第430話 ポーションの試し方
せっかくお貸し頂いたものだけど、ワープゲートは一旦触らないことに決めた。
次に気になるのは大量の魔力塊だけど、こちらも後で従魔たちと一緒に確認したい。
というわけで、ここでは開封せずに、購入してもらったものを改めて見てみることにした。
まずは錬金術師であるアデリナさんのお店で購入したポーションから。
「こっちが幸運のポーションで、こっちが激運のポーションですね。なかなか怪しい見た目をしています」
「お店では気づきませんでしたが、キラキラと輝いていたんですね。……一体何が入っているんでしょうか?」
シーラさんは幸運のポーションを手に取り、光にかざしながら確認していたけど、材料については見当もついていない様子。
アデリナさんも教えてくれなかったし、運が良くなる飲み物とか、冷静に考えたら胡散臭すぎるもんなぁ。
「幸運のポーションって、王都では売っていないんですか?」
「見たことありませんね。回復ポーションや魔力ポーションは売られていますが、変わった効果のポーションとして挙げていたポーションは、どれも初見でした」
「へー、そうなんですか。アデリナさんは若いから、色々なポーションに挑戦しているのかもしれませんね」
「それは大いにあると思います。錬金術師は修行期間が長い故に、メジャーなポーション以外は作れませんからね」
キラキラと輝くポーションを見ながら、そんな考察を立てた。
せっかくだし、この場で幸運のポーションを試してみたいところだけど……さすがに空打ちはもったいないよね。
王都に宝くじが売っているなら、試しに買いに行ってもいいかもしれない。
いやでも、宝くじの概念が存在しないかな?
「シーラさん、この世界には宝くじは存在しますか?」
「宝くじですか? くじは知っていますが、お宝のくじは聞いたことがありません」
「あー、お宝のくじではなく……くじに当たったらお金が貰える、みたいなものなんですが、知らないですよね?」
「すみませんが、聞いたことがないですね」
やはり存在していないか。
ちゃんとした機関がないと成立しないし、この世界では色々と難しいのかもしれない。
そうなると、幸運のポーションを試す場所が難しくなってしまった。
まぁ試す機会は追々探すとして……宝くじがこの世界に存在しないのなら、ここでやるのは意外と面白いかもしれない。
お金が絡む宝くじは難しいけど、『サトゥーイン』に宿泊してくれた方や、模擬戦などのイベントに参加してくれた方にくじをプレゼントし、冬前に当選発表会を開催。
イベントの1つになるし、再訪してくれるいい機会を生むことができる。
「――おーい。佐藤さん、大丈夫ですか?」
「あっ、大丈夫ですよ。何かありましたか?」
「いえ。黙り込んだと思ったら、ニヤニヤし始めたので心配になったんです」
「えっ? ……ニヤニヤしていましたか?」
「はい。ニヤァ、という感じでした」
これはまた恥ずかしいところを見せてしまった。
この間も指摘されたばかりだけど、もう無意識下だから自分ではどうしようもできない。
「すみません。完全に考え事をしていました。ごほん、気を取り直して……本を見ましょうか」
恥ずかしさを誤魔化すように幸運のポーションを置いておき、マシューさんから頂いた本を見ることにした。
人とは文化も生活も違う魔族の本のため、内容が非常に気になる。
「佐藤さん、ざっと見た内容はどうでしょうか?」
「基本的な内容は、ベルベットさんに見せてもらった、人間の英雄譚と似ていますね。戦う相手が人間の勇者なことぐらいでしょうか」
構成をそのままパクったのかと思うほど、内容が非常に酷似している。
まぁ英雄譚もほとんどが似たような感じだし、似通ってしまうのかもしれない。
「そうなんですか……。変わった切り口を期待していたので残念です」
「私も残念ではありますが、魔族の生活の内容や食べているものなんかは明確に違いますし、魔王の領土についても細かく描かれています。これは漫画の貴重な材料にはなると思いますよ」
「おおー! それなら譲って頂いた甲斐がありましたね」
「はい。すぐにベルベットさんにお渡ししたいです」
数の多かった人魔族にこだわらず、様々な種類の魔族の本を選んだのは大正解だった。
同じ魔族でも食べるものが違えば、暮らしている環境も違う。
この世界で生まれ、暮らしてきたベルベットさんと言えど、さすがに魔族の情報までは知り得ないと思うからね。
この本を読めば魔族のディティールも細かくなるし、私が見た魔族のことも教えてあげたい。
早いところ、王都に持っていってあげよう。





