星読みの魔女のお仕事
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
アーススターノベル様より「チート能力断って、運だけもらったはずなんですが」の書籍化が決定しました。
アーススターノベルさんのイラストレーターさんが決まりました。すごく素敵なイラストを描く方なのでお楽しみに。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。どちらも発行をお楽しみに。
六、魔女のお仕事
今日は久しぶりに、星読みの魔女としての占いの予約が入っている。
星読みの魔女の占いは高額で、さらに王族からの紹介又は以前占ったものからの紹介状がないと予約すらできない。
以前占ったものからの紹介の場合は、王城経由で申し込み、受け入れられるか返事を待つのだ。
占うことになった人には手紙と一緒に魔物避けの石が届く。ここに来るまでに魔物にやられてはいけない。
ちなみに使い捨てだ。
まぁたまにイレギュラーで占う事はあるが、それはごく稀だ。
今回は以前占った人物からの紹介で、病気で寝たきりの奥さんの治療方法を占って欲しいという依頼だ。
私はレオンを肩に乗せると、転移の部屋から森の家に向かった。
占いの部屋を整え終わると、森の家にかけられている認識阻害の魔法を解除する。
エルじいちゃんの張ってくれた認識阻害魔法がかかった状態でこの家に来る事はほぼ無理だろう。
馬車が止まる音がして、ドアノッカーの音がする。
私は仕事用のローブを着るとフードを被った。
これで大人っぽいミステリアスな星読みの魔女に見えるだろう。
ドアを開けると、一人の中年の男性とお付きのものらしい少年が立っていた。
「初めまして、星読みの魔女様。私は王都で宿屋や食堂をいくつか経営しております、アドバン商会のリック•アドバン。
この子は見習いのクリスです」
赤毛の少年がペコリと頭を下げた。
アドバン商会といえば、モリスおじさまのガーランド商会とは比べものにならないにしても、名の知れた大きな紹介だ。
「初めまして。星読みの魔女の館にようこそ。どうぞこちらに……」
占いの部屋に案内し、リックさんを向かいの椅子に座るように促す。
赤毛の少年はキョロキョロと部屋を見回していたが、自分がここに居ては行けないと気づき部屋を出ようとするので、そのままで良いと伝えた。
レオンはいつもの私の足元だ。
私はいつものように説明事項を告げる。
一つ、ここでの占いの内容を人に話さない事。
二つ、占いの館の場所を話さない事。
三つ、これが一番重要。占いでどんな結果が出ても受け止めること。
もちろん、未来は絶対ではない。悪い未来なら変える努力をすることだ。
今回もこの三つを説明する。
「占いは前金で、どんな結果が出ても返金する事はできません。さらに今日占うことができるのは一度きりです。さあ、占いますか? やめますか?」
ここまでいうと一旦は怖気付くが、ほとんどの人が占う方を取る。
当然だ。
この部屋まで来れることが奇跡のようなものだからだ。
「占います。ぜひお願いします」
リックさんが、わたしにキッパリと告げた。
彼の依頼も又、ジェイドと同じような依頼、医者にも治療できないと言われた病気の奥様の治療法だ。
「それでは始めます。アストロラーべよ。星読みの魔女リリアナが問う。リック•アドバンの依頼、彼の奥さんの病名と治療方法を教えて」
途端に部屋が濃紺の夜色に染まり、星が瞬く。
リックさんとクリスが息を呑む音が微かに聞こえた。
私の目の前に、病床に伏している痩せた女性がうつる。彼女の上には病名が浮かび上がっている。
そして……場面が切り替わり、リックさんが手を取る中、息を引き取る彼女。
彼女の名前を叫ぶように何度も呼び、慟哭する彼。
治療薬は今現在、存在しない。
言うんだ。星読みの魔女として結果を彼に伝えなければ。
震える声で私は告げた。
「非常に残念ですが……先読みの結果、奥様の病名はキャンス病。現代の医学では治療法はありません」
リックさんが呆然とした様子で小さく呟く。
「嘘だ……。ここに来れば治療法がわかると聞いたんだ」
「治療法があればお伝えできるのですが、奥様の病気は治療法がないのです」
さらにそう告げると、リックさんは突然怒鳴り出した。
「ふ、ふざけるな! 治療法がないだと、このインチキ女! お前は偽物だ!」
私の足元にいたレオンがむくむくと大きな獅子の姿になり、私の前に立つ。
「わっ! なんだコイツは。魔物か?」
リックさんに向かって唸るレオンを私は抱き寄せた。
「違います! この子は魔物じゃありません。私の家族です。レオン、大丈夫だから。落ち着いて」
「旦那様! 落ち着いてください」
クリスもリックさんを宥める。
「ふん、こんなインチキ占い師のところなんか二度とくるもんか」
ニックさんはわたしにそう言い捨てるとドアを開けて馬車へと戻っていった。
「先読みの魔女様。どうもすいません」
クリスがわたしに頭を下げる。
「いいのよ。彼も動揺してるだろうから。これ、帰りの魔物避けの石。持って行って」
私はリックに魔物よけの石を渡す。
私の占いに来て魔物に襲われて命を落としてはたまらない。
「ありがとうございます。旦那様も普段はあのような方ではないのです。本当にごめんなさい」
クリスはそういうと、自分も馬車へと戻って行った。
やがてカラカラと馬車が去って行った音が聞こえた。
「なんだよ、アイツ。自分から占って欲しいって言ったくせにさ」
レオンが獅子の姿のまま私に言った。
私はレオンのもふもふの首筋に顔を埋めて深呼吸する。
「リリィ? 大丈夫か?」
「……もう少しこのままいさせて」
「別にいいけどさ……」
星読みの魔女をしていれば、こんな事は度々あるに違いない。
おばあちゃんも乗り越えてきた事だ。
「私だって乗り越えなくちゃ」
でももうしばらくだけ、レオンの柔らかい毛に顔を埋めていたい。
読んでいただきましてありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。
投稿ペースは以前より少しゆっくりになるかもしれませんが、よろしくお願いします。
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