王太子妃マリアベル①
メリークリスマス。今話も読みにきてくださってありがとうございます。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
翌々日。
私は王城の門の前に佇んでいた。
例の大人びた美女に見えるローブを羽織りフードを深く被る。
そして肩には猫の姿のレオンが乗っている。
おばあちゃんが亡くなってから、いつも王城に入る時はこの姿だ。
「別にそんなの被らなくてもいいんじゃないか?」
レオンはそう言うが、この見た目の方が人々が連想する星読みの魔女という感じで王城に入る時は便利なのだ。
「イメージって大切だよね」
「そうか? 俺にはよくわからないけどな」
門番に挨拶して王城に入ると、ロベルト兄様から聞いていたのか侍女が待ち構えていた。
「リリアナ様。ようこそおいでくださいました。王太子妃様がお待ち致しております。どうぞ、ご案内します」
王太子妃付きの侍女達は皆貴族の令嬢達で、そのほとんどが結婚までの行儀見習いだ。所作も、歩く姿さえも優雅だ。
「王太子妃様。リリアナ様がいらっしゃいました」
一つの扉の前で侍女が声をかけると中から優しげな声が返ってきた。
「どうぞ、入って」
部屋に入ると、儚げな姿も美しい、波打つブロンドに澄んだブルーの目の美女が一枚の絵画のようにソファに座っている。
その後ろには王太子妃の筆頭侍女であるモナが佇んでいる。
「もういいわ。下がりなさい」
モナが案内の侍女にそう言うと、彼女は一礼して部屋を出て行った。
「もういいわよ、リリィ。レオンも話しても大丈夫」
この部屋の主人である王太子妃がそう言って私がローブを脱ぐと、私はたちまちあどけなさが残るいつもの私に戻った。
「ふう、やっぱりこっちの方が楽。マリアベルお姉様。つわりが酷いって聞いたけど大丈夫?」
「色々食べられそうなもん見繕ってきたぜ」
筆頭侍女のモナも私やレオンの事を知っているので、レオンの話す姿をニコニコして見ている。
私も幼い頃から度々王城に来ているので、モナにはお世話になっている。
「リリィ、今日は来てくれてありがとう。ロベルトったらリリィに会いに行くなんて、何も教えてくれなかったんだもの」
「中々来られなくてすいません」
私が言うとマリアベルお姉様はハッとした。
「いいのよ。ローラ様が亡くなって、リリィは大変だったんだから。リリィはこのお腹の子ができたことも占ってくれて、本当に感謝してるの」
そう、マリアベルお姉様の妊娠、つまり皇太子妃のご懐妊を占ったのも何を隠そう私だ。
おばあちゃんが亡くなる一年前から私に星読みの魔女の仕事をさせるようになった。
正式な引き継ぎ前なのでおばあちゃんの力の一部を借りて占わなければいけなかったが、明るい未来を伴う占いはいいものだ。
逆にどうしようもなく暗い未来が見えた時は誰しも否定したり、泣き喚いたりする。
未来は絶対ではないが、すでに起こっている悲しい事実は変えようがない。
読んでいただきましてありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。
投稿ペースは以前より少しゆっくりになるかもしれませんが、よろしくお願いします。
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