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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第一章

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初恋?!


その日の授業は終わった。明日はダフネとカルロスだ。

 クララは部屋に戻る前にカルメラと共に図書室に行き、薔薇の魔法に関する本を探していた。薔薇の魔法はどんな属性があるのか、どんな呪文があるのか手がかりが欲しかった。


「魔法は使う人の心を反映する。」


 一つ一つ棚にある本を確認しながら不意にセリオの言葉を思い出した。リアナを強烈に意識し使った魔法が魅惑の魔法。クララは先ほどの事を思い出し頭を抱え恥ずかしさのあまりしゃがみ込んだ。(うわー!今日のあの魔法リアナ様はどう思われたのかしら?!魅惑の魔法だなんて、、あー!!恥ずかしさで死ねそう!)クララは真っ赤になった顔を両手で覆った。

 

 「レオン?ここで何を探しているの?」

 「キャ、、」不意に声をかけられクララは悲鳴をあげそうになった。「リ、リアナ様、、」クララはゆっくりと顔を上げ目の前に立っているリアナを見た。「レオン、どうしたの?」リアナはクララを覗き込み言った。

 (近い!!)クララは目の前のリアナを見て胸の鼓動が早くなった。(私の心臓が暴れているわ!なぜこんなにドキドキするの?!なんだかとっても恥ずかしい!!)

 クララはリアナに見つめられ恥じらう気持ちを隠すよう下を向き返事をした。「リ、リアナ様、薔薇の魔法の、、呪文を」その言葉を聞きリアナは体勢を起こし「うーん、、」と唸り言った。「それなら薔薇の精霊に聞くのが早い」クララは想像していなかった言葉を聞き驚いた。(そんな方法があるの?)クララは目を見開き立ち上がった。

 リアナはその顔を見て優しく微笑み言った「そう、薔薇の精霊ロサブランカが教えてくれる。レオン、精霊の名前を呼びなさい」クララはその言葉を聞き「ロサブランカ」と呟いた。

 

 その瞬間薔薇の香りが漂い目の前に薔薇の精霊ロサブランカが現れた。クララは突然現れたロサブランカを驚きの表情で見つめているとロサブランカはクララを見てにっこりと微笑み、リアナの方を向き丁寧に頭を下げ言った。「私のもう一人の主人にご挨拶申し上げます」リアナはロサブランカに頷いた。(え?リアナ様もロサブランカの主人?!)呆然とするクララにロサブランカは言った。「私の魔法は魅惑と防御、その時の気持ちに応じた魔法が使えます。今日はお二人に会え感慨深い気持ちになりました。ではこれにて」ロサブランカは自分の言いたいことだけ言って消えた。クララは一言も言えずロサブランカは居なくなった。

 リアナはその様子を見てクスクスと笑っている。「レオン、ロサブランカは気位が高い精霊です。だけどあなたの力になってくれる大切な精霊、心の赴くまま魔法を使えばいいのですよ」そう言ってクララの頭をポンポンと撫で消えた。


 え?!ロサブランカは、、リアナ様と私が主人なの?!!感慨深いって何??頭が混乱する!!


 クララは何が何だかわからず呆然としながら図書室を後にした。わからない事を考えても答えは見つからない。ただ、薔薇の精霊ロサブランカの主人はリアナと自分である事実は衝撃的だった。(、、なぜ私がロサブランカの主人に?それもリアナ様と同じ精霊の主人に?)不意に庭園に咲いている白い花弁に真紅の花芯、フランシスカの薔薇を思い出し胸が痛んだ。まるで心臓を鷲掴みにされ、ゆっくりと握り潰されるような苦痛を伴う痛みだ。クララは胸に手を当て軽く息を吐いた。胸の痛みは引いたが、心の奥底で強烈な悲しみと切なさを感じた。(なんなのこの痛みとこの気持ちは、、)クララは頭が混乱し眩暈がした。立ち止まって目を閉じ大きく深呼吸をした。

 前を歩いていたカルメラは先ほどから様子のおかしいクララに声をかけようとした。「あ、カルメラ、大丈夫です」クララはカルメラが心配していることに気がつき声をかけ、心配はいらないと言うように微笑みゆっくりと歩き出した。(この胸の痛みと感情の理由はこの先わかる日が来るかも知れない。)クララは漠然とそう感じた。


 カルメラと長い廊下を歩き部屋に戻る途中、城の中央エントランスに父親であるウーゴ・タピアの姿を見た。その瞬間クララは恐怖を感じ体が強張った。首元に強烈な圧迫感を感じ息が吸えなくなった。クララは喉元に手を当て呼吸をしようとするが上手く息を吸うことも吐くこともできない。ハッハッと荒く短い呼吸音だけが聞こえるが実際息は吸えていない。カルメラは急に様子がおかしくなったクララに声をかけた。「レオン様?!いかがされました?」クララはその問いに返事ができない。(息が、、、苦しい、、声がでない、、なぜお父様がここに?!怖い!)クララは力を振り絞りウーゴに見つからないようによろけながら死角に入りそのまま廊下に膝をつき倒れ込んだ。身を縮め両手で口を覆いゆっくり息を吐き、吸い、吐きを繰り返した。(苦しい、、息が出来ない、怖い、誰か、、)カルメラはその様子をみてすぐに背中をさすり「ゆっくり息を吐いて、、吸って、、レオン様、大丈夫、大丈夫ですよ」と声をかけ続けた。カルメラのサポートが功を奏し数分後クララは落ち着いた。

「カルメラ、、驚かせてごめんね、、。居てくれてありがとう」クララはそう言ってふらつきながらも立ち上がり部屋に戻った。


 クララは部屋に入りすぐに鍵をかけた。そしてソファーに膝を抱えるようにして座り久しぶりに見た父親の姿に恐怖を感じていた。(なぜここに?何の用で?会いにきたらどうしよう、、怖い。)クララは膝を強く抱えその上に頭を乗せた。まるで敵から身を守る小動物のように身を縮め存在感を消すような格好だ。小刻みに震える唇を噛み締め恐怖と戦っていた。

 「レオン様,ホットミルクをどうぞ」カルメラがクララに声をかけてきた。クララは我に帰りゆっくりと顔をあげカルメラを見つめた。

「,,レオン様、この部屋には王家のリアナ様以外どなたも訪ねて来る事は出来ません。ご安心下さい」カルメラは怯えるクララの手をそっと握り言った。クララはその言葉を聞きカルメラに聞いた「でも、も,もし家族が、、無理矢理、、私に会いに来たら、、」カルメラは握った手を離さず優しく諭すように言った。「レオン様、心配いりません、家族であってもこの城にいる間は絶対に会う事は出来ません。安心してください。」クララはその言葉を聞きようやく安心した。「ありがとうカルメラ、、わたしは、、家族が、、怖いのです。あ、ごめん,忘れて」クララは慌てて訂正しホットミルクを口に含んだ。


 (この部屋はリアナ様しか来れない、、、)クララはリアナを思い出し急に胸が苦しくなった。(なにこれ、なぜリアナ様を思い出すと胸が苦しくなるの?)クララは体の変化に戸惑いながらもリアナの事を思い浮かべた。(魔法の授業の時、真後ろに居るリアナ様の息遣いが、優しい声が耳元で聴こえて、リアナ様が少し屈んだ時に一つに結んでいたリアナ様の髪の毛先が私の頬をそっと撫で、まるで恋人のように後ろから抱きしめるように優しく腕を持ってサポートしてくれたあの瞬間、緊張と幸せを感じた、、。そして魔法を、、)

 「あー!!」クララは思わず声を上げた。薔薇の魔法を思い出したからだ。(リアナ様にときめいた後に使った魔法が、、魅惑の魔法だなんて!!!恥ずかしくて死にそう!!)クララは顔を上げ天井を見上げた。

 (さっきまで暗く嫌な気持ちだったのにリアナ様を思い出して切ないきもちに、、え?切ない?!まさか、、私、、リアナ様が好きなの?!)そう思った瞬間から胸の鼓動が大きくなりクララは自分がリアナを好きなんだと気がついた。(うそ、、、、女の子同士なのに?、、憧れ?そう憧れだわこの気持ちは!!)クララは両手で顔を覆い隠し下を向き突然立ち上がった。(憧れ、憧れなのよ!!)クララは両手を顔から離しまたソファに腰をかけホットミルクを一口飲んだ。(落ち着くのよクララ、これは憧れなのよ)クララは心の中でリアナへのこの気持ちは憧れだと言い聞かせていた。この件についてあまり深く考えないでいようと思いつつもリアナが先ほど図書室で頭をポンポンと撫でてくれた事を思い出した。(ああ!!髪,,洗いたくない、、幸せすぎる)クララはリアナにときめく気持ちを否定しながらもときめきを抑えられず悶々としていた。


 顔を上げ、また俯きを何度も繰り返すクララの様子を離れた場所から見ていたカルメラは心配になり声をかけた。「レオン様、そんなに公爵様を恐れていらっしゃるなら、セリオ様にご相談をされてはいかがでしょうか?」カルメラはそう言いながらドアの方に移動した。その言葉を聞いたクララは我に帰った。「ご、ごめんなさい、大丈夫!全然平気!」クララは全く違うことを考えていた事を悟られないよう慌てて返事をし、単純な自分を恥じるようまた両膝を抱え小さくなった。

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