第170話 第2回模擬戦大会
模擬戦大会当日。
今回も大勢の参加者が集まってくれ、第1回大会とは規模が数段大きくなっているのが人の集まり具合から分かる。
参加者に特に制限を設けなかったこともあり、今回は推薦者じゃない人もチラホラとやってきてくれている。
まずは予選から行い、本戦という流れになりそうだ。
開幕の言葉もほどほどに早速、私は運営側へと回る。
今年に限り、招待選手は本戦確定。
飛び入り参加の方で予選を執り行っていく。
馬車の往来の対応はシッドさん達に任せつつ、準備していた試合会場にて予選を開始していった。
4人1グループの総当たりで、1位抜けだけが予選突破。
計5グループも作れたため、40人もの人が模擬戦大会の噂を聞いて、飛び入り参加してくれたことになる。
嬉しい気持ちももちろんあるけど、それ以上に事前に準備をしていて良かったという安堵の気持ちが大きい。
ともかく、予選はスピード重視で一気に行っていき、計5名の本戦出場者が決まった。
「それでは、これから本戦を行っていきます。敗れてしまった方も優勝予想者の当てることができれば、賞品をプレゼント致しますので、ぜひ楽しんでいってください」
負けたら帰ってしまう人が多いと思っていたけど、帰ったのは数人でほとんどの人が残ってくれた。
王都からは微妙に離れているし、せっかく来たのだからって理由だろうけど、せっかくなら楽しんで帰ってくれたら嬉しい。
ということで、ドニーさんの部下の方が審判を務めてくれる中、本戦の第1回戦が始まった。
準決勝までは同時に試合を行っていき、準決勝からは1試合ずつ執り行っていく。
多方面で1回戦が行われていく中、早くも1回戦突破者が現れた。
記念すべき1人目の突破者は、優勝候補筆頭のドニーさん。
対戦相手は、予選を突破した冒険者の方だったのだが、あっという間に勝負を決めてみせた。
予選を突破しただけあり、実力はあるはずなんだけど……この速度での勝利。
やはり、ドニーさんが優勝候補筆頭で間違いないと思える強さだ。
それから次々に勝利者が決まっていき、1回戦の勝者は順当そのもの。
去年の参加者からは唯一、前回ベスト4だったマッシュが初戦で敗退してしまった。
そんなマッシュの対戦相手は、こちらも予選突破者で、白髪のイケメンお爺さん。
予選から無双していたため、多分剣の達人なのだと思う。
この飛び入り参加のお爺さんには注目しつつ、間を置くことなく第2回戦が開始された。
事前の準備がバッチリだったということもあり、準々決勝までは滞りなく進めることができた。
ベスト8の顔ぶれは、シーラさん、ドニーさん、美香さん、ヘレナ、アシュロスさん、ドレイクさん、ライム、そして白髪の老人ことシルヴァさん。
前年度の優勝者であった蓮さんは、まさかの美香さんに惜敗。
ベスト16で姿を消している。
その他にも数々の実力者が負けていっており、準々決勝までは龍人族の2人の強さが際立っていた。
……けど、一番のダークホースはシルヴァさんだろう。
1回戦でマッシュ、2回戦でスレッド、3回戦では将司さんを倒して、この準決勝まで勝ち上がってきている。
将司さんとの一戦はハイレベルな攻防を繰り広げられていたことからも、フロックではなく実力者なのは確実。
ちなみにだけど、密かに期待していたヤトさんは1回戦敗退。
ドラゴンの力を使わずに戦ってくれたとも捉えられるけど、催しもので良いところがない。
ヤトさん育成計画もやろうとはしているんだけど、忙しくて手を伸ばせてあげれていないのが申し訳ないな。
今回も1回戦で敗退してしまったけど、優勝予想者に挙げたアシュロスさんを全力で応援していたし、楽しそうだから何も問題はなさそうだけどね。
そうこう考えている内に、準々決勝が開始された。
準々決勝は2試合ずつ行われていく。
今回はアシュロスさん対ドレイクさんの龍人族対決と、ライム対ドニーさんの因縁対決。
龍人族対決が面白そうなのは言わずもがな、ライム対ドニーさんが初めて戦った時はドニーさんの完敗。
初見殺しが通用しない+コンタクトのお陰で目が良くなったこともあり、ドニーさん優勢ではあるけど、ライムは意外性の塊だからね。
今回も危なげなく、この準々決勝に駒を進めていることからも実力は確かだし、蓮さん達のお土産で銀を沢山食べたことで、シルバースライムに進化を遂げている。
まだ底を見せていないとしたら、勝機はあると私は思っている。
両方共に気になる一戦であり、試合時間が長引くのではと思っていたけど、試合開始早々に龍人族対決の方で動きがあった。
先手必勝とばかりに仕掛けたドレイクさんに対し、アシュロスさんは初っ端から【龍化】を使用した。
龍人族の必殺技であり、龍に力を解放する固有スキルのようなもの。
ヤトさんみたいにドラゴンの姿になるわけではないけど、肌は龍鱗で覆われ、身体能力も大幅に上昇する。
必殺技を初手で使ってくると思っていなかったようで、仕掛けたはずのドレイクさんが面を食らい、対処をさせる暇や【龍化】を使わせる暇もなく、一気に勝負を決めてしまった。
龍人族対決はアシュロスさんに軍配が上がり、会場からは完成が上がった。
そんな会場のボルテージが上がる中、もう一方の試合会場からは――ライムが姿を消していた。
※作者からのお願い
一日一話投稿のモチベーションとなりますので、この小説を読んで少しでも「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです <(_ _)>ペコ
つまらないと思った方も、☆一つでいいので評価頂けると作者としては参考になりますので、是非ご協力お願いいたします!
お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ





