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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第二章

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 第二章  フランシスカ・タピア

第二章が始まります。第一章の時代より五百年前の物語です。


今後の物語の鍵となるお話です。読んで頂ければ嬉しいです。


よろしくお願いいたします。


ねここ





 タピア家次期当主フランシスカ・タピアは十四歳になった。


 今日から次期当主として古より受け継がれている一連の儀式を行う為慣れ親しんだタピア公爵家を後にした。フランシスカは帝国一愛らしいと言われるほどの美貌の持ち主で深層の令嬢として大切に育てられて来た。金色の長い巻き髪は柔らかなウェーブを描き、長いまつ毛は伏せ目がちな青い瞳をより憂ある表情に見せ、白い肌に桜色の頬、上品な形の良い艶やかな薄紅色の唇は公爵家の令嬢らしく常に口角が上がっている。性格も穏やかでまるで人形のように愛らしいご令嬢だと誰もが口を揃え言った。

 そんなフランシスカがタピア家の当主に選ばれるとは誰もが思いもよらなかった。なぜならフランシスカには腹違いの弟ラミロがいる。ラミロは野心溢れる積極的な少年で穏やかな性格のフランシスカよりも当主向きだとラミロ本人を含め誰もが思っていた。しかし選ばれたのはフランシスカだった。


 当主になる為には精霊からの祝福を受けなければならない。祝福を受けると同時に魔法が使えるようになる。通常公爵家の中で魔法が使える人間は一人だけだと古より決まっている。姉であるフランシスカが三歳の頃覚醒し魔法が使えるようになった。ところがフランシスカが五才になった頃二歳年下の弟のラミロが突如魔法が使えるようになった。


 タピア家に魔法が使える人間が二人いる。その事実はすぐに主君であるミラネス王家に伝えられた。ミラネス王家からは経過を見るようにと返事があり、次期当主を選ぶ際はタピア公爵家にある精霊の魔法石を使うよう指示された。真の次期当主がそれに触れると赤く光り輝く。フランシスカが十歳になった時、フランシスカとラミロは一族が見守る中、精霊の魔法石に触れた。その結果精霊の魔法石が選んだのはフランシスカだった。

 

 目の前のナバス城は別名白の奇跡と呼ばれる城で、城の土台は水晶で出来ており太陽が昇り光が城に当たると水晶が反射し城が輝く。その美しさは奇跡の様だと言われる。大きな門から城に入ると大きな道が城のエントランスまで真っ直ぐに続き、左右には広い庭園がありとても見事な景観になっている。

 


 フランシスカは公爵家の馬車でナバス城に入った。


 タピア公爵家の馬車には紋章が彫ってある。炎の紋章はタピア家の誇り。フランシスカは一族の代表として、次期当主として恥ずかしくない振る舞いをしようと心に決めた。

 タピア家の馬車は城のエントランスに到着しフランシスカは初めてナバス城に入った。


 案内され謁見の間に到着すると既に他の公爵家の後継者が立っていた。


 フランシスカは会釈をし、他の公爵家の三人を見つめていた。三人もフランシスカを見ていた。

謁見の間は人数によって大きさが変わる。今日はそれぞれの公爵家跡取りの四人しかいない。それに合わせ謁見の間は二十人ほどしか入れないこの城の中でも一番小さな部屋だ。


 その部屋は皇帝と皇后が座る椅子が段上にあり壇上から下に降りる階段が中央に三段ほどある。

階段を降りると中央に通路があり出入り口へ続いている。その通路を挟んでフランシスカ達は立っていた。全員それぞれを観察している様な妙な雰囲気だったが、急に周りが慌ただしくなり、近衛兵が部屋に入ってきた。


「整列しなさい」年老いた男性が厳しくも張りのある声で指示を出し、四人は通路を挟んで左右に二人にわかれ整列し頭を下げた。


「面を上げなさい」


 フランシスカその声を聞いて顔を上げると目の前にこの世の人に思えないほどの美しい皇子がこちらを見つめていた。ミラネス王家の後継者は皇子だった。


 その皇子の容姿は金色の髪に深い紺色の瞳、長いまつ毛にスッと通った上品な鼻に形の良い唇、肌の色は白く透明感がありその存在感はまるで神が降臨したようなオーラと輝きがあった。皇子は真白なローブを羽織り軽やかな足取りで壇上に立った。四人の公爵家跡取りはその美しい皇子の姿を見上げ見惚れていた。


「右側の後継者からそれぞれ自己紹介をしなさい」先程の男性が四人に言った。フランシスカは左端にいたので自己紹介は最後だ。


「私はモリーナ公爵家のブラスでございます。年齢は十四歳、この度風の精霊シルフィードの祝福を受け覚醒いたしました。ナバス帝国の為懸命にお仕えしたいと思います。よろしくお願い申し上げます」ブラスは薄いグリーンのローブを纏い、グリーンの髪にグリーンの瞳をした涼やかな顔の美少年で、しっかりと皇子を見つめ挨拶をした。その瞳には信念を感じさせる力があった。皇子はブラスを見つめ挨拶が終わると頷いた。


「次!」初老の男性がキビキビとした声で言った。


「私はアドモ公爵家のサリタと申します。年齢は十四歳、水の精霊ウエディーネの祝福を受け各席いたしました。帝国、およびミラネス王家に忠誠を誓いお支えするため努力いたします。どうぞ宜しくお願い申し上げます、」サリタは薄い水色のローブを羽織り、銀色の髪に一重の薄いブルーの瞳がクールな印象を与える大人っぽい令嬢で、穏やかではあるが、言葉に力強さと賢さがある。

 

「次!」


「アンベル公爵家、カリナと申します。大地の精霊ノームの祝福を受け、この度後継者として覚醒いたしました。みなさんと同じく十四歳、帝国のため、王家の為に尽くしたいと思っております。どうぞ宜しくお願い申し上げます」カリナはベージュの髪色に茶色の瞳、顔立ちは幼く見えるが、真の強さを感じさせる穏やかで力強い声の持ち主だ。


「次!」


 フランシスカの番が来た。 

 

 

  


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