森の館
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
「さあ、久しぶりに仕事するよ」
私はレオンに向かってそう言うと、おばあさんから譲り受けた大きな丸い金色のペンダントを引き出しから取り出し、チェーンをつかむと腕を伸ばしてペンダントを胸の前にぶら下げた。
するとペンダントは自然に回転し、カラクリで広がっていくようにガシャリと伸びて一回り大きくなった。
「アストロラーべよ。星読みの魔女リリアナが問う。モリスの依頼、スピリナ草を探して」
金色のペンダントはアストロラーべという星読みの道具に変わり、ゆっくりと回り続けた。
すると、あたりは昼の室内だというのに紺色の夜で覆われ、星が無数に瞬いた。
私の目にも星が瞬いている。
「ふむふむ。森の家の……。あそこかあ」
瞼を閉じると、目から無数の星が消え、周りはまた明るい日差しが戻った。
「結構簡単なとこにあって良かった」
そう言って、私は店の一番奥の部屋に向かった。
ドアを開けるとそこには転移の魔術式が床に施された部屋が現れた。
「そろそろあっちの家の手入れもしなきゃと思っていたからちょうど良かったわ」
私が部屋の中心にある魔術式の紋に入ると、どこからかレオンがやってきて肩に乗った。
「行くよ。レオン」
術式に魔力を流すと、魔術式の紋は赤く光り、次の瞬間には違う場所にいた。
「ふう、さすがに少し埃っぽいわね」
私は空気を入れ替える為に屋形の窓を開けて開けた。
ここはリンドバーク王国、王都の西に広がる深い森の中。
星読みの魔女が住む一軒の館だ。
この館に行くには王家の紹介を受けるか、もしくは運命に導かれた者でないと辿り着けないといわれる。
「マーカスおじさまも気を使って依頼を控えてくださっていたけれど、そろそろ仕事もしていかなきゃね」
なんせ自分はこの国唯一の星読みの魔女なのだから。
星読みの魔女とは、あらゆるものを占う能力のある者で普段はペンダントの形をしたアストロラーべという星読みの道具を使って占いを行う。
もちろん、未来を占う時は結果は絶対ではない。
見えた未来が良い未来ならチャンスを逃さないようにできるし、悪い未来ならそれを回避しようと動くこともできる。
未来は良くも悪くも人次第なのだ。
普段は王都の雑貨屋を営んでいるが、星読みの魔女の館に依頼があったり、直接訪問者が来た時は転移によってこの館に来られるようになっている。
いや正確には先代の星読みの魔女ローラが昔馴染みの大賢者エルランドに頼んで転移の術式を設置してもらったのだ。
さらに森の館には、誰かが近づいた時に知らせてくれ、害意あるものは館が見えないような結界も張ってある。
「リリィをあんな森の奥で育てることはできないよ。友達もできなくて可哀想じゃないか」
そんなローラおばあさんの頼みを大賢者エルランドは快く受けてくれた。
「エルじぃちゃんには感謝しかないわね。結界も張ってくれたから怪しい人物が留守中に勝手に入ってくることもないし」
見た目は怖いが、おばあちゃんや私には甘い大賢者様だ。
「さあ、そろそろスピリナ草を採りにききますか」
私は掃除道具を片付けるとレオンと共に森の中へ向かって歩いていった。
読んでいただきましてありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。
投稿ペースは以前より少しゆっくりになるかもしれませんが、よろしくお願いします。
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