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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第二章

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ミラネス王家の秘密


 ルカスはそれぞれの次期当主の魔力を高めるために魔法をサポートしている。モリーナ公爵家のブラスは風の魔法を使う。サポートする時、ルカスは目の前に風の精霊シルフィードを召喚しその力をブラスに伝えている。アドモ公爵家のサリタは水の精霊ウエディーネ、アンベル公爵家のラミロは地の精霊ノーム、そしてタピア公爵家のフランシスカにはイフリートを召喚した。実はイフリートは薔薇の精霊ロサブランカ同様にルカスの他にフランシスカも主人としていたがフランシスカは気がついていなかった。ルカスもそれをフランシスカに伝えることはしなかった。なぜならフランシスカの魔法は雑念がなく本人のように美しく、イフリートもフランシスカの魔法をサポートするときはとても鮮明で力強い魔法を放ち精霊まで虜にするフランシスカに改めてあなたもイフリートの主人だと伝える必要もないほどに愛されていた。

 そしてルカス自身もフランシスカに対し惜しみない愛を与え二人の恋はますます順調に育まれた。


 ミラネス王家の歴史は初代エリアスから始まる。

エリアス一世は高い魔力を持ちその能力を用いて一代でナバス帝国を築き上げた。この帝国が永遠に続くようにエリアス一世は自分の力の一部を建国時に一緒に戦った信頼できる部下四名に分け与え、部下達の絶対的な忠誠心がある限り地位名誉財産をエリアス一世の母体であるミラレス王家が守ると言う誓いをたてた。その誓いはお互いの子々孫々と受け継がれる性質を持つ。


  まずエリアス一世は四人の部下に公爵の地位を与えその際に精霊を召喚し各公爵に家宝となる精霊の力を封じ込めた精霊の魔法石を渡した。この精霊石は誓いの証となる重要な石だ。

 この精霊石は一代ごとに新たな魔力が必要となる。各公爵家の主が代わるたびに「音のない世界」で次期公爵家当主が自ら戦い新たに自分の精霊石を入手する。その戦いは過酷で,その試練を乗り越えるにはミラネス王家の力が必要になる。その力とは魔力、いわゆる魔法の力だ。

 その精霊石を入手した次期公爵家当主は公爵家に戻りエリアス一世から受け取った家宝の精霊石に新たな魔力を充填する。そして自ら入手した精霊石をミラネス王家に渡すのだ。それによりこの誓いは成就するのだ。エリアス一世はモリーナ公爵のルイスには風の魔法、アドモ公爵レアンドロには水の魔法、アンベル公爵のイザークには地の魔法、タピア公爵のララには炎の魔法を与えた。その魔法は各公爵家に一人だけしか使えない魔法で誓いを随行させる為必要な魔力だ。その魔力を最大限に引き上げる事ができるのはミラネス王家の皇子,もしくは皇女のみだ。

 

  エリアス一世は王家と各公爵家が永遠に良好な関係を続けてゆくため言い換えれば常に緊張感を持ってその地位を維持しなければならない誓いを結んだのだ。その為公爵家側は何よりもこの誓いを重要視している。裏切れば即座にその地位を追われる為、一族団結しミラネス王家に忠誠を誓っている。

 

 ミラネス王家はその忠誠心により王家として成り立ちナバス帝国を古より今日まで繁栄させている。

 

 今回の召集も古の誓いのもと同じように行われた。フランシスカをはじめとする各公爵家次期当主達は十四歳になりこのナバス城に招集された。不思議なことに必ずと言っていいほど王家の子供と公爵家の子供は同じような時期に生まれそのほとんどが同年齢だ。集められた子供達は将来支える主人である皇子、または皇女と共に生活し、魔力の底上げをしてもらいその後公爵家の当主として儀式を行うのだ。その一緒に過ごす時間は信頼関係を構築する大切な時間となる。フランシスカ達も例外なく仲間たちと信頼関係を築いている。


 しかし万が一その信頼関係が破綻したときはエリアス一世が分け与えた精霊の魔法石がその資格を持つ人物をナバス帝国の中から無差別で探し出す。その人物が何者であろうとも公爵家となり、ミラレス王家と新たに誓いをたてる。

 一方で信頼を損ねた公爵家一族は全員がその責任を取り地位を追われる。だから一族が団結し王家との信頼を守るのだ。その為、建国当時から裏切りなどはなく王家と各公爵家は数千年間信頼関係が壊れる事はなかった。

 

 ナバス帝国の主、ミラネス王家は謎に包まれている。異様に高い魔力と一部の人間しか知らないが精霊を召喚出来る力、圧倒的な美貌に王族としての気品溢れるオーラ、同じ人間と思えないと言われるこのミラネス王家は神の血と精霊王の血が入っている。


 ミラネス王家の始祖エリアスは神と契約を交わした。平和な人間界を維持するために皇女が生まれたら十四歳から成人するまで神に仕えなければならない。皇女が生まれないときは皇子が成人まで皇女の代わりを務め、その間に自らの魔力を上げるため毎月神からの試練を受ける。

 月に一度神殿の地下にある「音のない世界」に入りたった一人で魔獣と戦うのだ。その「音がない世界」は言葉通り音が一切ない世界で圧倒的な孤独が精神を追い詰めてゆく。この世界の魔獣は時に動物のようであり、時には人にようでありその魔獣と戦うには剣術と召喚魔法が必要となる。少しでも隙を見せれば精神を破壊される為常に神経を研ぎ澄ませていなければならない。

 戦いに最も必要なのは鉄のような精神力だ。月に一度の戦いを積み重ね自らの魔力を上げ、最終的に各公爵家次期当主達に魔力を渡す。その戦いは成人する日まで続く。

 最終的な戦いは成人後一年以内に行われ、敵は黒龍、最強のドラゴンだ。そのドラゴンを倒すと絶対的な王と認められ莫大な魔力を手に入れる。その魔力を各公爵に分け与えるのだ。しかし、黒龍を倒す時に使う剣ダーインスレイフは魔剣と呼ばれ、使うと一番大切なものを無くすと言われている。それがなんだったのか歴代の王はわからない。自分が何をなくしたのかわからなくなるのだ。

 けれどそれは命よりも大事な何かだと言われる。これだけは避けられないのだ。それを犠牲にして初めて国の安泰が成り立つ。


 エリアス一世が神と交わした契約を守るため、公爵家との誓いを継続させる為ルカスをはじめとするミラネス王家歴代の皇子、皇女達は人知れず孤独な戦いを行なっていたのだ。

 

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