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薔薇と炎の物語  麗しの皇帝様、、私、訳あって男のフリしてますが可愛いリボンが大好きです。  作者: ねここ
第一章

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リアナと共に


 翌日、城の裏手にある草原で魔法の訓練が始まった。リアナからサポートを受けながら実際に魔法を使う実践訓練だ。クララは昨日のことがありあまり眠れなかった。しかし今日もリアナに会えると考えるだけで眠気は吹っ飛び幸せを感じている。この感情が一体なんなのかわからないが、リアナに会える喜びを全身で感じているのは事実だ。目の前にいるリアナはセリオと話をしながら笑っている。その笑顔を見るだけでクララの心に幸せが広がる。

 (ああ、リアナ様は今日も輝いてる。本当に素敵で見ているだけで幸せになれるわ。今日はこの幸せな気持ちのまま一日を終えたい。だから今日こそリアナ様の前で失敗しないよう頑張ろう)

 クララは深呼吸し気持ちを整えた。



 一番手はグロリアだ。グロリアの魔法のサポートにリアナが入ると魔力が格段に上がった。二人を見つめるクララの瞳には水の精霊ウエディーネの姿が見えている。リアナがウエディーネに指示を出しウエディーネがグロリアに力を与えている。

 (リアナ様はウェンディーネを自分の手足のように扱っているわ。まるで自分の分身のように無駄がない。それに信頼関係があるように見える。王家と精霊、まるで一体のよう。それなのになぜ私は精霊の主人に選ばれたの?)クララは疑問に思った。(ああ、今はそんな事を考える時じゃ無いわ)クララは頭を左右に振り魔法を使うための集中を始めた。


 グロリアは初めての感覚に喜びを感じていた。思ったように、いや、思った以上に正確に強い魔法が使える。グロリアがリアナの方を振り返るとリアナはグロリアに微笑みながら「グロリアの魔法はグロリアそっくりね、真直でとてもクリアーだわ!」リアナが言った。「真直でクリアー、、、」グロリアは呟いた。「だから、行動を読まれやすい、でも命中率が高い」リアナは言った。「それをカバーする方法はありますか?」グロリアはリアナに聞いた。リアナは言った「人の言葉に耳を傾けること、仲間を信じること」グロリアはその言葉を聞いてハッとした。リアナはグロリアを見て微笑み「一歩一歩進めばいいのよ」といい、セリオを見た。セリオはリアナに頷き四人に言った。「休憩をする。その後はレオン準備しておくように」クララは休憩も程ほどに一人立ち上がり草原を見つめた。

 

 この美しい景色を守るため戦争が起きたら躊躇なく戦いたい。だけど、何者でもない私はその時ここにはいないのかもしれない。これも裏切りと言えば裏切りになる。でも、どんな形になってもナバス帝国とミラネス王家に心の中で忠誠を誓います。リアナ様の笑顔を守ります。


「レオン準備できたらリアナ様の近くに行きなさい」背後からセリオが声をかけてきた。「はい」クララは覚悟を決めてリアナの方に近づいた。あの日耳元でリアナが言った言葉を不意に思い出し一気に顔が赤くなった。すぐに俯き深呼吸し乱れた気持ちを整え顔を上げた。

 目の前にいるリアナは長い髪を一つに縛り、白いローブを羽織り立っている。その姿はやはり美しく威厳があり別世界の人に思える。クララはリアナに頭を下げ「お願いします」と挨拶をした。 

 リアナは優しく微笑んでクララに言った。「レオン、まず魔力の安定から始めましょう。」リアナはそう言ってクララの真後ろに立ち後ろから抱きしめるようにしてクララの方腕持ち上げ耳元で言った「レオンの魔力を私の体に通しレオンの指先に戻します。魔法は、、先日放ったフェルドを使ってみましょう」


 クララはリアナから抱きしめられるような状況に顔が赤くなるのを抑えることができなかった。リアナはクララよりも背が高く少し屈むような形になっている。(まずい、耳まで赤くなってる)クララはまた強烈にリアナを意識してしまい乱れた気持ちを整えるために目を閉じた。(前回のような失敗は許されない。もう疑われたく無い。悲しい思いはあの時で十分だわ。)クララは深呼吸をし平常心を取り戻した。

 

 クララ、集中するのよ!


  短く息を吸い吐くと同時に魔法を放った「フェルド!」放った魔法は猛烈なスピードで真っ直ぐに草原を抜けて行った。クララは指を鳴らした。「ドカーン!!」大きな音と共に火柱が上がりフッと炎が消えた。「すごい、、」クララは呟いた。「あれが一番弱い魔法?!」リアナが耳元で呟いた。その声に我にかえったクララはリアナから離れ頭を下げ言った。「リアナ様のお陰でコントロールができた上に、雑念のない魔法が使えました!ありがとうございます!!」


 リアナはその言葉に微笑み言った。「レオン、薔薇の魔法も使ってみましょう」「薔薇の魔法、、、この間ここが花だらけになった魔法ですね、、。知らない間に使えるようになったので呪文がわかりません」クララは目の前のリアナを見上げ言った。「大丈夫、使う時に浮かんだ言葉を言ってみなさい」リアナはまたクララの背後に周り先ほどと同じ体制をとった。(緊張する!)クララはまた顔が赤くなった。(なんなのこれ、昨日からリアナ様が近くにいると心臓が壊れそうなほどドキドキする。ダメ、雑念をはらって集中、、)クララは頭に浮かんだ魔法を放った。「エンタシオン!」その呪文を聞いたリアナは慌てた。「これはマズイ!」リアナはすぐにクララから離れセリオは即座に皆を守るための魔法防御壁をはった。


 辺りがピンクのバラ色に変わり、官能的で濃度の濃い薔薇の香りが漂いはじめた。クララはなんの魔法かわからずキョロキョロ辺りを見ていると森からさまざまな動物が現れクララに近寄ってきた。驚くクララに対し熊はねっ転がり、虎は腹を見せ小動物はすり寄って来る。(一体何が?!)クララはリアナの方を向くとリアナは声を殺し笑っている。(あ、魔法を解除すればいいんだ!)クララは指を鳴らすと動物たちは我にかえり森へ帰っていった。セリオは魔法壁を解除しリアナは苦笑しながらクララに近づき言った。「レオン,危うくレオンの虜になるところでしたよ。」クララはなんのことかわからず首を傾げた。「あの魔法は誘惑の魔法、魔法に触れたものはレオンの魅力から逃れられなくなるある意味で最強の魔法」リアナは笑いながらクララを見つめ言った。(うそー!!なんでそんな魔法が?!恥ずかしすぎる!!!)「あの、わ,忘れてください、、今の魔法は、違うんです!」クララは顔を両手で押さえ城の方に走って逃げようとした。顔を隠して走ったクララは木の根に足をひっかけ転んだ。それを見ていたグロリアとダフネが「全く世話が焼ける」と言いながらクララの方に歩いてきた。カルロスも二人を追いかけ転んで倒れてるクララの腕を掴み立たせて言った。「本当お前って世話が焼けるな!」グロリアもクララの服についた土を払いながら「魔力強いくせに本当軟弱すぎて、、」ダフネもクララの髪についた葉っぱを取りながら「心配で目が離せないわ」そう言って手を握りリアナとセリオの前にクララを連れ戻した。二人はそんな四人を見て優しく微笑んでいる。「レオン、いい仲間を持ったな」セリオが言った。クララは恥ずかしさに下を向きながら「かけがえのない友達です」と答えた。「レオン、素晴らしい魔法でした」リアナが言った。クララはこれ以上ないほど下を向いて「ありがとうございました」と言った。リアナを強烈に意識した結果、魅惑の魔法を使った事が恥ずかしくリアナの顔を見る事ができなかった。

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