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神竜の園

「まさかこんなに早く輝夜の居場所が露見するとはな……」


 おかげで今日から着実に対策を練る予定が、一気に臨戦態勢だ……。と、俺――賢者の石は愚痴を漏らすようにつぶやく。


「輝夜の奴……。まさかあんなに俺を侮っているとは思わんかった。俺が見えないっていったのなら、『高々竜の眼玉程度では見えないんだろう……』と思うのではなく。『ちっ。最高神マジ使えねぇ』と考えるとはっ!!」


 いや、確かに威厳とかは足りなかったかもしれないけど、仮にも最高神をその扱いって!?  確かにちょっと説明不足なのは悪かったけど、それにもいろいろと事情(・・)があったんだぞっ!? と、俺がショックを受けている中、上座に鎮座する武神――仏来武霆命は苦笑いを浮かべた。


「仕方がないだろう、賢者の石。今回ばかりはおぬしが侮られたのが悪い。普段から神様らしい威厳のある態度を取らんからだ」


「それ心がけようとして口調を変えたときに、腹抱えて笑いやがったのはどこの神様たちだっけなぁ!?」


 流刃に至っては絶息を起こすほど笑いやがったし!? そんなに俺の威厳ある口調がおかしかったかっ!! と、嫌な思い出を思い出しながら俺は、昔と変わらぬデザインを心がけた、新たな都の朝議の間を見渡し、集まった猛者たちを確認した。


 俺の指示によってこの国の軍もかなりの整備が行われている。


 軍の最高責任者、虎獣人の偉丈夫《征武大将軍》武志多貫麻呂を筆頭に、彼の補佐をする3人の大将。


 作戦立案を行う《参謀部》の長である、亀型獣人の老婆、時原那佳女(ときばらのなかめ)と、彼女につき従う4人の最高位参謀。


 さらには、戦時はその遠視能力を使いて長距離からの敵部隊観測を行う天童神社の神祇官筆頭、いまにも眠ってしまいそうな梟獣人の少年――もとい合法ショタ(45)、葛城原西(くずきのはらにし)


 神祇官勢力固有の武装集団である、仏来武霆命を奉る《猛虎神社》の神祇官筆頭、鋭い眼光を持つ柴犬獣人の蘆屋食加見(あしやのくいかみ)


 そのほかにも、戦に役立つと判断され、緊急時には一時的に軍の指揮下に入ることを約束した、神術のスペシャリストたちが整然と朝議の間に着席し、今回起る戦に関して喧々囂々とした意見を交わしている。


 さらにその上座には、俺の呼びかけに応じ下界の顕現した無数の神々。


 そして、


「では……朝議を始めるとするか!!」


 今まで、朝議のたびに見せていただるそうな態度など全く感じさせない、相変わらずの怒鳴り声のようなよく通る声を持って、会議の開催を告げる若宮。


 以上の人員にて、現在こちらに向かっている輝夜の故郷の軍勢――巨大な浮遊大陸である北アメリカもどきから派遣された、天空城塞の迎撃戦に関しての会議が、始まろうとしていた。




…†…†…………†…†…




「結局のところ賢気様……敵とはいったい何なのですかな?」


 那佳女が朝議の開催と同時に、最も基礎的な……だが、まだ誰も知らなかった質問を口にする。


 国家の一大事ということで今回彼らは集められたが、さすがに細かい事情まで話している余裕はなく、とりあえず集まってくれと連絡ができただけだったからだ。


「今回の敵は海の最果て。俺たちが言う董がある大陸とはまた違った大陸からの侵略者だ」


「ほう?」


 あの先すら見えぬ広大な海の向こうに、さらに大陸があると聞かされ興味がわいたのか、老婆の那佳女だけでなく、他のメンツも興味深そうな視線で俺を見つめる。


「お前たちは知っていると思うが、輝夜は異国の神格だ。そして、そいつが神として崇められていた場所が、その大陸でもある」


「その大陸の民が攻めてくると? 目的は? 輝夜宮の奪還か?」


 だとしたら迎撃の必要はないだろう? まずは話し合いをするべきだ。と、戦のむずかしさを知る多貫麻呂が意見を飛ばしてくるが、さすがにそれはないと本人もわかっているのか、その質問には否定されるのが当然という色が見えた。


「奴らはいなくなった神を取り戻そうとしている殊勝な奴らじゃない。政争の敵の娘である輝夜を抹殺しに来た」


「政争? 神と人が?」


「違う……。神と神とがだ」


『……………………………………………』


 俺が告げたその事実に、さすがに会議場の空気が凍る。


 それも当然だろうな……。と、俺は内心考えながら、彼らが一瞬口にするのをためらった事実を、はっきりと告げる。そうしなければ話は進まない。


「今回の侵略者は……異国の神々だ」


 ざわっ……。と会議室に同様の空気が走る。この国の民たちは神と共に生き、神に助けられ過ごしている。そのため神の偉大さと強力さは知っており、歯向って勝てるような相手ではないと自覚しているからだ。


 何より問題なのは、


「バカなっ! 神と戦争などっ……できるわけがないっ!?」


「特殊な神器がなければ、傷一つつけることもかなわぬ存在ではありませんかっ!!」


 そう。霊力によって体を構成する神々には、下界の主な攻撃手段の一つである物理攻撃が一切通用しない。特殊な神術……あるいは神器を使えば傷つけることくらいはできるだろうが、それにしたってごく一部だけ。到底主戦力となる一般兵士たちにいきわたらせることなどできない。


 戦うことすらおこがましい。反撃すら無に帰す。神とはそういった存在だ。


 だが、


「それに関しては……」


「心配ありません」


 那佳女の部下である参謀たちの悲鳴に答えたのは、申し訳なさそうな顔でこの朝議に列席していた輝夜だ。


 結局大威山では一族の秘密を隠し通そうとしていた輝夜だったが、さすがに居場所がばれ、敵がこちらを攻めてくることになった以上、黙っているわけにもいかなくなったのだろう。


 彼女は至極協力的に、自分の一族について説明を続けていく。


「輝夜殿? それはいったい……」


「我等は神……確かにそれとほぼ同等と言っていい霊力を保有していますが、厳密には神ではなく元神といった存在に成り下がったのです」


「成り下がった?」


 今度発言したのは、神格たちの一柱。鼠の丸い耳をぴくぴく動かす暦書符雄神だ。


「はい。私たちはもともと、隣の大陸にすむ民から信仰を受け、天空大陸の住人として造り出された神々でした。そのため天空大陸には神しかおらず、神々だけの国がその土地には作られていたのです」


 南アメリカもどきに住む原住民たちは、天空に漂う神秘の大陸にこそ神が住むと信仰したのだろう。


 それに、エベレスト級の山々が連なる南アメリカもどきの、さらに上の空を漂う天空大陸は、到底生物が住めるような環境ではない。空気は薄く、自然のままに任せれば、すべてが凍てつく絶対零度。それこそ、信仰を得て具現化した神ぐらいしか、存在することができない。


 そんな様々な条件が重なり、北アメリカもどきの天空大陸は神しかいない神の大陸としてこの世界に存在することになったのだろう。


「私たちその環境に満足していました。信仰を受け、自由に暮らし、それだけで下にある隣接する大陸の民から畏怖をうけとれる楽な生活。圧倒的全能感を感じるには、十分な生活でした。誰も彼もが、現状維持に努め好き勝手にふるまう……この国の神々からすれば信じられないような生活を送ってきたのです。でも、そんな私たちにある事件が起こりました。とある人間の部族が疫病によって消失してしまったのです。そして部族の消失と共に、彼らが崇めていた神が消滅。人間の信仰を失うことで、神は消えてしまうのだという事実を我々は知ったのです」


 信仰の喪失による神の消滅。真教伝来の折に日ノ本神々が向き合ったことがあるその事実を思い出したのか、神々はやや輝夜を憐れむような視線を向けたが、輝夜はそれを気丈にはねのけ説明を続けた。


「私たちは恐れました。自分たちが消えるのを……。そして、それ以上に、自分たちの生殺与奪の権限が、人間に握られているという事実が我慢なりませんでした」


 相当プライドの高い神だったんだろうな……。まぁ、話を聞く限りは生贄だってバンバン求めるような神だったみたいだし、それも当然か……。と、俺は考えながら輝夜の話を聞く。


「そして我等は研究に研究を重ね、霊力だけで構成されていた自分たちの体を、自身を構成する霊力を変貌させることによって、実体を持つ肉体にすることに成功し、物理的な肉体を持つにいたったのです。そうすることによって、私たちは肉体という枷を得ることになり、霊格もこの国の神々と比べると数段階落ちるものとなってしまいましたが、人間の信仰消滅による死は回避され、新たな生命として天空大陸の大地に生まれることができました。私たちはそんな自分のことを《精霊種》と呼んでいます」


 成り下がったとはそういうことか……。と納得したように暦書符雄神は腕組みをする。他の神々もその話を興味深そうには聞いたが、


「バカなことをしたものだ……」


「なんと俗な輩よ……」


 と、その話を羨ましそうには聞かず、呆れきったような顔をして聞いていた。


 どうやら岩守塚女の言ったことは本当のようで、彼らには彼らなりの神の矜持とやらが芽生え始めているらしい。


 人間を下にみて、人間に命を握られる状況が許せなかった。人間と共に生きると決めた神々にとって、その結論はあまりに神らしくなく、神としてふさわしくない行為に映ったのだろう。


「で、それと我々と神が戦争できるという理由はどうつながる?」


「うん。素で神様ぶん殴れるお前にとっては確かにあんま関係ないかもしれないけどさっ!!」


 体に宿る龍の血脈が、霊力のみの神の体すらとらえる若宮には、たしかにあまり関係のない話だろうが、


「要するにこいつの故郷の神々は、霊力を肉体にすることによって、二つの欠点を得たんだよ。一つは、霊格の大幅低下による霊力の欠損。とはいえ、輝夜を見る限り、こちらは人間と比べると十分神に匹敵する総量だろうが……。二つ目は、肉体を持つがゆえに発生する、物理攻撃の有効化だ」


「あぁ! なるほど!! 普通の剣で叩き切れるようになったのだなっ!!」


 そいつは朗報であるなっ!! と、のんきに笑う若宮は、彼の隣に控えていた多貫麻呂の背中をバシバシ叩く。


 背中を叩かれるたびに痛そうに顔をゆがめる多貫麻呂。そんな彼の顔は、物理攻撃が通じると聞いたにもかかわらず、あまり晴れてはいない。


「霊力の総量が神級と聞いただけで十分脅威だ。話を聞く限りうちの神々の方が霊力総量は上らしいが、だからと言って俺達人間とは比べ物にならん力を持っているわけだろうが。つか、いてえよバカ神皇!!」


 若宮の幼馴染である彼は、何のためらいもなく若宮に悪態をつきながら話を続ける。


「数で押すにも限度がある。輝夜と同じように人型ならまだ救いはあったが、輝夜の本性がそれでないことくらいは宮中の皆も知って入るだろう?」


 元々神々と触れ合う機会が多い日ノ本の住人達は、霊的感受性がかなり高い種族だ。直感や野生の勘というものが色濃く残る、獣人であるということも起因しているのだろう。


 この場にいるメンバーは大体が、輝夜が人間や獣人ではない、もっと別の物だということに気付いている。


 到底結婚を望めなかった若宮の嫁をしてくれているので、誰もがその事実に口をつぐんではいたが、ことここに至ってそういうことも言っていられなくなったのだろう。


 この場にいる全員の質問の代弁として発された多貫麻呂のといに、輝夜はややためらうように若宮を見た後、


「安心せよ。余がお前の見た目が多少おかしいからと言って、愛想を尽かす器の小さな男に見えるのか?」


 即座に自身の不安を看破した夫に、思わず苦笑を漏らしながら口を開く。


「私たちは人間ではありません。多少見た目は違いますが、あなたたちが言うところの……《龍》という存在です」


『っ!』


 突如出てきた強大な神格の代表格の名前に、その場にいる全員が息をのんだ。




…†…†…………†…†…




 《天空大陸》マリューヒル。


 眼下に広がる《山脈大陸》エルデストの言葉で『神竜の園』という意味を持つその大陸は、竜たちの権能により結界が張られ、生物が過ごしやすい環境が整えられていた。


 そのため、元は草木が一本も生えていなかったこの大陸も、いつのまにか緑が増え、清流が流れる楽園となっていた。


 だが、その楽園に不釣り合いな巨大な岩を削られ造られた要塞が一つ、その大陸の中央には起立している。


 この国の王である神竜が住まうその居城は、今は城主を変え、元の持ち主を幽閉する監獄と化していた。


 その中を一人の男が歩いていた。


 最近は何かと過ごしやすいということで、精霊種の間で流行りはじめた人化魔術。それによって、人間ではありえない真っ青な髪を持つ美青年に変化したその竜は、目的の場所につき、その美しさが損なわれるほどの歪んだ笑みを浮かべた。


「おはようございます、元陛下。元后。ご気分はいかがですかな?」


「いいわけがないだろう……」


 そこは巨大な牢獄だった。一本一本が、巨木と遜色ないほどの太さの鉄格子によって作られた牢獄。その中には肉に食い込むほどきつく鉄枷を始められた巨大な竜が二頭、とらえられている。


 一頭は強靭な四肢と蝙蝠のような被膜を持つ、紅の竜。


 もう一頭は、蛇のような細長い体に翼が生えた翼ある蛇(ケツァルコアトル)


 返答を返したのは紅竜であり、威厳溢れるその低い声には隠しきれない怒りが秘められている。


「なぜ? 何故です……アルフェス。政権なら譲ると……神の国はあなた物だと、私たちは言ったではありませんか。何故まだこのような無体を私たちに働くのです」


 翼ある蛇は嘆きながら、衰弱しきったか細い声で青年に問いかけた。


 肉体を持つことによって神竜たちの統治機構は一変した。肉を持つ前にはなかった欲深さと、始祖神として崇められていたマリューヒルの最高神二柱の神――太陽神の紅竜と、月の女神である翼ある蛇に逆らう反逆心。それが竜の間で芽生えてしまったのだ。


 その影響を最も強く受けたのが、この青い神の青年アルフェス。


 人間に炎を与えた知恵の神として信仰を受けていた彼は、肉を得る前から二人に届きかねないほどの巨大な信仰を得ていた存在だ。


 そしてそれゆえに、手を伸ばせば届いたがゆえに、彼は肉を手に入れたことにより得てしまった欲望に、誰よりも従順に行動したのだろう。


 自分こそが最高神になるのだと……。そういう願望を、彼は抑えることなく二柱の神に反逆し、勝利をおさめ、二人を更迭・幽閉した。


 そう。彼は勝者になったのだ。もうこの国に、彼の邪魔をする存在はいない。


 だが、そんな彼でもとりこぼしてしまったものがある。それがある限り、彼は安心するわけにはいかなかった。


「まだ貴様らに従うといったレジスタンスの活動が活発でな……。ここで貴様らを逃せば、もしかしたらそいつらと合流して、私の政権を打倒しようとするかもしれない」


「ならば我等を殺せばいいだろう?」


「あなたっ!!」


 忌々しげに吐き捨てる紅の竜に、自暴自棄にならないでと翼ある蛇は懇願した。


 そんな二人の姿に、ニヤニヤとしたいやらしい笑みを浮かべながら、アルフェスは話を続ける。


「それに、私が求めたものを、あなた方はまだ差し出していませんしなぁ……。まぁ、そんな屈辱的状況も今日までですが」


「っ!?」


「まさか……あなたっ!?」


「えぇ……。カグトリャーイを見つけました。数日後には私直々に彼女を迎えに行くつもりですよ。私の王国にふさわしい花嫁としてねッ!!」


 嫌らしい笑みを浮かべ高笑いをするアルフェスの眼前で、紅竜が鉄格子に激突する。


「きさまぁああああああああああああ! 許さんっ!! 娘に手を出すことは断じて許さんっ!!」


 その怒号と共に聞こえてくるのは、翼ある蛇の懇願だった。


「お願い! やめて、アルフェス!! あの子は私たちが精霊種となり、人の信仰のくびきから離れた証である、大切な子供なの! 私が初めて、神話的に産んだ子供ではない、お腹を痛めて産んだ、子供なのっ!! お願いだから……お願いだからあの娘には手を出さないでっ!!」


 だが、それに対して帰ってきたアルフェスの返答は、いままで絶対者として君臨していた二人の情けない姿をあざける嘲笑だった。


「お願い? 命令? どうやらあなたたちはまだ自分の立場が分かっていないらしい。この国の王はすでに私だっ!! 私が差し出せと言えば、お前たちは黙ってすべてを差し出すのが道理だろうがぁ!!」


 その言葉と同時に、鉄格子越しにこちらを睨みつけてくる紅竜に、アルフェスの拳が突き刺さった。


 本性の力はすでに解放されているうえ、彼らをつなぐ鉄枷は相手の霊格を著しく下げる特注の品。


 紅竜は突如自分の鼻面に叩き込まれた衝撃と激痛に、苦悶の声をあげのけぞり、倒れ伏す。


 そんな彼をあざ笑いながら、アルフェスは踵を返した。


「せいぜいそこで見ているがいい。貴様らの宝物が、俺に手によって穢され、蹂躙されるところをっ!!」


 けたたましい笑い声と共に、牢獄の前からアルフェスの姿は消えた。


 二頭の竜はその姿を黙って見送ることしかできず、アルフェスの背中が見えなくなると、紅の竜は忌々しげに舌打ちを漏らす。


「おのれ……あの小石め。一体全体何をしているっ!!」


 数日前、霊力とともに声だけ届けてきた、いまカグトリャーイを保護しているといっていた、異国の小石の神の声を紅竜はため息をついた。


「あれほど娘を頼むと念を押したというのに……舌の根が渇かぬうちにこれかっ!!」


「仕方がありません……。おそらく彼の神にも予想外の事態が起こったのでしょう。もしかしたらあの子が、自力でこちらの居場所を割り出そうとしてアルフェスの包囲網にふれたのかもしれませんし……。不要な心配をかけぬように、私たちの状態については伏せてくれと頼んだのが悪かったのかもしれません……」


 今の私たちの状態を知れば、あの子は後先考えずに私たちの奪還作戦を考えるだろうと思い、変な気を使ったのがまずかったのかもしれません……。と、苛立ちを隠しきれず、痛む鼻先を抑える夫をいたわりながら、翼ある蛇は娘の無事を祈り続ける。


 彼らには今、それくらいしかできることはなかった。

*竜種=世界最古の精霊種と名高い、強靭な肉体を持つ生命体たち。あらゆる刃を通さぬ分厚いうろこに、人間など足元にも及ばない莫大な霊力を持つのが特徴の種族で、ごく一部の勢力は西洋圏にわたりその猛威を振るい、人々を恐怖に陥れた。現在西洋の竜種たちは、人間と友好関係を結んでおり、普通にその国家の住民として暮らしているとか。


 姿は様々な種類があり、強靭な四肢をもつ皮膜型の翼をもつ《四足種(バハムート)》。羽毛の翼が蛇体に生えた《有翼蛇(ケツァルコアトル)》。前足が翼と一体化し、後ろ脚が存在しない《翼手竜(リントヴルム)》などが存在する。


 なお、日ノ本や央国に広まる幻想生物である龍と同一視されることがあるが、こちらは実在が疑われる存在であるため、生物学的に比べるのは間違っているとのこと。


 彼ら本来の発祥の地は《天空大陸》マリューヒルだと記されている。神話によると彼らは神から堕天した種族だといわれているが、事実かどうかは定かではない。


 現在浮遊大陸は世界各国からさまざまな人種が集まる《合衆国リメリカ》となっており、国際連合の拠点や、世界警察機構の本拠地が置かれる大国となっている。

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