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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第三章

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ロサブランカ召喚


「セリオ、聞き忘れたことがある」先程執務室から出て行ったエリアスがセリオの元に戻ってきた。「エリアス様、何か?」セリオは採点が済んだクララの解答をまとめながら顔をあげた。「クララはいつ地下に?」エリアスはセリオからクララの解答を取り上げ聞いた。「丸二日目です」セリオは言った。エリアスはその言葉を聞き解答用紙を落としそうになった。「二日?、普通長くても半日じゃ無いか?カルロスもダフネもグロリアも三時間程度だったぞ?!」エリアスは急に心配になった。クララに何か予測不能のアクシデントがあったのでは無いか?「エリアス様、その手に持っているクララの解答をご覧になりましたか?あの子は飛び抜けた才能を持っているのです。だからこそ時間がかかっている。エリアス様が一番ご存じではありませんか?あの地下世界の性質を。」セリオはエリアスに優しく微笑み言った。「気が、狂いそうになる程知っている。だからクララをあんなところに行かせたく無いと思っていたのだ。」エリアスはやりきれない気持ちになった「エリアス様大丈夫です。何かあれば転移魔法の魔石がありますから。我々は信じて待つのみです。」セリオはエリアスを諭すように言い、エリアスは小さくため息を吐き頷いた。



 クララはサラマンダーが見えなくなるまで一歩も動かなかった。今戦うのは武が悪い。どう戦えばいいの?薔薇の魔法は攻撃の魔法では無い、、でもやらなければならない。召喚出来るかな、、薔薇の精霊。「ロサブランカ」クララが名前を呟いた瞬間、ロサブランカが目の前に現れた。「困っているみたいね?」ロサブランカは空中に浮かび上がった状態でクララを見下げ言った。「うう、、話し相手がいる、、嬉しい、、」クララは気が狂いそうなほどの静けさに孤独を感じていた時にロサブランカが現れ、自分以外の音が聞こえる事が嬉しくて泣きそうになっていた。「あなたね、私のもう一人の主人を見習いなさい?彼は十四歳からここで一人で戦っているのよ?!しかも月に一度よ?」クララは薔薇の精霊の言葉を聞き、耳を疑った。「エリアス様の事ですか?エリアス様はここに来たことがあるのですか?」クララは改めて聞いた。「あなたなにも知らないのね?私のもう一人の主人は王になるために十四歳になった時から成人するまで毎月一度ここで戦うのよ。あんたたちに魔力を上げるために自分の魔力を何倍も、何十倍も上げるために。しかも、あなたがイフリートの主人になったばっかりに、彼はとっても不利な戦いをずっとしているの。まあ,そのおかげで新しい召喚獣を使えるようになったけどね。」クララはその話を聞いてショックで声が出なかった。エリアス様が私にイフリートを奪われたせいでこの孤独な世界で苦労をしている。それも、私たちに魔力を分けるために十四歳の頃から毎月この世界に降り立ち一人で戦っていたなんて。「エリアス様ごめんなさい。ごめんなさい」クララはエリアスの事を考えて涙が止まらなくなった。そんな苦労を、そんな孤独を一人で背負っていたなんて。……「ロサブランカ、私、早くここから出てエリアス様に謝りたい。どうか力を貸してください」


「あなた、本当に泣き虫ね、もう一人のご主人はいつもあなたのこと心配してるけど、まあわからなくも無いわね。私についてらっしゃい」ロサブランカはふわふわと空中に浮かび上がり平野を真っ直ぐに進んでいった。クララはロサブランカを追いかけ歩き出した。ロサブランカは振り返る事もせず永遠に続くかと思うと長い時間真っ直ぐ飛んでいった。時間の感覚は無い。音も光もない世界は時間の感覚もないのだと初めて知った。ずっと歩き続け靴も破れ最終的に裸足になり,足の裏の皮も所々めくれ血だらけになりながらもひたすら進んだ。ようやくロサブランカは止まった。そこには泉があり覗き込むとなにも見えなかった。「クララ。この泉に聖剣ミスティルテインが沈んでいる。それを取ってきなさい。その剣はミラネス王家の聖剣。いずれエリアスがその聖剣を必要とするでしょう。彼のためにも取りに行きなさい。」クララはその言葉を聞いて頷いた。「行きます。エリアス様に捧げる剣、絶対に手に入れる。」クララは言った。「クララ、ここには水竜がいてその剣を守っています。水竜と戦うか、盗むか、あなたに任せます。ちなみに、この戦いは試験ではありません。負けたら死にます。それでも行く?」ロサブランカはクララに聞いた。

「行きます。私は一刻も早くサラマンダーを倒し、聖剣をもってエリアス様に会いたい、あって、、うっ、、謝りたい。だから、、死ねません。死ねないから盗みます!」そう言ってクララは泉に飛び込んだ。

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