皇帝ルカスが唯一愛した一輪の花」エリアスが言った。クララはその言葉を聞き胸が潰されそうなほど苦しくなった。言葉に表せないほどの切ない感情が堰を切ったように押し寄せ涙が溢れて来た。エリアスはボロボロと涙を落とすクララの瞳を見つめそのままクララにキスをした。クララは驚きエリアスを見た。エリアスもクララを見つめた。


 

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