表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/127

大好きです


 クララは目覚めてから先程エリアスに抱きしめてもらえたまでの事を考えていた。一体何が起こったのか。昨日目が覚めたら目の前に綺麗な髪が見えた。その髪を見ていたら以前夢の中でリアナ様の髪に触れた事を思い出した。その夢の続きのような気がし、寝転んだままそっと手を伸ばし髪に触れた。柔らかくサラサラとしたその髪はまるでシルクのような手触りで何度も何度も繰り返し触りふわふわした気分の中でその優しい感触を楽しんでいた。しかし突然髪を撫でる手を掴まれた。驚きで一瞬体が硬直したが顔を上げ見ると目の前の人物はリアナ様だった。これは夢じゃないと我に返った瞬間「リアナは男だったんだ」と目の前のリアナ様は言った。リアナ様の本当の姿は皇子だと言った。名前はエリアス。何が何だかわからないうちにエリアス皇子は私の額にキスをし部屋を出ていった。

 それから頭の中が真っ白になって、心臓が口から飛び出そうなほどときめいた。額にキス、、。顔洗いたくない。リアナ様は男性で私の額にキスをした。思考が停止し、私はゆっくりと部屋を出てゆくエリアス様の後ろ姿を見つめていた。それからエリアス皇子と入れ替わってカルメラがきた。カルメラは手に持っていたコップを落とし泣きながら私に抱きついてきた。


 私は随分長い間眠っていたようで、カルメラから一通りの話は聞いた。

エリアス様は毎朝会いにきてくれていたと聞いた時、恥ずかしくて心臓が止まるかと思った。とんでもない寝相だったかもしれないし、寝言も言ったかもしれない、恥ずかしくて死ねそう。毎日リボンを結んでくれたと聞いてときめきが止まらなかった。そのリボンはカルメラがちゃんと保管していてくれた。同じリボンが一つもない。リアナ、エリアス様。大好きです。男の人かもしれないと心のどこかで思っていたけれど、本当にそうだったなんて、、、。


 グロリア、ダフネ、カルロスも本当にありがとう。家族だと言ってくれた人たちは他人で、家族じゃないと言った人が家族だなんて、皮肉なもの。あの日セリオ様がウーゴとレオンを捕まえ馬車に乗せタピア領地に送り返してくれたと聞いた。セリオ様、感謝してもしきれない。


「クララ!!」部屋で休んでいるとカルロスが部屋に飛び込んできた。1人掛けのソファーに腰掛けているクララの向かいに設置している三人がけソファーの後ろからピョンとソファーを飛び越え,木のテーブルの上に着地しそのままクララに向かってダイブしてきた。「キャー」クララは驚きと喜びで悲鳴をあげると後からグロリアとダフネも走ってクララに向かって飛び込んできた。三人に飛び掛かられてクララのソファーは後ろに倒れたたが、四人はしっかりと抱き合い泣いた。


「クララ!クララ!!」三人はそれぞれクララの名前を呼び、クララは「カルロス!グロリア!ダフネ!」と答え四人で泣きじゃくった。「クララ、お前頑張ったな、、女の子だったんだな、、」カルロスはクララから離れ改めてクララを見て頭をワシャワシャと撫でた。「カルロス、嘘ついててごめんね」クララは言った。「クララ、本当に一人で頑張ったね。辛かったでしょ?」グロリアはクララの手をぎゅっと握り言った。「グロリア、みんながいてくれたから頑張れたよ」「クララ、助けてあげられなくて、ごめん、、」ダフネはクララに抱きついたまま言った。クララもダフネを抱きしめて「助けてもらっていたよ」と答えた。


「エリアス様からクララが目覚めたって聞いて、走ってきたんだ。」カルロスがそう言いながら倒れたままクララに抱きついているダフネを立たせ、クララに手を差し伸べクララも立たせ倒れたソファーを起こした。そして三人掛けのソファにカルロス達は腰掛けた。

 

 クララは先程エリアスに抱きしめられたと事を不意に思い出し顔が赤くなった。「リアナ様、、昨日のパーティでエリアス皇子だと発表されて求婚していた令息達の顔を忘れられないわ」グロリア乱れた髪を指で整えながら言った。「いやぁ、本当にあれは衝撃的な瞬間だったな」カルロスも言った。「あの時、発表された瞬間令嬢達の悲鳴聞いた?!きゃーって、飛び跳ねて喜んでいたわ」グロリアは少し呆れ顔で言った。「クララ、ライバルが増えたな」カルロスがニヤニヤしながら言った。「ライバル?、、」クララは呟いた。「そ、そんな!私は、、リアナ様に憧れて、、」クララは慌てて否定したが三人はニヤニヤしている。「はぁ、、もう、、」クララは観念しもう一度聞いた「ライバルって?」「クララ、今朝すごいことが起きてて、お城のエントランスに国内外の令嬢や姫様の肖像画が山積み、それに社交の招待状が山積み」グロリアは両手で山積みになった肖像画と招待状の大きさを表現しながら言った。「確かにな、リアナ様の時もすごかったけど、まだ成人していなかったから本格的じゃ無かった。でも今は違う。みんなグイグイ行くよな、それにあの美貌だしな、、」クララは目覚めたばかりで頭が回っていなかった。ただエリアス様の人気がすごいことは理解した。「そうなんだね、本当に素敵な方だから」クララは言った。「クララ、私たちさ、一番近くにいるんだから、嫉妬とか気をつけようね。」グロリアが言った。「ああ、リアナ様の時すごかったもんな」カルロスが言った。「え?本当に?私レオンだったけど何もなかったような」クララは上を向いて考えたが思い当たることはなかった。「ああ、お前は軟弱に見えてたから令息達の眼中になかったんだよ。」カルロスが笑っていった。「カルロスは虐められたの?」クララは聞いた。「いいや、いじめ返したから」カルロスは自慢げに言った。確かに公爵家の跡取りで、魔法が使えるカルロスを虐めようとする人なんてそうそういないよね。「失礼します、クララ様、セリオ様が見えました」カルメラがクララに声をかけた。三人は慌てて立ち上がり、また後で来る!と言ってセリオに挨拶をしあっという間に居なくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ