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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第389話 武闘大会


 待ちに待った武闘大会の当日。

 早めにやって来たこともあり、今日までが長く感じるほどだった。


 まだ朝だというのに、街はお祭り騒ぎになっている。

 コロッセウムへ向かう人々が多く見られるため、私たちも早めに出発しないと、時間までに着けなくなるかもしれない。


 席の確保はできているものの、コロッセウムまでたどり着けなければ観戦できないからね。

 すぐにみんなに準備を促し、早めにコロッセウムへ向かうことにした。


 普通なら徒歩10分ほどの距離だけど、皆がコロッセウムに向かっていることもあり、到着までに30分以上かかってしまった。

 早めに出てこの時間。

 もう少し遅ければ大変なことになっていたと思う。


「ふぅー、やっと着いたわ。全然前に進めなくてイライラした」

「ベルベットさん、舌打ちしまくってましたもんね! 隣で僕、ずっとヒヤヒヤしていましたもん!」

「でも、開始前に着いて良かったですね。佐藤さんの判断に従って良かったです」

「滞在期間中に何度も訪れていたからこそ、私は早すぎると思っていたな。やはり佐藤は判断が正確だ」


 シーラさんとルーアさんに褒められ、つい鼻の穴をふくらませてしまう。

 会社を辞めてから、たまに行列のできるラーメン屋に通っていた経験が活きて良かった。


「いえいえ、心配性が良い方向に働いただけです」

「マスター。ライムとマッシュがいませんが、どうしたのですか?」

「ライムとマッシュは武闘大会に参加するので、前乗りしているんですよ」

「そうなのかい? 絶対に無理と言われていたのに、許可をもらえたのはすごいねえ」

「ちなみに佐藤さんが交渉したんですよ! 本当に何でもできますよね!」

「交渉なんてすごいものじゃないですよ。ガロさんが参加してくれるから、その代わりに許可してもらえただけです」


 そう。

 ライムとマッシュは、ガロさんの参加を条件に、武闘大会の飛び入り参加を特別に許可してもらえたのだ。


 ガロさんは参加しないと思っていただけに、あっさり参加すると言ったときは私も驚いた。

 どうやらアールジャックさんのことが気になっていて、実際に手合わせしたくなったらしい。


 支配人さんにも散々煽られ、スピンさんからも面と向かってアールジャックさんのほうが強いと言われていたからね。

 プライド的に、参加へ気持ちが傾いた理由も分かる。


「でも、魔物が参加しても大丈夫なのかい? 私たちはライムとマッシュが温厚で安全なのを知っているけど、他の人は違うだろう?」

「ライムとマッシュには細かなルールが定められていまして、破った時点で失格になるようです。模擬戦大会のように自由には戦えないってことですね」


 武闘大会では魔法の使用も禁じられているため、ライムとマッシュも魔法は使えない。

 そのうえ、魔物特有の能力の使用も制限されている。


 マッシュでいえば胞子。

 ライムの場合は、分裂や発光が禁止行為となっている。


「かなり厳しい戦いになりそうですよね。特にマッシュは大丈夫なのでしょうか?」

「魔法も胞子も使えないとなると、1回勝つのも難しいと思います。ライムはバネのような攻撃は使えますし、あのぷよぷよボディは有利ですから」

「僕は悪さをされないかも心配ですね! 魔物ですから、闘士の方からも変な目で見られますよね?」

「その点は心配いらないと思いますよ。ガロさんもいますし、コロッセウムを案内してくれたスピンさんも任せてくれと言ってくれましたので」


 ガロさんが参加する旨を支配人さんに伝えに行ったとき、再びスピンさんに会えた。

 すでに私がガロさんの知り合いだと分かってくれていたので優しく接してくれ、そのときに頼んでおいたのだ。

 だから、今も楽しくやっていると思う。


「それなら良かったです! 純粋にライムとマッシュの応援ができますね!」

「はい。楽しんでいいと思います」


 私は怪我をしないかが一番心配なんだけど、その点は大丈夫だと信じることにした。

 ……いや、やっぱりマッシュだけは少し心配。


 怪我だけはしないよう祈りながら、コロッセウム内を進んで私たちの席へ向かった。

 ちなみに席なのだが、コロッセウム最上階の来賓席を支配人さんが用意してくれた。


 ガロさん参戦へのお礼ということで、いちばん見やすい席での観戦。

 熱気を感じたいなら最前列がいいんだけど、私は見やすさ重視だから本当にありがたい。


 宿泊場所はマニエルさんに用意してもらい、武闘大会の席は支配人さんに用意してもらった。

 ギナワノスに来てから、まともにお金を使っていないので、これで本当にいいのかと逆に心配になってくる。



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