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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第303話 縁日の準備


 農作業を行いながら縁日の準備を進め、いよいよ縁日まであと3日となった。

 模擬戦大会の時と同様、サムさんは今日から前乗りしてくれており、本格的な設営作業が始まる予定だ。


「サムさん、わざわざ足を運んでくれてありがとうございます」

「仕事として引き受けたんだから当たり前さ。それよりも、大分準備が進んでいたみたいだね」

「屋台を大量に作成しただけです。どこにどう置くかは、サムさんに任せる予定です」

「それだけでも十分さ。屋台の設置や飾り付けは私たちに任せてくれ。花火に関しては色々と聞かせてもらうから、その時だけ時間をもらうよ」

「はい。何かあればいつでも呼んでください」


 私はサムさんとそうした会話を交わしてから、農作業に戻った。

 一方でサムさんは縁日の準備を進めてくれており、見る見るうちにお祭りらしい雰囲気が整っていく。


 今年は提灯も用意しているため、夜でも楽しむことができる。

 打ち上げ花火も予定しており、賑わいが見られれば嬉しい。


 準備初日は提灯の設置、2日目は屋台の設置と花火打ち上げ場所の設営を行った。

 花火は万一に備えて、山から流れる川の近くで打ち上げる。


「よし、これで大方の準備は整ったかな。明日から屋台を開く人たちが来るから、リハーサルを行って明後日の本番に備えようか」

「サムさん、お疲れ様でした。もう今日にでもお祭りを開催できそうな仕上がりですね」

「ふふふ、私もかなりの自信作だ。そういえば、佐藤さんたちも屋台を出すのかい?」

「はい。いくつか出店する予定です。屋台の空きはありますかね?」

「去年使っていた屋台は出していないし、まだまだ余裕がある。本番は楽しめないだろうから、私は明日のリハーサルを楽しませてもらうよ」

「ええ。実際に楽しんでもらって、何か改善点があれば教えてください」


 こうして明日のリハーサルは、サムさんやこの村の住人に向けて行うことになった。

 全力で楽しませ、必要であればブラッシュアップして明後日の本番に備える予定だ。


 どれくらいの人が来るのかは未知だが、模擬戦大会同様、サムさんが広告もしてくれるとのこと。

 さらにベルベットさんの計らいで、馬車の数も増やしてくれるらしいし、大勢のお客さんに備えて準備を整えたい。


 本音を言えば、宿の開業も間に合わせたかったが、建築はまだ途中。

 いきなり大人数のお客さんが来ると、ルチーアさんたちもパニックになるだろう。

 結果オーライとし、私は明日のリハーサルに備えて早めに眠ることにした。



 翌日。

 いつもより早く目を覚まし、農作業を全力で行って早めに終わらせる。


 昼過ぎには作業を終え、屋台の準備に取りかかった。

 すでにサムさんが呼んだ出店者たちが到着していた。


 一通り確認すると、食事系の屋台はなく、遊戯系のみが出店している。

 水風船すくい、水鉄砲射的、カタヌキなどのお祭りの定番から、紙相撲、ダーツ、パンチマシンといったマイナーなものまで揃っている。


 さらに異世界の遊びを取り入れた屋台もあり、種類も出店数も豊富。

 来場者は楽しんでくれるはずだ。


 遊戯系屋台が並ぶ中、私たちは食事系屋台を出店することにした。

 食事の質にこだわりたかったため、自分たちで担当することに決めたのだ。


 提供するのは計5店舗。

 かき氷、チョコバナナ、フルーツ飴、キュウリの一本漬け、焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、イカ焼き。


 チョコバナナとフルーツ飴、キュウリの一本漬けは同店舗から出店し、フランクフルトとイカ焼きも同じ屋台で提供する。

 それぞれ十分な量を準備しており、足りなくなることはない……はずだ。


 私はたこ焼き担当、ノーマンさんとヤコブさんには焼きそばとフランクフルト・イカ焼きを担当してもらう。

 かき氷やチョコバナナなど、簡単に作れるものには適当な人材を配置し、これで準備完了。


 日差しが落ち着いたタイミングで、リハーサル開始された。

 設置した提灯も無事点灯し、お祭りらしい音楽がラジカセから流れる。

 去年よりも縁日らしい雰囲気に、異世界にいることを忘れそうになりながら、私はたこ焼きを焼き始めたのだった。



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