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地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~  作者: 出雲大吉
第3章

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第065話 女言葉に違和感がなくなってきた今日この頃


 サツキさんとの話が終わった俺はナナポンと共にダイアナ鉱山へとやってきた。

 もちろん、ナナポンを先に行かせて、俺が後から行くという形だ。


 ナナポンがフロンティアに向かった10分後くらいに俺がゲートを抜けると、すぐ横にナナポンが立って待っていた。


「あら? 座って待っていても良かったのに」


 ナナポンはいつも小屋の前のテーブルに座って待っている。

 それなのに今日はゲートのそばだ。


「いえ、あれ……」


 ナナポンが小屋の方を見る。

 俺も釣られて見ると、小屋の前には自衛隊の迷彩服を着た男の人が立っていた。


「サツキさんが言っていた常駐の見回りね」

「だと思います」


 だからナナポンはここで待っていたんだ。


「あなた、そんなに男の人が嫌?」


 自衛隊じゃん。


「あのー、私、そんなに男の人が苦手ってわけじゃないですよ? でも、こんな薄暗い場所で男性と2人きりは嫌です。女性なら誰でもそう思います」


 確かにそうかもしれない。

 俺はこんな姿をしているが、男だからわからない。


「そうかもね」

「エレノアさんは襲われても首を刎ねてやるぜって思うでしょうが、私はそんな戦闘能力はありません。ましてや、明らかに私より強そうですしね」


 首を刎ねるかは置いておいても、確かに俺なら問題ない。


「あの程度ならどうとでもなるけど、魔法使いのナナカさんは厳しいわね」

「でしょ?」

「あなた、今度から先に来てもギルドで待ってなさい。私が先に行っておくわ」


 ナナポンを1人でフロンティアに行かすのは危ないだろう。

 ナナポンは透視があるかもしれないが、すべてを避けられるわけではない。


 フロンティアは夢と希望の世界かもしれないが、犠牲者も少なくないのだ。

 敵はモンスターだけではない。

 人もだろう。


「そうします」

「大丈夫、私と2人なら問題ないわ」

「あのー、実際、エレノアさんってどのくらい強いんですか?」


 ナナポンが聞いてくる。


「さあ? スキルや魔法があるからね…………ちょっとわかんない。単純な剣でいいならハリーだろうがクレアだろうが三枝さんだろうが相手じゃないわね」


 クレアの暗殺術とハリーのユニークスキルがちょっと怖いけど……


「その辺がいまいちわからないんですよね。エレノアさん、全部一撃ですもん」

「あなただってそうでしょ。ハイドスケルトンとスケルトンとしかやってないし」


 いくらモンスターでも動きの遅い骨には負けない。

 まあ、だからこそ、初心者御用達なんだろうけど。


「私は魔法ですしねー。剣とか教えてくれません?」


 ナナポンが剣術?


「あなたは無理。才能がない」

「がーん」

「落ち込まなくてもいいわよ。カエデちゃんもないしね……というか、普通はない」

「才能って何です?」


 ナナポンはよくわかってないようで聞いてくる。


「剣道と剣術は違う。あなたは人を斬れない。スケルトンはいけると思うけどね」


 人を斬れない者が剣など持っても無駄。

 自分が傷つくだけ。


「私には斬れませんか?」

「無理。諦めなさい。まあ、大丈夫よ。あなたには魔法があるし、私がいる。使えるものがあるなら使えばいい。自分がやれることをやりなさい」

「…………例えばですが、人を斬れない上司が部下に人を斬るように命じたらどう思います?」


 ん?

 こいつ、俺を部下扱いする気か?

 弟子のくせに。


「どこの世界に自分から敵を斬りにいく王様がいるのよ。何のための兵? 何のための騎士? 上はどーんと構えて、指示をしておけばいいの」

「そうですか…………」

「なーに? あなた、私と組むのをやめて、どっかのパーティーリーダーにでもなる気?」


 こらこら、裏切るんじゃない。

 サツキさんが許さないぞ。


「そんなつもりはないですよ。単純な疑問です」

「ふーん、まあいいけど…………じゃあ、行きましょうか」

「はい!」


 俺とナナポンは鉱山に向けて歩いていき、途中、すれ違った自衛隊の人に会釈をすると、鉱山の中に入っていった。


 鉱山に入ると、ナナポンが火魔法でたいまつを作り、俺はカバンからカンテラを取り出し、電源を付ける。

 周囲が明るくなり、準備を終えると、いつものハイドスケルトン狩りが始まった。


 最初は鉱山の中が暗いことや敵が見えないことで疲れが多かったが、さすがに慣れてきたため、そんなに疲れずにハイドスケルトンを狩っていく。

 そして、俺が10体目のスケルトンを倒したところでステータスカードを取り出し、確認してみた。




----------------------

名前 エレノア・オーシャン

レベル7

ジョブ 剣士

スキル

 ≪剣術lv6≫

 ≪話術lv1≫

☆≪錬金術≫

----------------------

レベル7

  回復ポーションlv1、性転換ポーション

眠り薬、純水

  翻訳ポーション、アイテム袋

透明化ポーション、鑑定メガネ、鑑定コンタクト

回復ポーションlv2、強化ポーション(力)

強化ポーション(速)、強化ポーション(防)

----------------------




「レベルが上がったわね……」


 俺はステータスカードを見て、ポツリとつぶやく。


「え? ホントです? 7になりました?」

「ええ。まずだけど、スキルが生えた」

「おー! すごい! 首切りですか?」


 それ、介錯する人が生えてきそうなスキルだな。


「いや、話術。話が上手くなるみたい」

「あー……エレノアさんが嘘ばっかりついてたからですかね?」

「嘘というか、誤魔化しでしょうね。まあ、スキルが生えたことを喜びましょう」


 念願だった新しいスキルだ。

 戦闘用ではないが、嬉しい。

 だが、問題はこれではない。


「新しいレシピは?」

「それね。3つも増えたわ」

「3つですか!? すごい!」

「まあ、確かに3つなんだけど、実質1つの種類だと思う。強化ポーションっていうやつ。力と速さと防御力の3種類ね。ドーピングアイテムって思っていいわ」


 これ、どうしよう……?


「それは……売れそうですね」


 売れるか売れないかで言ったら間違いなく売れるだろう。


「自分達の首を絞めることにならない?」

「敵と言っていいのかはわかりませんが、他のライバル達に使われたら嫌ですね。効果時間はあります?」

「1時間ね。かなり短いけど、戦闘って考えれば十分でしょう」

「本当にドーピングですね。冒険者だけでなく、軍とかスポーツ選手も欲しがりそうです」


 軍やスポーツ選手はまだいい。

 俺とは関係ないし。


 問題は町の不良ややーさんなどの犯罪組織も欲しがりそうなところだ。

 需要が大きいため、間違いなく売れるが、さすがに売れない。

 ないと思うが、もし、これを使われて、カエデちゃんやナナポンが襲われたら嫌だし。


「これは個人で使うわ。売らない」

「ですか……まあ、それが良いでしょうね」


 えっと、材料は…………強化ポーション(力)が純水とキラキラ草、強化ポーション(速)が純水とサラサラ草、強化ポーション(防)が純水とフワフワ草ね。


 …………舐めてんの?


「ナナカさん、キラキラ草とサラサラ草とフワフワ草って知ってる?」

「はい?」


 ナナポンが『何を言ってんだ、こいつ?』という目で見てくる。


「いや、それが材料らしい。そんなふざけた名前の草は地球にはないわよね?」

「だと思います。少なくとも、聞いたことはありません」


 だよねー。

 そうなると、フロンティアにあるかもしれない。

 俺は鑑定メガネとコンタクトを持っているし、探してみるか。


「鉱山にはないだろうし、エデンの森かクーナー遺跡に行って探してみようかな……もし、出来たらナナカさんにもあげるわ」

「いいんです?」

「むしろ、あなたのためね。力はいらないけど、速さと防御力は万が一に備えてあった方がいいし。まあ、どれくらい上昇するかがまだわからないからまずは作ってみてからね」


 ほんの少し上がったぐらいだったらナナポン程度では誤差だろう。

 まあ、それでも、ないよりかはいい。


「わかりました。まずは作ってみて、ですね」

「そうね。じゃあ、再開しましょう。こうなったらレベルが上がるのが楽しみになってきたわ」

「ですねー。単純に強くなれますし、エレノアさんはレシピが増えるからワクワクが大きいです」


 ホント、それ。

 早く、最後の鍵を作れるようになりたい。


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[一言] 最近の主人公、悪意も見せず息をするように執拗に異性の同居人の部屋の鍵を開けようとする辺り、ただの変態か犯罪者の思考なんだけど、いままで要所要所で鋭い洞察力とか見せたりするし、ナナポンにも読者…
[一言] 自分の手で生き物を殺せるかと言われたら無理 でしょうねぇ。若い時弓やクロスボウ等に憧れた けど、矢が獲物に刺さるのを見た時にダメだと 思いましたもの。最後のカギなんて、まだ沖田君 には分らぬ…
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