表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~  作者: 出雲大吉
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/283

第075話 魅了魔法に屈したわけではない


 俺は三枝さんにパーティーに誘われている。


「すみませんが、やっぱりソロがいいですわ。実を言うと、前職を人間関係で辞めましてね。1人が良いんです」


 クビだけどね!

 うっ……心が痛い。

 あとでカエデちゃんに癒してもらおう。


「そうか……それは辛かったね」


 やめろ! 同情するな!

 惚れちゃうだろ!

 埋めたくなるだろ!


「そういうわけですみませんが、断ります。せっかくAランクの方に誘ってもらったのに断るのは失礼ですが…………」


 三枝さんのパーティーに入りたい冒険者は大勢いるだろう。

 そいつらから石を投げられそうだわ。


「うーん、じゃあさ、臨時でもいいから時々、一緒にやらない?」


 しつこいな、この人……

 マジでモテ期かもしれん。


「なんでそこまで俺にこだわるんです? Eランクですよ」

「ランクは関係ないよ。誰だって最初はFランクから始める。君は強い」


 知ってる!


「そんなことないですよー」

「君、私に勝てると思ってるでしょ?」


 あたりめーだろ。


「そんなことないですよー」


 俺がそう言った瞬間、三枝さんから殺気が漏れ、右手が動いた。


 俺はすぐに手を伸ばし、三枝さんの手が腰の剣に届く前に剣の柄を押さえる。


「――え? キャッ!」


 三枝さんが可愛い声を出した。


 何故なら、俺が足で三枝さんの足を払ったからだ。

 そして、それと同時に押さえていた三枝さんの剣を抜き、倒れた三枝さんに向ける。


 これで三枝さんは尻餅をついたうえに武器を失くし、一方的に俺が優位になった。


「すごいね。やるかい?」


 どっちの意味だろ?

 殺す? 犯す?


「あなた、Aランクでしょ。ここから逆転できそうです」


 俺はそう言って、剣を下ろし、三枝さんに手を伸ばす。


「まあ、そうだね。スキルが色々あるからね」


 三枝さんはそう答えながら俺の手を握り、立ち上がった。


「ちなみにですけど、どんなのがあるんです?」


 俺はお尻をパッパッと払っている三枝さんに剣を返しながら聞く。


「手の内を晒す気はないけど、まあ、私は魔法も使える」


 きったね。

 ずるい、ずるい!


「へー……いいなー」

「ただの器用貧乏だよ。サツキさんに剣術で勝てなかった」


 サツキさんの剣術のレベルが5だし、4ってところかな?

 ふっ、勝った。


「魔法ってどうやって覚えるんです?」

「その辺を教えてあげるから一緒にやろうよ」


 うーん、手強い。

 この辺も従姉と似てる。


「あのー、本当になんでそんなにこだわるんです? 俺はそこそこ強いかもしれませんが、あなたはAランクでしょ。さっきのリンさんだって強かったし、他のメンバーだってサツキさんのパーティーメンバーだったのなら十分に強いでしょ。俺が必要には思えません」


 正直に話せや。


「ここは正直に言った方がいいね。理由は2つある。1つは君も勘付いていると思うが、例の黄金の魔女だ」


 だろうね。


「それはわかります。ですが、俺は会ったこともないですよ?」

「それは嘘だ。君の話しぶりはどう考えても知り合いのそれだった」


 いや、まあ、自分ですからね……


「カエデちゃん経由ですよ」

「まあ、それでもいいよ。とにかく、あの魔女と繋がりが欲しい」


 アイテム袋を売ってあげるって言ってんじゃん。


「勧誘です?」

「いや、それは無理だとわかっている。それにサツキ姉さんが絶対に手放さない」


 金の亡者だもんね。


「ふーん……じゃあ、なんでです?」

「これはオフレコで頼みたいんだが、ギルド本部とエレノア・オーシャンの間で、ある取引が行われる予定だったんだよ。でも、邪魔が入ってしまってね、おしゃかになってしまった。本部長は何とか関係回復を図りたいんだ」


 あー……あれね。

 でも、俺はクレアとの取引が終わったら普通に本部長に売る気なんだけどな。


「なるほどー。それで藁にもすがる思いなんですね」


 俺は藁だった。


「まあ、そんなところかな……池袋ギルドでは他に知り合いがいないんだよ。あそこって今も昔も初心者ばっかりだし」

「ふーん、もう1つは?」

「…………ものすごく個人的な話だが、サツキ姉さんと仲直りがしたいんだ。というか、許してほしいんだよね」


 そういえば、サツキさんが三枝さんは自分に懐いてたって言ってたなー。


「簡単ですよ。池袋ギルドに戻ればいい」

「移籍は無理。私は本部長とどっぷりだから」


 愛人みたいなことを言うな……


「そんなに深いんですか?」

「表に出せない金の流れまで関わっている」


 そら、ダメだわ。

 きったない大人だなー。


「なるほどー」

「勝手に出ていって何を言ってんだと思うが、私にとっては姉も同然なんだ」


 本当に慕ってるんだなー。


「それでですか……」

「まあ、これは仕事でなく私情だね。とにかく、そういうこともあって一緒にやらないって誘ってる。色々と教えてあげるからさ」


 どうしようかねー?

 サツキさんに相談してみるか。


「ちょっと考えてもいいですか?」

「いいよ。あと、別にそこまで重く考えなくてもいい。時間が合えば、一緒に行こうって言ってるだけだし、そっちの都合を優先していい」

「三枝さんって普段はどこで活動してるんです?」

「特に決まってないよ。依頼があれば、そこに行くし、気分だね」


 ガチ勢じゃないっぽいな。


「俺はEランクだし、キツいところには行きませんよ?」

「わかってるよ。ねえ、午後から暇? とりあえず、2人でやってみようよ」

「ここでですか? スケルトンしか出ないし、何体出ようが連携もクソもないですよ」

「まあまあ、1人は退屈でしょ。話し相手になってあげるから」


 確かに退屈とは思ってたな……

 とりあえず、今日はおっぱいさんと組むか。


「じゃあ、やりましょう。どうせスケルトンを狩るだけですし」

「君、レベルいくつ?」


 レベルくらいなら言ってもいいか……


「7ですね」

「初心者だねー。もっとレベルの高いところに行ったらすぐに上がるよ」


 わかってはいるんだけど、金は別の方法で稼げるから無理をする気がないんだよなー。

 ナナポンもいるし。


「とりあえず、スケルトンを100体ほど狩れって言われてます。そうしたらDランクにしてくれるそうなんで」

「へー……カエデ? サツキ姉さん?」

「かわいい方です」

「かわいい? じゃあ、カエデか…………」


 サツキ姉さんにチクっとこ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

~漫画~
廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 1 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【販売中】
~漫画~
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(1)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(2)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(3)

~書籍~
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(1)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(2)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(3)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(4)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
中盤の 「それはわかります。ですが、俺は会ったこともないですよ?」 「それは嘘だ。君の話しぶりはどう考えても知り合いのそれだった」  いや、まあ、自分ですからね…… 嘘じゃないですよね。 沖田の時は…
[一言] 人としてどうかと思うけどクズぽんに比べるとマトモに見える不思議
[良い点] 普段はフラフラのぷらんぷらんなのに剣術の事になるとピンピンのギランギランになるのスッキ(IQ3)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ