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【完結済み】外れスキルの不遇魔導士、ゴミ紋章が王国軍ではまさかのチート能力扱いだった〜国営パーティーの魔王攻略記〜  作者: たにどおり@漫画原作
【魔王戦争終局編】

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第325話 VS天界神官ヒューモラス

 

 ユグドラシルの中層で、ヒューモラスを相手に彼ら彼女らは正対していた。


「さぁーて、どうやって倒そうかしら」


 エルミナの問いに、茶髪のステアーが答える。


「んなもんゴリ押し一択だろ、余計なスキを与えたらめんどいからな!!」


 自分の腰にあった手榴弾を投擲。

 すかさずKar98kを構えたステアーは、ヒューモラスの目前わずか1メートルという近距離で撃ち抜いた。


 時限式のため避けられやすい手榴弾を、セルフ近接信管だと言わんばかりの扱いで敵に爆風と破片をぶつけた。

 確かにこの方法ならば、相手に避ける術はない。


「ぐおぉっ!?」


 仰け反ったヒューモラスは、マントを翻しながら回転。

 ステアーを睨みつけた。


「王国トップの魔導士というには、随分とまわりくどい作戦を取りますねぇ」

「へっ、言ってろ。こちとら魔法にもう飽きてんだよ」


 排莢しながらにこやかに返す。


「フッホッホッホッホッホッホ! ならば魔法の偉大さを再び教育してあげましょう。この魔王軍最高幹部であり"天界神官"を拝命する者として」


 魔法陣が広げられる。


「闇よ謳え、母なる夜を超えて再び――――」

「させるか! やれシグ!!」

「りょうかい!!」


 STG44をフルオートに切り替えたシグが、詠唱中のヒューモラス目掛けて連射した。


「神のゴフッ! 数多の屍を踏み込......おぐぉっ!?」


 容赦なく放たれた7.92ミリ弾は、彼の体をズタズタに引き裂いた。

 もちろん、こんな言い方で魔法が発動することはない。

 魔法陣はポッと消えてしまった。


「あなたたち! 魔法を詠唱中の攻撃はマナー違反ですよ!!」

「うっせーバーカ、呑気に詠唱してる方が悪いんだよ。おら連続でいくぞ!!」


 再びKar98kが轟音を鳴らし、再生していたヒューモラスの顎を吹き飛ばす。


 弾幕を張りながら、ステアーは叫んだ。


「おい吸血鬼共! やるならサッサと準備しろ!!」

「えっ!?」


 ギョっとするエルミナに、彼は振り向かず続けた。


「王都のコロシアムでラインメタル少佐に打ったあれ......、そうだ合体魔法! あれならこの不死身野郎も殺せるんじゃないのか!?」

「......結構時間が掛かるけどいいの?」

「言ってる暇があったらサッサとやれ! こっちもそう長くはもたねぇぞ!!」

「わかったわ」


 激しい銃声の後ろで、エルミナとアルミナはお互いの拳を向けあった。

 魔力が集中し、2人の髪が逆立つ。


「1分もたせて! 頼んだわよ!」

「任せてください!!」


 リロードを完了したシグ兵士長は、地面に手の平をつけた。


「土属性創生魔法!『グランドロード』!!」


 いくつもの魔法陣が現れ、その中から土の柱が5本――――ヒューモラス目掛けて竜のように突っ込んだ。

 衝撃で大量の砂塵が舞い上がる。


「おら行くぞっ!!」


 出来上がった土の道を2人は一気に駆け走る。

 シグ兵士長のフルオート射撃と平行して、ステアーはKar98kへ素早く銃剣を取り付けた。


「はっ!!」


 煙の中で再び魔法を詠唱していたヒューモラスの顔へ、銃剣を突き刺す。

 舌が切り裂かれたため再び中断され、魔法陣は掻き消えた。


「ぐお......ぉっ! あくまで魔法を詠唱させぬつも......りです、か」

「あったりめーだ......! 厄介な魔導士にはこの手が一番なんでなぁ!! 聞く必要のない詠唱を聞く義務はねぇだろ? レーヴァテイン大隊のモブ兵士と思って侮んなよ」


 至近距離で銃剣を刺したまま、ライフルを放つ。

 素早くコッキングし、ヒューモラスを蹴り飛ばした。


「おぉなんという不孝、ならば――――」


 ヒューモラスの瞳が金色に染まった。


「これはどうでしょう」

「ッ!!」


 彼の体から、ドス黒い瘴気が飛び出した。

 見覚えがある、たしか以前にトロイメライコロシアムで最高幹部デスウィングが使った......。


「『ワールド・ブラックミスト』!!」


 包み込んだもの全てから生命を奪う、チート級魔法。


「汚えぞっ!! 無詠唱で繰り出しやがって!」

「そうだそうだ!」

「フッホッホッホッ!! あなたたちには敬意を払っているんですよ? この私をここまで追い詰めたのですから。さぁ――――全員仲良く冥土へ送ってさしあげましょう!」


 広がる瘴気。

 弾丸じゃ効果が薄い、なら――――


「やれシグ!!」

「了解ッ!!」


 再びの土属性魔法。

 今度は床だけでなく、天井からも柱が飛び出した。

 汚染区域を封鎖するかのように、次々とヒューモラスが壁で覆われていく。


「まさか......!」


 ヒューモラスの額に汗が浮かんだ。


「土の壁で分厚い障壁を間断なく作り、時間稼ぎを!?」

「そのとおりだ......言っただろ? 闇属性魔法はもう古いってさ。無詠唱で繰り出せる大技くらい想定済みだっつーの」

「っ!! 魔導士の誇りすら捨てたのですか!!」

「んなもん端から持っちゃいねえよ! やっちまえ吸血鬼!! あのクソ不死身スキンヘッドを吹っ飛ばせ!!!」


 土の障壁が崩れると同時に、ステアーとシグは左右に待避。

 魔力を限界まで高めたエルミナとアルミナが、同時に拳を突き出した。


「「『カオス・エクスプロージョン』!!!」」


 究極と呼ばれる合体魔法が放たれた。

 巨大な魔力の奔流が、一直線にヒューモラスへ向かう......!


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