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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第380話 規格外


 ガロさんのゾーンからは、装備品に加えて銅像まで建てられていた。

 どうやら売却ではなく寄付をしたらしく、そのお礼として銅像が置かれているようだ。


 他の方の装備品には一応値段がついていたけれど、ガロさんのものは全て非売品。

 まあ、ほかの方の装備品も実質非売品みたいな額だけどね。


「やはりガロさんってすごい方だったんですね。このあたりなんか、装備に傷が一つもついていませんよ」

「無傷での優勝ってことですよね。酔っ払った状態であの動きでしたし、シラフで若い頃なら無傷で優勝していても驚きはないです」

「ちょくちょく話は聞いていたけど、このガロって人と二人は知り合いなの?」


 少し拗ねた様子でそう尋ねてきたベルベットさん。

 ベルベットさんとガロさんは面識がないことを失念していて、私たちだけで盛り上がってしまったのは申し訳ない。


「はい。この間開催したお酒のイベントに来てくれたんですよ」

「ベルベット様は、ジョルジュさんはご存じですよね?」

「ええ。お酒を作っているおじいさんよね」

「そのジョルジュさんの幼なじみでもあって、仲良くなったんです」

「そんなことがあったのね。偶然とはいえ、武闘大会の優勝者と知り合いってすごいわね」


 もしギナワノスに来る予定があるのなら、案内してもらう約束も取り付けている。

 行けたら行く――くらいのテンション感だったため、来ない可能性のほうが高いと思うけど。


「もし会う機会があったら紹介しますね。本当に武の達人って感じの方ですので、ベルベットさんも驚くと思いますよ」

「へえー。そんなにすごい人なら、ぜひ会ってみたい」


 ガロさんの話をしながら店内をさらに移動していくと……

 またしても見知った名前を発見した。


「あれ? このフリースさんって、あのフリースさんですかね?」

「あー、模擬戦大会に出場してた人? でも、ベスト12どまりじゃなかった? 私は別人だと思うけど」

「えーっと、フリース・ギルジアス・アレクサンダー。……これ、フリースさんで間違いありません。私、模擬戦大会の登録名簿で確認しました」


 まさかの5年前の大会で優勝していたフリースさん。

 そういえば初めて会ったときに剣聖と言っていたし、観客からの人気もすさまじかったもんね。


 私はライムにやられている印象しかないけど、経歴や人気を考えれば優勝していてもおかしくない……のか。

 でも、フリースさんが優勝できるのであれば、ライムが出場できればチャンスはあると思ってしまう。


「じゃあ、あのフリースでも優勝できるってこと? 確かに強い人ではあったけど、抜けて強いわけではなかったよね?」

「思っている以上に、私たちの周りの方々が強いのかもしれません」


 この件については、前々から言われていたこと。

 ドニーさんも、ほかの大会に出れば無双できるって話だったからね。

 まあドニーさんは私たちの周りの中でも抜けて強い感はあるけど、それでも優勝できないことにレベルの高さを感じる。


「途端にすごくなさそうに思えてきちゃった」

「そんなことはないですよ。フリースさんがすごい人だったってだけです」


 とんでもないことを口走ったベルベットさんをいさめつつ、ようやく最後の展示エリアへとたどり着いた。

 展示されているのは、現・絶対王者であるアールジャックさんの装備品。


「うっわ! なにこれ、すごい」

「本当にすごいですね。全てが大きいです」


 展示されている装備品は、すべて規格外のサイズ。

 ブラック=ラックさん以前の方々の装備も大きかったけど、アールジャックさんの装備はもう一回り大きい。


「この小手から考えますと、腕の太さが私のウエストと同じくらいありそうです。これは……絶対王者と呼ばれているのも頷けますね」

「確かに。フリースであまりすごくなさそうと思ったけど、アールジャックって人はすごそう」

「私も俄然楽しみになってきました。ワクワクする、いいお店でしたね」


 シーラさんの感想に全面同意しつつ、私たちは『レガースキッド』を後にした。

 ガロさんの優勝回数、意外なフリースさんの優勝経験の発覚。


 最後のアールジャックさんの規格外の大きさにも驚かされたし、来週始まる武闘大会がすごく楽しみになった。

 願わくばライムたちの出場もかなってくれれば、より熱が入るんだけど……まあ、難しいとは思っている。


「銀貨1枚で見学できるなら、そりゃ行列になっていてもおかしくないわね。私も出場してみたくなったし。シーラは飛び入り参加しないの?」

「はい。今回は旅行気分ですので、参加はしたくないですね。ゆっくり楽しみたいと思います」

「……それもそうね。わざわざ自分たちが戦う意味はないか。私は自信消失気味だから、何か小さな大会でもいいから出てみたいとは思ってるんだけどね。身分のせいで出られないのがもどかしい」


 ベルベットさんの切実なぼやきを聞きながら、次の店へと向かうことにした。

 大会では結果を残せていないけど、ベルベットさんも相当な実力者だからね。


 勇姿を見たいだけに、どこかの大会に出てほしい気持ちはあるけど……

 王女様だから、難しいんだろうなぁ。



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