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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第二章

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第二章 最終話 エリカとロサブランカ

炎と薔薇の物語を読んでくださってありがとうございます。


本編をもって第二章は終了いたします。


「大変な事が起こりました」モリーナ公爵家当主のブラス、アドモ公爵家のサリタ、アンベル公爵家のカリナが神殿にいるルカスの前に現れた。ルカスはフランシスカの亡骸の側を離れようしなかった。ルカスがフランシスカを思い出したと同時に、側近たちも、ブラスたちもフランシスカを思い出した。そしてルカス皇帝の気持ちが少しでも癒される事を願い、誰もが黙ってルカスを見守っていたのだ。


 しかし大事件が起きた。


 フランシスカからタピア公爵家の精霊石を預かっていたブラス達は精霊石の光が消えたこと確認した瞬間フランシスカの事を思い出した。ブラス達は悲痛な思いでタピア公爵家に急ぎ集まった。三人が公爵家の前に立った時、フランシスカから預かった精霊石が再び赤く光始めブラス達は驚いた。そしてこの精霊石の新しい主人が決まったのだとわかった。その光りは光線となりタピア領地の森の中の一軒家を指していた。ブラス,サリタ,カリナの三人はその光に導かれるまま森の中の一軒家に着いた。ちょうどその時、家の中からフランシスカにそっくりな女の子が現れた。三人は驚いた。なぜならその女の子はミラネス王家特有の紺色の瞳を持っていた。そして精霊石がその女の子を主人と決めたのだ。三人はその女の子を保護しナバス城に連れてゆくと話をした。抵抗する乳母と共にその女の子を神殿に,ルカスの前に連れてきたのだ。


 その女の子は横たわるフランシスカを見てお母様と言って泣き始めた。ルカスはその女の子を見た瞬間自分の娘だと確信した。その子の名前はエリカと言い、ルカスが黒龍との戦いの一年後に生まれた女の子だった。


 ルカスはフランシスカを想い涙を流し幼いエリカを抱きしめ、私の愛しい娘だと言った。誰がどう見てもルカスとフランシスカの子供だとわかるほどエリカは二人に似ていた。フランシスカは自分を忘れてしまったルカスに何も言わず子供を産んだ。ルカスはフランシスカの自分に対する愛の深さを改めて知り、取り返しのつかない現実を呪った。


 一方エリカはフランシスカから魔力などの能力を移転されておりその幼いがそのまま当主として立つ事が出来る状態だった。


 ルカスはエリカを見つめ決めた。エリカを新生タピア家当主とし、エリカを支える為帝国の精鋭の中で家を継ぐ必要のないものをタピア家に入れエリカを守るため全く新しいタピア公爵家を作った。タピア家の家紋も真紅、炎と薔薇にした。炎の真紅はフランシスカの血の色、薔薇はフランシスカそのものだ。そしてここに新しいタピア公爵家が生まれた。


 ルカスはフランシスカの亡骸を神殿に安置し毎朝毎晩フランシスカに薔薇を捧げた。こんな宿命をあたえた神を呪いながらルカスはフランシスカに対する自分の愛を表す赤い花弁に白い花芯のルカスの薔薇を捧げ続けた。あの幸せだった頃を思い出して。ルカスの妻はそんなルカスに愛想を尽かし国に帰ってしまった。


 戦争も終わり帝国も安定し、妹のアデリナも成長し王家特有の魔力と神聖力を身につけ始めた頃、ルカスは神につかえる皇女アデリナにあの地下の扉を開けて欲しいと頼んだ。あの地下は黒龍との戦いが終わると次の後継者が現れるまで二度と開かない。けれど唯一神につかえる皇女のみが開けることができるのだ。アデリナはルカスのために扉を開け、ルカスはフランシスカの亡骸と聖剣ミスティルテインを持って神殿の地下に消えた。


 地下の世界に行ったルカスは自分の運命を宿命をそして神を呪った。王とは名ばかり、公爵家と信頼関係を築く為の強制的な誓い、この歪んだ信頼関係を破綻しなければならないと思った。この歪んだ運命の軸を、生まれ変わる事ができたら、ふたたびフランシスカと会う事ができたら必ず壊すと誓った。ルカスは音のない世界にあるナイアデスの泉の前に立った。泉の精霊王ナイアデスはミラネス王家の血筋だ。

 ルカスはそこで聖剣ミスティルテインで自分の胸を刺しそのままフランシスカを抱きしめ泉に倒れて行った。フランシスカの亡骸を抱きしめながら泉に沈んでゆくルカスはフランシスカに再会したら必ず再び愛すると全ての愛を捧げ、この呪われた世界を必ず変えると薄れゆく意識の中で誓い深い泉の底に沈んでいった。


皇女アデリナは神聖力を通してルカスが死んだことを知り、歴史を改竄する魔法をかけた。

ミラネス王家、四つの公爵家は戦争をしていたカンタン帝国との戦いに勝ち領土を広げたと帝国民の記憶を操作した。王家が公爵家に裏切られ、公爵家が王家を裏切り、皇帝と当主が愛し合って王家の血を引いた公爵家の娘がいるという事実は歴史の闇に消えた。


 ただ当事者であるミラネス王家と神聖タピア公爵家はお互い共通の秘密を持ち、他言無用の制約魔法をかけた。それにより真実の歴史を知るものは一部の人間しか居なくなった。


  城にある薔薇の庭園にロサブランカの姿があった。ロサブランカの主人であるルカスとフランシスカ。ロサブランカは二人を深く愛していた。ロサブランカはルカスが死んだと分かったのだ。ロサブランカはルカスの薔薇に魔法をかけた。再びフランシスカがこの世界に戻りルカスと再会できた時にフランシスカの薔薇に変わるように。二人が再び愛し合いその想いが貫けるような世界に変わるように願いを込めた。そしてロサブランカは二人が再び出会う日まで深い眠りについた。


 

 

炎と薔薇の物語を読んでくださってありがとうございます。


本編をもって第二章は終了いたします。


第三章からはクララの物語に戻ります。引き続き読んで頂ければ嬉しいです。

ありがとうございました。


愛を込めて ねここ

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