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ラテリアちゃんはチュートリアルちゅう?  作者: 篠原 篠
グランド・フェスティバル予選
118/119

15


 早急に種目のエントリーを行わなければならない。


 イトナとテトは黎明との事が済んだ後、足早にパレンテホールに向かっている途中だった。


「なんか、すまなかった」


 と、テトは隣で軽く頭を傾けた。

 行きとは大きく違う様子だ。

 ずっと飄々としていたと思ったら、今はテトの顔が少しばかり強張っている。

 まぁ、あれくらい空気が悪ければ、ちょっと鈍感なテトでも気になるか。


 あ、いや、まさか、今になってやっぱり黎明に戻るなんて言い出すんじゃないだろうか。

 それは勘弁してほしい。

 今回こんなにも傷を負ったんだ。

 心の傷だ。

 なのに、やっぱ無しは辛いものがある。


「俺、ずっと前からパレンテに入りたいから、ギルドを抜けるって言ってたんだ。四年前からずっとな」


 なにやらテトがぽつりぽつりと語り始める。

 どうやら、黎明に戻りたいってわけではないようだ。


「でも、ずっと止められてきた。イトナにも当分パレンテで活動しないって言われてたからさ。とりあえず、黎明にいたんだ。他に行くあても無かったし、黎明が嫌いなわけでもなかったしな。

 それで、気づいたらギルドマスターになってた。

 いずれはパレンテに行くつもりだったし、断ったけど、皆んながどうしてもやって欲しいって、なにもしなくていいからやって欲しいって言われて、とりあえずなっといたんだ」


 それはイトナの知らない話だった。

 テトのことだから、その辺適当適当だと思っていた。けど、重要な場面ではギルドを抜けるって話をちゃんとしていたんだ。

 まぁ、とりあえずギルドマスターになっちゃうところはテトらしいけど。


「俺はさ。黎明を抜ける前提でも、とりあえずギルドマスターになっても、精一杯やっていたつもりだった。

 それが……ダメだったのかな。いざ抜けるってなったら、こうだ。こうならないように、していたつもりだったのにな。

 前から抜けるって言っていたから、綺麗に抜けれるって思ってた。でも、こうなっちまった」


 テトが楽観的だった理由がわかったような気がしたい。

 つまり、テトはテトなりに準備をしていたつもりだったんだ。

 でも、実際は言い争いになってしまった。

 結果的にテトの脱退は綺麗なものではなかった。


「これは……難しい問題だね。今回ばかりはしょうがなかったよ」

「それでも、イトナに嫌な思いさせた。すまん」


 改めてテトが頭を下げる。


「俺、なんも言えなかった。言わない方がいいと思ったんだ。俺が前から抜けるって言ってただろつっても、逆効果かなって」

「それは……正解だったかもね」


 テトが反発して、テトが裏切り者と悪者になってもしょうがない。

 どうせ悪い方向に転ぶなら、傷は、嫌われるのは少ない方がいい。イトナ一人で十分だ。

 ほんと、人間関係は難しくて苦手だ。


「……少しでも謝りたい気持ちがあるなら、少し頼まれてくれないかな」

「なんだよいきなり。同じギルメンだろ。そんなの無くてもなんでも言えよ」


 そのテトの言葉には、申し訳なさとか、後ろめたさとか、そんなのは無かった。

 悪い意味ではない。

 テトはいい奴だ。

 だから、そんな条件無しでもなんでも頼れと、頼もしさがあった。


「もしも、もしもの話だけどさ。パレンテが予選で落ちて、黎明が代表になったら、もう一度、黎明に戻ってくれないかな」

「おい。それじゃまるで……」

「まぁ、ちょっと最後まで聞いてよ」


 イトナは人付き合いが苦手な方だ。

 それでもわかる。

 さっきの黎明との終わり方は最悪だ。

 黎明はあれで納得しているわけがないだろう。


 もし、可能であれば、今できてしまった黎明との溝は少しでも埋めておきたい。


「今回はタイミングが悪かった。本当に、タイミングがね。

 きっと、前もって話していればもっと綺麗だったんだと思う」

「だから、前から俺は言っていたぞ?」

「いや、そういうことじゃ無くて……。んー、いきなり、今すぐにってのがダメだったんだ。しかも、グランド・フェスティバル直前なんだから、そりゃ……怒るよ」

「まぁ、そうか。そうだな」


 深く頷くテトに、イトナは言葉を繋げる。


「でも、もっと前に、このタイミングで抜けるって話をしていれば違っていたと思う。テトがいない前提で準備を進められていただろうしね」

「そうかもな」


 テトに前提を理解を確認したところで、本題に入る。


「もう過ぎたことはどうしようもできないけどさ、なんとかいい関係でいたいんだよ。黎明とは」

「んだな。友達は多い方がいいに決まっているよな」


 いつになくうんうんと頷くテト。


「その為には誠意を見せなきゃいけないと思うんだよ」

「誠意?」

「そう。今回は一方的にテトを取っちゃったけどさ、アイシャ達の思いも汲みたいって意思を伝えたいんだ」


 全部イトナの思い通りってなると、黎明からしてみれば面白くない。

 だから、全て、100パーセントお互いがいいと思える方法が見つからないのなら、10:0ではなく、5:5とお互いに譲り合う必要があるんだと思う。


 その線引きが重要だ。

 物事、そんな5:5と平等にできるよう都合よく出来ていない。ものによっては、2:8、1:9にだって偏る事だってある。

 それでも、なにより相手の想いを汲み取るポーズが重要なのだ。


「それで、さっきのか? でもよ。それじゃまるで俺が勝った方の都合のいいギルドで代表になるようなもんじゃん」

「まぁ……他から見ればそうなるかもね」


 世間の目はあまり良くないだろう。

 まぁ、でもテトは人気者だ。そんな悪い印象にはならないんじゃないかな。ってのはちょっと楽観的だろうか。


「……ま、イトナにはパレンテに入る為に嫌な役を買ってもらったから、次は俺だな。

 いいぜ。もし、負けたらだけどな」


 テトは笑って承諾してくれた。

 負けることは万に一つないような顔だ。


 実際、今のパレンテは予選だけで見ればかなりの確率で優勝できると考えている。

 予選は決勝トーナメントにさえ進めば、決勝以外は個人の戦いだ。

 三回試合して二回勝てばいい。

 ホワイトアイランドで1on1最強と思われるテトがパレンテにいるのだから、テトとイトナで二つ勝ち星を取っていけばいい。


 うん。安定している。

 決勝は……イトナ1人で勝っても仕方ないから、サポートに徹するつもりだ。

 さっきの黎明みたいに1人で暴れて勝っても仕方ないからね。

 もっとも、ナナオとの用が済んだ後は、イトナが試合に出るつもりはないから、その状態で勝ち上がれればの話だが。


 それよりも、懸念があるとすれば今回の目的であるナナオ騎士団とのマッチングだろうか。

 きっと、ナナオのことだから予選は勝ち上がってくるだろう。


 気にしているのは決勝トーナメントで、パレンテと当たる前に負けたり、もしくは決勝で当たる可能性だ。

 トーナメントだから、山が違えば当たるのは決勝。つまり、お互いに負けなくても50%の確立で、決勝で当たる事になってしまう。


 決勝では意味がない。

 決勝だとパーティ戦になるから、八雲対玉藻の2人きりにする目的が達成できないからだ。


 こればかりは、トーナメント表でパレンテとナナオが同じ山になるよう願うしかない。


 それはそれとして、

 ひとまずは予選の予選だ。

 これを抜けない事には何も始まらない。



÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷



 パレンテホールに戻ると、顔を真っ赤にしたノノアが声を荒げていた。


「なによこの猫! 私はね、プレイヤー様なのよ!?」


 なぜかプレイヤー様のノノアさんはマジ怒りのご様子だ。テーブルの上にいるディア相手に。

 ディアの方はいつもの眠そうな目で、ノノアをジッと見上げている。


「どうしたの?」

「イトナくん。ノノアちゃん凄いんですよ。モンスターとお話が出来るみたいなんです」


 へー。それは凄い。

 稀にいるのだ。モンスターの意思を読み取れるパッシブスキルを取得できるプレイヤーが。

 ひと昔にイトナも頑張ってみたけど、無理だった類のスキルだ。


「それで、ディアが何か言ったの?」

「それがどうもですね……」

「どうもこうもないわよ! この猫、私に新人なんだから差し入れの魚の一つでも買ってこれないのかって言ってきたの! 生意気! 誰が躾してるのよ!」


 どうやら、ノノアはディアに見下された事に腹を立てているらしい。

 前からディアの態度はでかいなとは思っていたけど、まさか口まで悪いとは。

 誰が躾かって?

 そりゃセイナだよ。この口の悪さもセイナ譲りな部分もありそうだ。

 まぁ、口には出さないけど。


「いちいち猫に腹を立てるんじゃないわよ。子供じゃないんだから」

「子供よ! ぴちぴちの小学生よ!」

「ぴちぴちって……」


 イトナの世界では死語だったけど、この世界ではナウな言葉なのだろうか。


「そんな事より、そっちはどうだったの?」


 セイナは怒るノノアを軽くあしらい、イトナとテトの方を向いた。


「上手くやれたかは微妙だけど、とりあえずテトは大丈夫だよ。うちに入れる」

「おうよ!」


 後ろでテトも親指を立てる。


「そう。時間がないからさっさとエントリーを済ませるわよ」


 そうセイナが言って、ラテリアに目を配る。


「本当に入れるんですね……」


 めちゃくちゃ嫌そうな顔をしながら、汚いものを触るような手つきでウィンドウを操作する。

 そして、ログにテト加入の文字が出てきた。

 既にノノアと八雲の加入は済ませてある。

 何はともあれ、駆け足ではあったが、なんとか人数は揃った。


 しかし、バランスは前のパレンテと比べて、後衛に偏っているか。

 前は前衛2、後衛2にイトナがどっちもって感じだった。

 今のメンバーだと、前衛1、後衛3になる。

 女の子が多いからな。大抵の女の子は後衛になる印象だ。

 テトの負担が大きそうだけど、今回は予選で個人戦メインだし、とりあえずは問題ないか。


「じゃ、早速誰がどの種目にエントリーするか決めようか」



÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷−÷



 打ち合わせが始まった。


 記念すべき、新パレンテ第一回の打ち合わせ。

 進行はセイナ。

 書記はラテリアの分担だ。


「それじゃ、誰がどの種目に出るか決めていくわよ」


 セイナの宣言に、テトが拍手して、周りがそれに釣られてパチパチと拍手する。

 バラバラな拍手だ。

 少ない人数だとこんなものか。


「先に言っておくけど、勝ちに行くからには適材適所で選ぶから。好き嫌いはしないように」


 セイナが最初にクギを刺す。

 というのも、子供だけの世界という事もあって、予選の競技によっては楽しそうなアトラクションみたいなものもあるからだ。


「じゃ、各競技の説明をしていくから、自信がある人は立候補。または推薦で名前を上げてちょうだい」


 それから競技の概要が説明が行われた。



 第一競技、バベル。

 天を貫く|無限に続く塔のダンジョン(バベル)へ挑戦し、到達した階層数を競う競技。


 階層毎にモンスターが配置されており、全てのモンスターを撃破することで次の階層へ進む階段が出現する。

 階層を登れば登るほどモンスターが強くなり、難易度が上がっていく。

 競技はHPが0になるか、リタイアしたところで終了となる。

 HPが0になって競技を終了した場合、到達階層数−5の数値が記録となり、リタイアで競技を終了した場合は到達階層数が記録となる。

 アイテムの持ち込みは不可。

 競技直前に付与されたバフ及びデバフ効果はリセットされる。


 なかなか面白そうな競技だ。

 簡単に言えば、特別ダンジョンでどこまで奥まで攻略できるかって事だ。

 細かいところを気にするとすれば、到達階層って単語だろうか。

 攻略完了した階層ではなく、到達した階層だ。

 限界に感じても、取り敢えず上の階層に登ってからリタイアがいいのだろう。

 一つの階層でも順位は変わってくる。重要だ。

 あとはリタイアタイミングってところか。


「対モンスター戦が得意なプレイヤーが望ましい競技……ですね」

「じゃあ、前衛の方が安定するわね! 後衛だと事故が起きるかもしれないもの」


 八雲とノノアが発言する。

 言っていることは間違いない。一回きりの挑戦だ。安定してスコアを少しでも伸ばせる人を選んだ方がいいだろう。


「これはテトね!」


 ノノアが自信満々にテトを推薦した。

 まぁ、安定だね。

 テトなら安定した記録を残せるだろう。


「イトナくんもいいと思います」


 ラテリアも控えめに手を上げて発言する。


「……そうね。じゃ、とりあえず2人の名前を書いてちょうだい」


 書記担当のラテリアがホワイトボードウィンドウに競技名とテトとイトナの名前を可愛い丸文字で書いていく。

 コールもそうだったけど、女の子が書く文字は何故か可愛い感じになる。女の子はみんなそういう書き方を練習しているのだろうか。


 しかし、最初の競技で候補に上がったのがイトナとテトか……。嫌な予感がする。



 第二競技、キューブ

 宙に浮く20m四方のリングの上で、4人のプレイヤーが戦闘を行う競技。

 HPが0及び、場外に落下した時点でゲームオーバーとなり、下位から順位が確定する。

 リング場に2人以下のプレイヤーとなった時点で、他のリングの勝者2人または1人と合流する。

 アイテムの持ち込みは不可。

 競技直前に付与されたバフ及びデバフ効果はリセットされる。


 この競技の注目すべきところは場外に落下したら負けといったところだろう。

 強い事に越した事はないけど、場外に脅されれば負けになる。逆を言えば、上手く落とすことができれば格上に勝てるって事だ。

 それに、1on1ではなく、4人でのサバイバル戦。有名どころのプレイヤーが混ざれば、3対1にもなり兼ねない。

 考えなしに対人戦が得意なプレイヤーをエントリーするにも、一考が必要だと思うけど……。


「これは対人戦が得意なプレイヤーね。対人戦と言ったら当然テトよ!」

「イトナくんも強いですよ」

「そうね! イトナも強いわ!」


 当然のように2人の名前が上がる。

 まぁ、間違ってはいないから今はまだ何も言わないけどね。

 これで決定ってわけじゃないし。


 そんなわけで、第二競技もイトナとテトの名前が書かれる。


「……次、行くわよ」



 第三競技、アイランド・オリエンテーリング

 ホワイトアイランド各地に設置された各8箇所に設けられた中継ポイントを通過し、スタート地点に戻ったタイムを競う競技。

 エントリープレイヤー同士の妨害が許される。

 レース中にHPが0になった場合、中継ポイントをランダムで一つリセットして、スタート地点からリスタートする。

 レース中は街への侵入は不可。

 アイテムの持ち込みは不可。

 競技直前に付与されたバフ及びデバフ効果はリセットされる。


 段々、ルールが複雑な競技になってきたな。

 つまりは妨害ありのオリエンテーリングってことだ。


「中継ポイントは?」

「スタートと同時にエントリープレイヤーにクエストとして配布されるみたい」


 成る程。となると、事前の準備は限られそうだ。

 中継ポイントを見て、どの順番で回るのが効率的で安全か自分で考えられる。そして、移動が速いプレイヤーが有利か。


「速さならイトナくんですね!」

「妨害ありなら対人戦も重要ではないでしょうか」

「じゃあテトね!」


 これでノノアのテト推し、ラテリアのイトナ推しが3回続いた。

 気持ちは分からなくもない。

 どんな競技でも、結局は強いプレイヤーが出た方が有利なんだ。だから強いプレイヤーが推薦されるんだろうけど……。


「あなた達ね。イトナテトイトナテトって言うのは良いけど、エントリーは1人1競技なの。そこのところ理解しているの?」


 遂にセイナが呆れて言う。

 まぁ、そうなるよね。


「そうですけど、私は1人じゃ対人戦もモンスター戦も自信が……」


 人差し指同士をツンツンさせながら、ラテリアは自信なさげに言う。

 ラテリアは未だ自分に自信が持てないのだろう。

 レベルも実績も、今のギルドメンバーの面子と比べれば、気後れしてしまうのもわかる。


「そうよ! だいたい、さっきから前衛向きの競技ばかりじゃない!」

「そうかしら。私はそう思わないけど」

「それはセイナがNPCでよく分かってないからよ!」


 ノノアがセイナに噛み付くように反論する。

 うーん。主張が強い二人はちょっと相性が悪いのかもしれない。


「まぁまぁ。取り敢えず全部聞いてから、その中で一番いけそうな競技を選べばいいよ」

「そう、ですね」

「そうね。全部聞いてから決めた方が選びやすいもの!」


 ラテリアが自信なさげに頷く。

 ノノアもセイナからふんっとそっぽを向いて頷いてくれた。


「とにかく、推薦よりも自分がより良い成績が残せる競技を探しなさい。どれかには出ないと行けないんだから」

「はい」

「わかってるわよ!」


 それから、セイナが残りの競技の概要を読み上げてくれた。



 第四競技、ワンヒット・ワンダー

 物理、魔法を問わない瞬間火力を対象のオブジェクトへ与えた、一撃による最大ダメージを競う競技。

 制限時間は3分。

 時間内であれば、事前準備としてのスキル及び、アイテムの使用が許される。

 攻撃対象は地上から1mに浮く直径50cmの球体。

 この球体には防御力及び、属性耐性等のダメージに関係するステータスは0となってなっている。

 また、この球体は破壊不能オブジェクトとなっており、切断及び、粉砕等の破壊によるボーナスダメージは無いとする。

 アイテムの持ち込みは可。

 競技直前に付与されたバフ及びデバフ効果はリセットされる。


 ここでノノア待望の後衛向きの競技が来た。

 一見地味だけど、事前の準備としてかなりの吟味が必要になりそうだ。


 制限時間の3分間はどんなドーピングをしてもいい。

 そうなると、火力に優れている魔法と協力なバフが使えるプレイヤーが有利になると見える。

 後はアイテムの持ち込みが可ってところだ。これはパレンテにとっては嬉しい条件になる。セイナの薬が光るかもしれない。



 第五競技、ルーラー・オン・ザ・ボード

 エントリーしたギルド代表パーティ6人のクラスを模した駒を使用したボードゲームで競う競技。

 ギルドマスターの駒が除外された時点で敗北となる。

 駒にはステータスが設けられており、HPが0になる事で、盤上から除外される。

 各駒に100のステータスを好きに割り振ることができる。

 また、各駒の主となるプレイヤーが取得しているスキルを5つまで駒に取得させることができる。スキルの効果はルーラー・オン・ザ・ボードに適されたものに変わる。

 グランドフェスティバル予選当日までに、ステータスとスキルを確定し、試合開始後の変更はできないものとする。

 試合は4人で行われ、マスターの駒を取られた順番で順位が決定する。

 上位者から、0敗、1敗、2敗、3敗とルーザーポイントを獲得する。

 決定後、他の同ポイントのプレイヤーと試合を行う。これを総合値1位が確定するまで行う。

 総合値1位が確定時、ルーザーポイント、取られた駒の総数、総試合の与えたダメージ、与えられたダメージの優先度によって、他のプレイヤーの順位を確定する。

 念話等による外部との連絡は禁止とする。


 ボードゲーム枠。

 チェスみたいなものだろうか。

 この類の競技は複雑過ぎて、なにをすれば強いか見極めるセンスが必要になってくる。


 まぁ、これは自動的にセイナが担当することになる競技だ。

 普通なら一番頭を悩ませる競技だけど、セイナに任せておけば問題ないだろう。



 第六競技、トイ・ガーデン

 特設フィールドで制限時間30分間、エントリープレイヤー同士がハチマキを奪い合い、最終的に所持するハチマキの数を競う競技。

 支給されたハチマキを身体の任意の箇所に装備する。

 他のプレイヤーのハチマキに触れる、もしくはキルすることで、ハチマキを奪う事ができる。

 奪う事に成功し、複数のハチマキを所持した場合、最初に装備した同箇所に重なって装備される。

 複数のハチマキを所持するプレイヤーのハチマキに触れた場合、一つのハチマキを奪い合う事ができ、キルした場合は全てのハチマキを奪う事ができる。

 ハチマキには全ステータスに-1%のオプションが付与されている。

 HPが0になった場合、5分後にランダムの位置でリスタートする。

 最終順位は所持ハチマキ数、ハチマキの移動が発生した回数、移動した距離の優先度で高い順で決定する。


 ハチマキを奪い合う競技か。騎馬戦のようなものと考えていいのかな。

 しかし、ルールが複雑だ。

 今気づいだけど、この競技はアイテムの持ち込みが許されている。

 それだけで戦略は無限大だ。



 さて、これで全競技の説明が終わった。

 後は誰がどの競技をやるかだ。

 時間はあまりない。

 素早く決めてしまおう。

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