やっぱり大好き
クララはエリアスを見つめた。何かあったのかもしれない。「エリアス様?」クララは目の前に立ったエリアスを見上げるとエリアスもクララを見つめた。エリアスは「フッ」と笑い、片手を上げグローブをはめた手でクララの頬に触れた。クララはその瞬間悲しかった気持ちが喜びに変わり恥ずかしくて目線を下げた。「クララ」エリアスはもう一度名前を呼んだ。その声は甘く響きクララは上目遣いでエリアスを見つめた。エリアスは優しく微笑みながら「クララ、今日、レストランでクララを見た時、エタン王子が言ったこと、わかるような気がしたんだ」エリアスはクララの頬に手を添えたまま親指だけを動かしクララの頬をスッと横に目の際の下から目尻の方に向かって撫でた。「エリアス様、、どう言う意味でしょうか?」クララはエタンの言葉を思い出し少し不快な気持ちを思い出した。「そのままの意味だよ?運命を感じたって」エリアスはクララがエタンを思い出し、不快に思ったことをその表情でわかりもう一度親指を動かした。「、、エリアス様が、、エタン様に?!」クララはまさかエリアスがエタンに運命を感じたとは想像していなかった。「クララ、、なぜ私があの男に運命を感じなくてはならないんだ?おかしくないか?!」エリアスはクララの頬から手を離しその手で自分の額を抑え首を左右に振った。「そうですよね,ごめんなさい、、そんな訳ありませんものね、、。アリーナ姫様に感じたって意味ですよね」クララも慌てて否定し言った。リアナ様じゃないんだから男に運命感じる訳がない、一緒にいたアリーナ様の事を言ったんだわ。「ハァ、、」エリアスは大きなため息を吐きクララの顎先に指をかけ上を向かせ強制的に見つめ合うようにした。クララはみるみるうちに顔が赤くなりエリアスから視線を外そうとした。「クララ、私を見て」エリアスはクララに言った。クララはますます赤くなり体も熱ってきた。胸に抱えている本が落ちそうなほど汗ばんで来る。「エリアス様、、そんなに近くで見つめられると、、はずかしい、、無理、です、、」至近距離でエリアスに見つめられクララは半ばパニックになり視線を外した。そんなクララを見てエリアスは「クララ、少し強引だったかな」そう言ってそのままクララを抱きしめた。クララはエリアスに抱きしめられ嬉しくて泣きそうになった。さっきの言葉ももしかして私に対して言ってくれたのかもしれないと思えるほどその抱擁は優しく甘くクララの心を満たした。エリアスは自分の頬をクララの頭に擦り付けるように左右に動かし抱きしめる腕を強めた。クララは本を抱えておりエリアスを抱きしめることが出来なかったがエリアスに体を預ける事で気持ちを表した。「クララ、エタン王子にはクララを諦めてもらう。それに、、アリーナ姫には興味がない。心配するな。」エリアスはサラッと言ったが、クララはその言葉を聞きとうとう本を落としてしまった。「バサバサ!」あ!クララは落とした本がエリアスと自分の足の上に落ち慌てた。「エリアス様!申し訳ありません、、足に、、」クララはしゃがもうとした時「クララ、空いた両手で何を抱きしめる?」とクララを覗き込み聞いてきた。その時エリアスの長い髪がクララの両頬を優しく撫でクララはくすぐったくなりエリアスに笑いかけた。そして勇気を出してエリアスの腰の辺りをそっと抱きしめエリアスの顔を見上げ微笑みその胸に頬をつけた。エリアスは優しく微笑みながら遠慮がちに自分を抱きしめ体を預けるクララを思いっきり抱きしめ「運命とはこう言う事だ」と言った。クララはその言葉を聞いてエリアスを抱きしめる手に力が入った。「失礼します、、エリアス様、そろそろ、、」急に誰かの声がしてクララは体がビクッと反応してしまった。「セルゲイ、クララが驚いてしまったじゃないか!」エリアスは目の前に現れた年齢は三十代くらい、髪はブラウンで後ろに撫で付け、スーツを綺麗に着こなし銀色の縁が細い眼鏡をかけた男に言った。クララはエリアスに抱きしめられたまま顔を上げ男を見るとその男は胸に手を当て「クララ様大変失礼いたしました。私はエリアス様の執事セルゲイでございます」そう言ってクララに頭を下げた。




