表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】外れスキルの不遇魔導士、ゴミ紋章が王国軍ではまさかのチート能力扱いだった〜国営パーティーの魔王攻略記〜  作者: たにどおり@漫画原作
【番外・新大陸編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

350/380

4・落ち着かない船旅

やーっとこっちを久しぶりに書けました、不定期更新ですがよろしくお願いします

 

「いやー、海は良いッスね〜エルドさん」


 カモメの声が響き渡る。

 周囲を大海原に囲まれ、波音に揉まれながら俺たちは旅客船に乗っていた。


 甲板には新大陸へ向かう観光客がいっぱいおり、わきあいあとした和やかなムード。

 本当なら俺もそういう気分でいたいのだが......。


『なーんじゃカップルだらけじゃの〜、おまけにこの船とやら、乗り心地最悪すぎぬかえ?』


 文句の多いウチのお嬢様ことヴィゾーヴニルが、文句を垂れる。


「お前のためにわざわざ国防省騙してまで新大陸に行くんだが?」


『そこはわかっとるが、どうも海というのは苦手じゃ......。大地に足をつけねば安心して寝られもせん』


「お前いま足どころか体すらねーだろ」


『おぉ、そうじゃった!』


 相変わらずマイペースなのじゃロリである。

 たぶん、こいつは今まで地に根を張ったユグドラシルの上に住んでたから海に慣れていないのだろう。


 しっかし、とんだ強行軍を始めてしまったな......。

 アルミナの言葉を思い出す。


『新大陸への定期便がトロイメライから出てるわ、船のチケットと入国用の身分証やパスポートはこっちで用意してあげる。そこから先はあなた達次第よ、頑張って』


 なんて彼女は言ってたが、完璧に隠し通せるのは1ヶ月くらいだろうと俺は予想している。


「なぁセリカ、新大陸に着いたらどうする?」


「そうッスねー......、まずは現地の美味しいもの食べましょ! 神器を探すのはそれからでも遅くないですし」


『初っ端から寄り道すなぁっ! おぬし、マジメに探す気あるのか!?』


「もちろんありますよー、でも()いてどうにかなるものじゃないでしょ? ヴィゾーヴニルさんはエルドさんと味覚も共有してるんですし、観光がてらゆっくり行きましょう」


『呑気じゃのー......』


 全くだ、初めてトロイメライに行った時もアイス屋をリサーチして女子力見せつけてきたっけ。

 ホント変わらないやつ。


「で、この船は新大陸のどこに向かってるんだったか?」


 俺の問いに、自前の遠征ノートをめくるセリカ。


「えーっとですね、新大陸のミリシア王国というところッス。なんでも文化的発展がめざましくて、ウチの国と仲がいいです。あと......」


 彼女は顔を上げて続けた。


「ジーク・ラインメタル大佐が、駐在武官として派遣されてる国でもあります」


「それはデカいな......、でも」


 俺とセリカは、同様のことを思った。


「今回は『連合王国同盟』と、『ルーシー条約機構』を秘密裏に出し抜く形となる。最悪......」


 そう、それは最悪の可能性......。


「あのラインメタル大佐を敵に回す可能性すらあるということだ、残念だが頼ることはできない」


「うぁ〜......、あの人出し抜くとかきつそうッスね」


『キツいどころじゃない、女神アルナを殺すよりハードだ」


 あの人を倒す方法なんてマジでわからん。

 なんたって、あの赤軍がPTRD1941対戦車ライフルを奇襲で撃って返り討ちにあっているのだ。


 あれって確か音速の3倍とかいう弾速なのに......。


「まぁ悩んだところでしょうがない、今は船旅を楽しもう」


 柵にもたれ掛かったとき、紋章から声が響いた。


『のうエルド、この船に戦闘能力はあるかえ?』


「民間の船だぞ? 海軍の艦とは違うに決まってるだろう。無い」


『いやな......、どうも真下に何かいる気がするのじゃ......』


 一瞬魔獣を疑ったが、魔王軍とは同盟国だ。

 航路の制海権は確保しているはず、いや......!


「セリカ!! 柵から離れろっ!!」


「えっ!? はっ、はい!!」


 俺たちは全速で甲板中央へ走った。

 直後、右舷の海面が盛り上がったのだ。


 海中から浮上したそれは“船”だった、それも水上艦とはまったく違う特殊なもの。

 名を『潜水船』、アルスフィア洋で暴れ回る海賊の母艦だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ