登場人物紹介 竹姫編
《安条初期》
○日ノ本人間
・王侯貴族
安条時代前期の神皇と貴族。
☆若宮神皇
先祖帰りの性質が色濃く出た、両腕を鱗でおおわれた神皇。三度の飯より戦闘が大好きで、生まれる時代を間違えたといわれる戦う神皇であった。
後の世では、竹姫物語の主人公として描かれていたのだが、そのビジュアルも筋肉質な巨漢と正直に記されていたため《日ノ本の美女と野獣》などと言われて親しまれている。
また、詳細が一切謎に包まれているが、確実に起こったと予想される当時の戦争《戦鱗の乱》で活躍したことから、《戦鱗皇》という称号も持っており、後世の武人たちの間では、日ノ本を代表する英雄の一人として奉られていたとか……。
☆鹿貫己
鹿型獣人の男。頭に鹿の角が生えている。その文字と物語には神が宿るといわれた、日ノ本最古の作家であり、ネカマ日記「女郎日記」を記した大作家。
また言霊の大家としても知られ、彼が操る言葉は自由自在に世界をつくりかえたのだとか。
ただし、私生活では、傍若無人・悪口雑言・唯我独尊を貫いた変人であったと言われ、後世彼の妻が書いた愚痴日記を、人々は苦笑い交じりに読んでその人柄を知ったのだとか。
☆有野那岐
女性の狐獣人であり、今代の賢気朱巌命に仕える巫女。元気はつらつとした少女だが、口が悪く、暴言を吐き続ける貫己とは何かと馬が合わない。
が、意外なことに最後には……。
☆輝夜=カグトリャーイ
別名《竹姫》《輝竹の姫》ともてはやされた絶世の人の姿をした女。最終的には若宮の妻になるのだが、その本性は《天空大陸》北マリューヒル(こちらの世界の北アメリカ)の覇権を握る精霊種=竜種の姫君。本性は、ラピスラズリのような星空の模様をした鱗を持つ有翼蛇型の竜であった。
そのため星の神である竜だとされたのだが、何分彼女が生まれたときには竜種全体が受肉し、神ではなくなっていたので、彼女はその称号を正式にもらうことはなかった。ちなみにカグトリャーイという名前の意味は《祝福の星》。
竜種は長命であるから現代でも生存しており、大昔とある冒険家から習った《英雄召喚》の魔法を使い呼び出した、鱗に覆われた両腕を持つ英雄と、静かな余生を送っているとか。
☆武志多貫麻呂
今代征武大将軍の虎獣人。日ノ本初の侵略戦争である《恵夷征伐》の指揮をとった、優秀な指揮官であり、英雄。その戦の詳細は貫己が描いた《藍流戦史》に詳しく記されている。
歴史上唯一天剣を下賜された将軍であり、その剣術の腕は天剣をふるうにふさわしい、神がかったものであったといわれている。
☆桧垣慧丸
鷲型獣人であり、背中にワシの翼が生えている男。空軍を統括する《天大将》を務める優秀な武官なのだが、気が弱く基本的には物事を穏便に済ませたがる。
ただ、逃げてはいけない場所くらいは心がけているのか、いざとなればどのような荒れた空でも飛んでみせる。
八万顕神を信仰しており、彼が放つ矢は、あらゆる障害をすり抜け標的に直撃する。
☆時原那佳女
亀型獣人の老婆であり、《安条の渚勝諒》と言われる軍略の天才であった。
この時代では珍しいというか、あり得なかった女性武官なのだが、なぜか任官当初から不満の声は上がらなかったといわれている。
若いときは絶世の美女で、輝夜にも負けなかったから、男どもがほだされたんだと本人は主張しているが……真偽のほどは定かではない。
☆葛城原西
天童神社神祇官必当の、梟型獣人の少年……もとい、合法ショタ(45)。
その遠視能力はけた外れであり、視界の悪い嵐の中でも正確に戦場の様子を把握する。
ただし、昼間は大体眠たくなっているため、遠視の精度は落ちる。
☆葦原中津彦
老人狐獣人。今代の《神祇庁頭》なのだが、完全にぼけている。ただし、この時代では唯一最高峰攻撃神術《八神宿祓剣》を使える優秀な神祇官。
防衛の際には、とある神を召喚するために儀式を行い、その陣頭指揮を執った。
☆蘆屋食加見
柴犬型獣人の鋭い眼光をした男。仏来武霆命を奉る猛虎神社の筆頭神祇官であり、優秀な戦士であったとされる。
☆風間楢道
空軍に所属する仙人部隊の将。いまどき珍しい天仙階級まで上り詰めた軍人であったが、絶対強者である竜にはやはり手が届かなかったため、戦場では敵の目を引き付けることに専念する。
・その他
☆応
別称・竹取の翁。輝夜を拾った老人であり育ての親。最後には神皇の寵妃の父親としてずいぶんと高いくらいまで登ったらしいが、本人にはそんな階級よりも、大切な物があったらしく、最後の最後まで内裏にははいらず、竹細工を作り続けていたらしい。
竹藪の神を信仰しているらしく、彼が願えば竹藪が彼に最善の過ごし方を教えてくれるのだとか……。
☆おばあさん
応の妻にして、絵にかいたような優しい御婆さん。料理が得意で、特に応がとってきたタケノコを料理する時間が一番幸せなんだとか。この時代の女性の必須技能を輝夜に教えた人物であり、輝夜の女性らしさはすべてこの人から与えられたといっても過言ではない。
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○日ノ本神格
・日ノ本神
☆竹神
雑神。どちらかというと竹の妖精と言った方がいい程度の力をしかもたない。世にも珍しい竹の花から現れるといわれていることから、その姿を人にさらすことは本当にごくまれ。
竹藪に生きる人間を助け、タケノコのある場所や、切り倒していい竹のある場所を教えてくれる。
また、竹藪で迷うと笹を動かし、道案内をしてくれるらしい。
☆荒威風命
天剣八神にして、台風の化身である災害神。その姿は巨大な鳳であり、人型になると大きな翼を持つ青年に変化する。
台風の化身であることから、基本的には台風シーズンにしか顕現しない神様。また、多宗教にまたがって信仰される神様である、とある宗教の嵐の神とこの神様は同一の存在なんだとか。
☆汐満留津軽毘売
天剣八神にして、荒波・津波の神。基本的に他の災害神とセットで現れるが、頻度が一番多いのは荒威風命。そのため、二人は夫婦神と扱われることが多く、天剣八神の間でも関係を疑われている。
本性は竜すら飲み込む巨大なクジラ。人型になると、誰もが想像する竜宮の姫のような姿になるのだとか。
・真神習合
☆八万顕神(八万顕真察)
日ノ本最古の真神習合の例。日ノ本の神としては弓矢の武神であり、真教の真格としては、真実を見抜く眼力を持つ真格であるとされる。
その力を複合することにより、この神を奉る武人は、達人級の技を奉納すれば、あらゆる障害を無視して標的を射抜く、必中の矢の加護が与えられる。
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○マリューヒル竜種
四足種・有翼蛇・翼手竜の三種類がいる、世界に名だたる精霊種。
その体は強靭にして無双。ありとあらゆる生物と比較しても、肉体面で彼らに勝る種族は非常に少ないといわれている。
☆テスパクトリス
名前の意味は《天上に坐す竜》
巨大な真紅の鱗を持つ四足種のオス。北マリューヒルで崇められる太陽神である。
その性質上、性格が傲慢かつ慢心的。ただ君臨することだけを目的とし、存在価値であると考えており、基本的に他者や下の者を顧みることはない、テンプレートな最強神である。
ただし、妻とその妻が腹を痛めて産んだ娘だけは例外らしい。
☆アクロマルクラ
名前の意味は《闇を照らす蛇》
巨大な月の光を思わせる青銀の鱗を持つ有翼蛇のメス。北マリューヒルで崇められる月神である。
非常に冷静沈着かつ穏やかな性格ではあるが、それは常に他者を見下しているから。そのため、いかなる異変が起こっても自分には関係のないことと傍観することが多い。まさしく慌ただしい下界をはるか上空から眺める月そのものといった性格をしている。
ただし、自分の伴侶であるテスパクトリスや、自分がお腹を痛めて産んだ娘は溺愛している。
☆アルフェスコアトル
名前の意味は《賢者の火竜》
彼らを信仰する南マリューヒルの人間たちに、火を伝来させた知恵の神にして、上記した二柱の神の息子として信仰を受けた四足種のオス。というわけで、実際上の二柱から生まれた竜ではない。
太陽神に取って代われるほどの、絶対的霊格を持っているが、打倒することは不可能だったとか。
いろんな事情が重なり、クーデターを起こし上記した二柱を更迭。天空大陸の実権を握ったが、二人の娘であるカグトリャーイをとらえようと日ノ本に侵略戦争を仕掛け、敗戦。
逆に捕まり、二柱の手によって牢獄に放り込まれることとなる。
☆アスラルド
名前の意味は《蜃気楼に住む蜥蜴》
姿をけし、隠れ潜むことを得意とした地竜(四足種亜種。翼が退化した代わりに、強靭な四本足を手に入れた)で、よく斥候などに使われる竜である。
だが、運悪く斥候中に貫己に見つかり敗戦。喉を槍でぶち抜かれ絶命する。
☆ウンティクラ
名前の意味は《幻影の主》
幻を操り、本気を出せばその技術を使い、一つの異空間をつくることすらできる強力な有翼蛇。
人型の時は全身を隠すローブとフードに身を包み、カンテラを片手に持っている。
だが、貫己との戦いに敗れたあげく、竜種たちが軒並みテスパクトリスたちに連れて帰られたにもかかわらず、忘れられてしまい日ノ本に取り残されたかわいそうな竜。
そのため捕虜として彼女を捕まえた貫己が、奴隷としてこき使いながら衣食住は保証しているんだとか。
そして驚くべきことに……人間形態は、結構グラマラスな美女であった。
貫己の死後、正妻である友人と跡継ぎの問題でもめないようにと、彼との間に作った子供を連れてどこへともなく消えたらしいが、その行方は分かっていない。
☆瘴気の竜
名前は不明。マリューヒルの神話にも記されていない《冥道に住む蛇》。
全身からは冥府の瘴気が漏れ出しており、触れた生物を即座に死に至らしめる。
ただし、生死の判定ができない神や、神霊といった存在には一切効果がない……。
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・千夜紡ぐ物語
☆シルドリア・フィ・エム・ラファエロ
通称シル。貴族の家柄に生まれた少年だったが、召喚した英雄の昔話に触発され、すべてを捨てて冒険家に。
アラビ圏を一人で踏破した冒険家であると知られ、天才神聖術者として名をはせた聖人の一人。
またアラビ圏から持ち帰った無数の民話である《千夜紡ぐ物語》の執筆者でもある。
召喚した英雄霊は《始皇帝》兎嵐
☆兎嵐
言わずと知れた、央国の《始皇帝》。兎王朝の偉大な王であったが、死後シルドリアに召喚され、英雄霊として彼と共に冒険の旅へと出発する。
《伝承武装》は《七神器》。
正確にいうと、創造の女神がこの世にいるすべての人間の記憶と、肉体を完全に再現した霊体種族。
そのため、正確には彼の幽霊というわけではなく、彼と全く同じ記憶と肉体を持った兎嵐の残響的な何か。
まぁ、そのため彼ならこうするだろうと、考えや行動は、限りなくトレースするため、彼の幽霊だといっても間違いではない。
また、何らかの都合で本物の兎嵐の幽霊が作り出された場合は、この残響の記憶も女神の蔵書から送られてフィードバックされる。
☆アルジラ
千夜紡ぐ物語の代表例『泥棒アルジラの竜退治』の原典になったと思われる少年。
空飛ぶ魔法の絨毯を手に入れ、幼いころ一緒に遊んだシェイラを助けるために奮闘する。
☆シェイラ・ザード
背や紡ぐ物語を作り上げた少女。幼いころは王宮から抜け出しアルジラと遊びほうけるおてんば娘だったらしい。
国の大臣の娘であったが、狂った王によって食われる生贄として指定され、命を長らえさせるために、王を寝かしつける寝物語=この国の民話を語り聞かせる。
それが千夜紡ぐ物語となった。
後にアルジラと結婚する。
☆アブブラ・ザード
狂った王に仕える国の大臣。その正体は王の命によって敵対勢力を暗殺する、《砂丘の死骸》の頭領。
冷静沈着、冷酷無慈悲。敵対勢力の息の根は確実に止める生粋の暗殺者である。
のちに『アサシン』の語源となったといわれるが、こちらは諸説あるため真実かどうかは定かではない。
☆毒竜
名前は不明。病にかかり寝たきりになった砂漠の王を食らい、その位をのっとった、北マリューヒルから流れてきた竜。
あの戦の後、クーデターを起こした竜たちは一部を除き、ほとんどが天空大陸から追い出された。いわゆる島流しの刑。
日ノ本の侵略戦を経験しており、日ノ本神話体系の神々の気配を感じると必要以上にビビる。
また、いまでも北マリューヒルの侵略をもくろんでおり、他地域の神として力をつけようとしたのだが、アルジラたちの活躍によってあっけなく倒された
といった感じで、更新再開一発目は人物紹介^^;
というか、目立つ登場人物こいつらで全員だよね? いまさらながら見落としがないか少し不安だったり……。




